第9回日本の福祉現場力を高める研究大会~KAIGO NO MIRAI未来の社会は「介護現場」から創るvol.3 介護業界トップランナー6人の言葉から知る介護のリアル未来と本物の問題解決力


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「第9回 日本の福祉現場力を高める研究大会」第2部のパネルディスカッションの登壇者は、介護業界でも話題の施設経営者や認知症をもつ人たちとともに暮らしやすい社会を創っていこうと活動している人、そして長年医療・介護・福祉を追ってきたジャーナリストたち。カフェ形式で対話から問題解決の場を提供している高瀬比左子氏がコーディネートし引き出すトップランナーたちの言葉には、まさに混沌たる介護の未来を切り拓く重要なキーワードがちりばめられている。ぜひとも一句もらさず、読み込んでほしい。

「高齢者にケガをさせない、風邪をひかせない」を目ざすのでなく、高齢者が社会に貢献できるフィールドを見つけ、地域をデザインすること

確固たる理念と行動力で、業界をけん引する登壇者たち。それぞれが語る「専門性」は、視点は違うものの、どれも介護の問題解決に直結しているように思える。

 

加藤忠相氏は、藤沢市で小規模多機能型居宅介護を中心に、高齢者の「第2の家」を地域に作っている。「主役は高齢者」を基本に、「ケアとは何か」の本質に迫る。「介護や医療は、『高齢者にケガをさせない、風邪をひかせない』ことを目ざすのではない。高齢者が社会に貢献できるフィールドを見つけ、地域をデザインしていくことこそが専門性。自分がなんでもやれることが専門家なのではなく、高齢者に向き合い、伴走できることが大切だ」と説く。

 

社会保障費がこれだけ膨れあがっている今、介護保険制度だけに頼る事業は終焉を迎える

家業の鉄鋼業から、スチールを使った建築工法の特許を取り、よりよい死を迎えるサービス付き高齢者向け住宅を展開してきた下河原忠道氏は、今後は、むしろ介護に特化しないことに専門性を発揮する。「社会保障費がこれだけ膨れ上がっている今、介護保険だけに頼る事業は終焉を迎える」と考える。そして、「大学構内にサ高住を建て、学生の人材力に期待し、学生には学びの場にも使ってもらう」という相互作用システムを提案。また、介護施設という枠にとどまらず、惣菜店やグロッサリーを併設させたシェアハウスのような機能性にも着目する。さらには不動産流動化により、負債を背負わない経営を模索する。「こんなことは無理、できない、とあきらめず、プロジェクトを主体的に動かすことを考えるべき」と語る。

加藤氏(左)と下川原氏(右)

人材不足の問題に向き合い「介護男子スタディーズ」プロジェクトをスタート。数多くの媒体で、介護の仕事の魅力を発信

一方、多床型の特別養護老人ホームの経営を担う馬場拓也さんは、人材不足の問題に向き合い、「介護男子スタディーズ」というプロジェクトを仲間たちとスタートさせた。介護の世界で働く男性の姿をSNSや書籍で発表、介護の世界の魅力をリアルに伝えている。「多床型の特養を運営しながら、その環境の中で最高の『介護』を伝えていくために、知恵と行動力をふんだんに使う」と言う。「できない理由を探さない」という言葉も、胸に迫る。

馬場氏

専門性とは、個人が何かをできるではなく、問題解決の問いを共有できる仲間をつくること

認知症フレンドシップクラブ理事の徳田雄人さんは、「高齢社会における専門性とは、個人が何かをできる、ということではなく、問題解決の問いを共有できる仲間を作ること」と言う。同クラブが主催する「Run伴」は、認知症の人に伴走し、全国にたすきをつないでいくユニークなイベントだ。「認知症の人たちの問題は、介護力だけではもはや解決できない問題になっている」。ATMでのお金のおろしかたがわからない人が増えれば、ATMの機械自体を改善したほうがいい。それを実現する主体は介護業界外の企業だからだ。さまざまな人や業界と連携するには、多くの人との出会いや気づきを共有できることが大事。共有の場としてのイベントの重要性も説いている。

 

高瀬比左子氏も、自らのカフェ形式の対話会を運営してきた経緯などを語り、「問いを共有するのは、Run伴もKaigoカフェも同じ」と語る。「一般の人を巻き込むしかけが、今後ますます重要になる」と示唆した。

Run伴について語る徳田氏(中央)

利用者が住む地域で働いているという意識を持ち、地域で支える力をもつ存在に

そして、フリーアナウンサーであり、18歳から母親の介護をしてきたケアラーでもある町亞聖氏は、自らの体験をもとに、介護職に「ひとりの人間の人生に最期まで寄り添う覚悟があるか」と問う。利用者や家族から学び、その人らしさを知るプロとして、利用者に「最期まであなたにそばにいてほしい」と思われる介護職こそが、専門性を持った介護職ではないかと、問題を投げかける。介護施設で働く、という意識ではなく、利用者が住む地域で働いているんだ、という意識を持ち、利用者を地域で支える力になってほしいと希望する。

 

それぞれが語る「介護の専門性」。どれも介護の世界に必要な力量であり、これらを合わせた力こそが、介護の問題解決を可能にし、介護の未来を明るく切り拓く鍵になるのだと思えてくる。


フリーアナウンサーの町氏

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