外国人介護人材の雇用についてー2


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前回は、外国人スタッフを雇用する際には、事前にその者が自社で働くことができる在留資格を持っているかを必ず確認するなど、採用に関する注意点についてお伝えした。今回は、彼らを雇い入れた後の実務上のポイントと、長く勤務してもらうためにはどうしたらよいかについて考えてみたい。

社会保険・労働保険の加入は日本人と同じ扱いで

外国人を雇用した事業所からよく聞かれるのは、雇用契約や社会保険・労働保険の加入についてである。

 

「どうせ読んでもわからないんだから、外国人には雇用契約書はいらない」とか、「外国人は保険に入れなくてもいい」と思い込んでいる事業主もいるがそれは間違いで、基本的には日本人とほぼ同じ扱いだ。

 

パートやアルバイトであっても同様である。特に雇用契約書は、日本以上に書面での契約を重視する労働慣行の国も多いため、内容をていねいに説明し、きちんと理解してもらったうえで署名をもらうようにしたい。必要とあらば、英語もしくは当該外国人スタッフの母国語での作成も必要だろう。

 

社会保険・労働保険加入に際しての手続き上の違いとしては、

・雇用保険被保険者資格取得届に、国籍、在留資格、在留期間、資格外活動許可の有無などを記入する

・雇用保険の加入要件を満たさない条件で働く外国人については、雇い入れた月の翌月末日までに「外国人雇用状況届出書」を管轄のハローワークに提出する

・社会保険加入の際に「ローマ字氏名届」を、資格取得届とは別に提出する

などが挙げられる。

 

さらに雇用後のフォローをどうするか、が大切に・・

これら実務的な手続き以上に留意したいのは、雇用後に彼らをどうフォローしていくかである。

 

まず、日本語の習熟度やご利用者様との関係について。

長く日本に住んでいてもあまり日本語が得意でない方もいれば、話すのは達者だが読み書きとなるとまったくできない、という外国人も少なくない。実際、日本人スタッフの言うことになんでもハイハイと返事をしているが、本当に理解しているのかわからない、ご利用者様の話す方言が理解できない、などの理由で現場が混乱するという問題も起きている。

 

介護記録などの書類作成をどうするのか、といった課題についてもしっかりと考えておかなければならない。そもそもご利用者様自身が、外国人スタッフにケアされるのを嫌がったり、差別的な言葉を投げつけることもあるので、そうした場合の対処の仕方等についても、あらかじめ周知・教育しておかなければならないだろう。

 

また、来日して特に日の浅いスタッフに対しては、仕事上だけでなく、たとえプライベートなことであっても不安があればすぐに相談できるような体制を整えておくのも、信頼関係を育むうえで重要なことである。

 

宗教や文化の違いを相互理解することが重要だ

そしてもう一つ大切なのは、彼らの信仰や習慣、文化的背景や宗教上の禁止事項などについて、職場全体であらかじめ知っておくことだ。それらについて、現場で直接彼らと接する職員が理解し協力していかなければ、長く勤務してもらうのは難しいだろう。

 

こんな事例がある。

ある介護施設で、イスラム教徒の外国人スタッフを受け入れた。イスラム教には、1ヵ月の間、日の出から日の入りまで飲食を絶つ「ラマダン」という非常に重要な儀式があるのだが、受け入れ時期がちょうどその期間と重なってしまい、彼らは1日中飲まず食わずで働くことになった。

そんな中で入浴介助などの体力が必要な仕事をすれば、脱水による熱中症の危険がある。

事業所としては、安全配慮義務の観点からも無理はさせられないので、当該ラマダンの期間中、彼らが体調を崩さないよう力仕事から外すなどの配慮をしているという。また、1日5回のお祈りの時間も確保するなど、職場全体で働きやすい環境づくりを進めているそうだ。

 

こうした取り組みをするのと同時に、外国人スタッフにも、日本の文化を学ぶ機会を設けてほしいと思う。例えばお盆やお正月などは、各地でさまざまな行事や風習がある。なぜこの地方ではこの飾りつけをするのか、特にご利用者様にとってそれがどういう意味を持ち、なぜ大切にしなければならないのかなど説明することによって、地域社会への理解も進み、より親しみを持ってコミュニケーションできるようになるであろう。

 

EPAによる来日介護福祉士を訪問介護でも活用し、「人財」とする

政府は来年度にも、EPAにより来日した介護福祉士の活用を、訪問介護にまで広げる方針を固めた。これまで訪問介護では、ご利用者様のお宅で1対1でのサービス提供になるというその特性から、双方の安全確保に課題があるとして許されていなかった。だが、介護業界での人手不足解消につながればと、一定の水準に達している試験合格者に限り、訪問介護でも働けるようにするというのだ。これにより、これまで以上に外国人スタッフへの期待が高まるのは間違いない。

 

その「期待」が、日本の介護を支えてくれる「人財」を迎え入れるためではなく、単なる「安価な労働力の確保」だけを目的としているのであれば、いくら門戸を広げても彼らの定着など望むべくもない。そのことについて、経営者の立場から、理解しておかねばならないだろう。

 



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