第9回日本の福祉現場力を高める研究大会~KAIGO NO MIRAI未来の社会は「介護現場」から創るvol.2 介護ロボット、外国人採用、ノマドワーカー・・「介護の新たなキーワード」実践者から介護経営


投稿日: 更新日:

「第9回 日本の福祉現場力を高める研究大会」第1部のパネルディスカッションは、介護ロボット、外国人採用、ノマドワーカー、3つの分野における実践者が登壇。NPO法人Ubdobe代表理事・岡勇樹氏が司会・コーディネーターとなり、人材不足に悩む介護経営者に、問題解決の新たな道を開く。従前の手法にこだわらず、柔軟な対応が求められることを痛感する内容であった。

介護ロボットは、利用者へのリハビリテーションや介護職の身体的負担の軽減に

介護ニーズは増えても、介護現場を担う人材が不足し、採用も困難を極める昨今。介護ロボットの導入と外国人採用は、問題解決には急務ともいえる。では、実際にどう活用していくのか。まずは、介護ロボットについて、実践者が語る。

 

徳山 創氏は、社会福祉法人に勤務しながら、介護ロボットの研究を行っている。介護ロボットというと、ターミネーターのような人型の屈強なロボットを想像するが、「入浴のときに浴槽にスムーズに入るための機器や、ベッドから起き上がり、床に足をつくとブザー音が鳴るセンサーマットなどもロボットです」。すでに、介護現場で日常的に取り入れられているものも多い。小笹恵美氏は、注目されるHALの機器を実際に動かし、近未来の利用者のリハビリテーションや、介護職の身体的負担の軽減を予想させる。

 

では介護現場はロボットだらけになるのか? と想像をめぐらせるが、同法人経営の特養施設長である宮本隆史氏は、「利用者様の身体能力や個性などにより、求められる機能が大きく違います」。コストの点で、大量生産しにくいことも、ネックになりそうだ。また、「『介護は人がやるものだ』という倫理観が、多少の邪魔をすることもある」とのこと。しかし、突き詰めれば、「ロボットを動かし、利用者に最大のメリットを提供するのは介護職という『人』の役目」(岡 勇樹氏)。ロボットと人をどうコラボレーションすれば、よりよい介護の提供ができるのか、考えて実践する力を持つのもまた、現場力だと語る。

 

介護ニーズは増えても、介護現場を担う人材が不足し、採用も困難を極める昨今。介護ロボットの導入と外国人採用は、問題解決には急務ともいえる。では、実際にどう活用していくのか。まずは、介護ロボットについて、実践者が語る。


左から徳山氏、宮本氏、小笹氏

外国人採用・・・12人のユニットにひとり外国人の介護職がいるぐらいなら問題ない

介護ニーズは増えても、介護現場を担う人材が不足し、採用も困難を極める昨今。介護ロボットの導入と外国人採用は、問題解決には急務ともいえる。では、実際にどう活用していくのか。まずは、介護ロボットについて、実践者が語る。

 

介護ロボットとともに、人材確保のキーワードとして語られるのが、「外国人採用」。自身もスウェーデン出身であり、経営者として8人の外国人を採用しているというグスタフ・ストランデル氏は、「移民の多いスウェーデンでは、移民の高齢化に伴い、その国の外国人スタッフのケアが不可欠になっている」現状を、画像とともに伝える。

 

日本においては、そのままあてはまらないものの、「12人のユニットにひとり外国人の介護職がいる程度であれば、まったく問題ない」と論じる。「要は、日本の文化をよく理解したうえで、コミュニケーション力に長けているかどうかがカギ。その点では、日本人も外国人も、大きな差があるとは思えない」。氏が経営する介護付き有料老人ホーム・舞浜倶楽部では、さまざまなユニークなイベントが行われている。「利用者の方々に多様な文化を提供できるのも、外国人の強みだと感じている」。


ストランデル氏

介護の資格を持っていればこそ実現するノマドワーカー。その土地にあった面白い介護をやりたい

そして、3つ目のキーワードは、「ノマドワーカー」。自分の住みたい町に心のままに移住し、行く先で介護職として勤務する。「介護の資格を持っていればこそ、実現できるワークスタイルだ」と、片桐一彦氏は語る。自身もIターンで島根の離島の町、海士町の社会福祉協議会で事務局長として働く。「この島で、胸を張って『いきいきと死ねる社会』を築いてきたい」と言う。

 

ボディボードが趣味で、身近に海のある暮らしを望んでいた髙橋ルミコ氏は、海を求めて、湘南の鎌倉、藤沢と仕事場を替え、現在は東京都の島、新島に移住。看護師の資格をもっているからこそのノマドワーカーだ。片桐氏の仕事ぶりと海士町の環境を知り、「今度は海士町に移住したくなった」とも言う。「地域で働くことには魅力がある。その土地に合った面白い介護をやっていきたい」。

 

こうした既存の概念にとらわれない働き方、社会とのかかわり方が、介護の未来を創っていくのだろうと痛感する。

ノマドワーカーを自称する片桐氏と高橋氏

-

執筆者:

関連記事

no image

NPO法人シニアライフセラピー研究所 Vol.3 皆が「良い人生だった」といえる地域福祉の実現に向けて

高齢者から子育て、そして障害者へと事業の領域を広げているNPO法人シニアライフセラピー研究所。開設以来、売上はずっと右肩上がりだ。また、職員の平均給与は一般企業に近い。福祉事業の経営は厳しいと一般的に …

no image

株式会社若武者ケア(横浜市港南区) Vol.2 一般企業でいえば専門職と総合職。キャリアパスの両輪を創る

訪問介護・看護における深刻な人材供給不足、サービスの属人化による品質のバラツキ、介護における医療・看護および生活支援に関する知識不足。若武者ケアの代表取締役社長・佐藤雅樹さんは、訪問介護業界の現在の問 …

no image

大きく変わる「社会のしくみ」と「社会保障制度」 vol.6

目次1 「誰かがやる経営」から「わたしがやる経営」へ2 現状と課題3 対応策 「誰かがやる経営」から「わたしがやる経営」へ 制度優先主義の時代が長く、地域ニーズを無視した経営体質に傾きがちな状況が続い …

no image

介護の職場における真のやりがいは自立支援。「ありがとう」を返すこと

目次1 「ありがとう」を励みに働いている人が多い介護の職場2 SEから転職した人の琴線に触れる、利用者さんからの感謝の言3 忘れてはならない「自立支援」の意味4 本当に必要な支援は何か、それを考えるの …

no image

介護業界生き残り戦略I 規模の拡大化における利用者獲得とICT化について

4月から平成28年診療報酬改定が施行され、医療・介護業界はいよいよ平成30年の同時改定に向かって様々な政策が実行され、議論も活発化しております。今回の診療報酬改定を一部の側面から着目して見てみると『在 …