「人」こそが財産、働きやすい環境づくりが人手不足解消に


投稿日: 更新日:

 

労務管理の知識がないが故のうっかり違反も多い

 

介護保険法施行から今年で15年。当初55万人弱だった介護労働従事者は、平成23年には約140万人と大幅に増加し、さらに今後10年間で100万人が必要になると言われている。人手不足解消が介護業界における喫緊の課題であること、そのためには新たな人財確保と定着率の向上が不可欠であることは、論を待たないであろう。

 

だが、労働基準年報によると、介護事業所を含む社会福祉施設における労働基準法違反事業所の比率は、77.5%と他事業の平均よりも9%ほど高くなっており、この業界が職員にとって、必ずしも働きやすい環境ではないのが現実である。

 

実際に弊所に寄せられる相談でも、「残業代未払いで監督署に駆け込まれた」「社会保険への未加入を指摘されてしまった」など、職員の人事労務に関わるものが非常に多くなっている。中には、故意に法律違反を犯している悪質な事業者もいるが、実は労務管理に関する知識が無いための「うっかり違反」であることも多い。

 

介護・福祉の世界では、伝統的に「身を粉にして」「ご利用者のためならば」という自己犠牲的な精神を持って働いている方が多く、また、事業運営も介護保険法中心にならざるを得ない。そのため、労働基準法をはじめとする労働関係法令への関心や理解が乏しい、というのが、日々経営者の皆様と接していて感ずる正直な感想である。

 

労働関係法令違反で指定取り消しになる場合も・・・

 

その一方で、平成24年の介護保険法改正において、介護サービス事業所の指定・更新に際し、労働関係法令違反で罰金刑以上となった場合には指定を認めない、または指定取消にする旨がはっきりと明記された。「知らなかった」では済まされない時代になっているのだ。

 

このコラムでは、そんな「重要だけれど難しい」と敬遠されがちな、介護事業所の労務管理および労働関係法令について、できる限りわかりやすく解説するとともに、皆様方の事業所経営にお役に立つ情報をお届けしていきたいと思う。

 

対人援助の世界では、「人」こそが財産である。

いかに良い人財を採用し、育て、定着させていくか。

その基礎となる働きやすい職場環境の整備と、コンプライアンスにのっとった労務管理を実現できるよう、皆様のお手伝いさせて頂ければ幸甚である。

 



実地指導の準備はお済みですか?
実地指導に向けて対策しておくべきポイントについて、わかりやすくまとまっているPDF資料を、ぜひご活用ください。

-

執筆者:

関連記事

no image

閉じた介護現場を外に開き、広い視野を得ることが介護の未来につながる―未来をつくるKaigoカフェVol.3

目次1 外部との接点が少なく、息の詰まりやすい介護の職場2 カフェでの対話を通じ、自らの問題的に気づき解決の糸口を見出してほしい3 自分たちの常識がすべてでないことを知り、広い視野を得る。介護現場を外 …

no image

認知症JR賠償請求最高裁判決が問う超高齢社会の『介護』のかたち

愛知県大府市で2007年、徘徊中に列車にはねられ死亡した認知症の男性(91歳)の家族にJRが損害賠償を求めた裁判で、今年3月1日に出された最高裁判決は超高齢社会を迎えた日本の社会のあり方を改めて問いか …

車椅子を押す老人

医療の限界を知り、介護の可能性を広げる

 脳卒中の後遺症により全身拘縮で寝たきりの状態、さらに経鼻経管で栄養補給をしており要介護度は最重度の「5」……。もし貴方が家族や介護職だったら、もう回復は難しいと諦めてしまうケースではないだろうか。 …

no image

よいチームづくりの第一歩……ほめてお互いのよいところを認め合う

介護現場では「ほめ言葉」をうまく利用者さんの自立支援に結びつけている人たちが多い。一方で、職員同士になると、なかなかお互いをほめ合うことが難しくなる。それはなぜか? お互いのよいところを認め合うことで …

no image

介護・診療報酬間の調整を先読みするには?2018年医療・介護ダブル改定を読むー8

 前回の介護・診療報酬のダブル改定は2012年でした。その前年、やはり中医協と介護給付費分科会の間で「打ち合わせ会」が行われています。その時の論点を振り返ると、現状の介護・医療の連携課題にもつながるポ …