1年間が経って、27年度改定が与えた影響を考察!!


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倒産件数が過去最多

東京商工リサーチによると2015年(1-12月)の「老人福祉・介護事業」の倒産は76件に達し、この数字は前年の54件から4割増しになるそうです。

特にデイサービスを含む「通所・短期入所介護事業」が29件(前年比93.3%増、前年15件)と約2倍増であり、「訪問介護事業」も29件(同20.8%増、同24件)と前年を上回ったそうです。

さらに細かく見ていくと設立から5年以内の新規事業者の倒産が40件と半数以上を占め、従業員数別でも、5人未満が48件(前年比60.0%増、前年30件)と増加をみせ、小規模事業者の倒産が全体の6割(構成比63.1%)を占めたそうです。

 

上記は実際に記録されている倒産件数となりますが、周りを見渡せば倒産する前に廃業という選択肢をとっている事業者さんの数はこの比ではないように感じます。

 

それぐらい今回の改定は介護保険が始まってから地域で頑張って事業をしてきた中小の事業経営者さんの心を折るものだったと思いますし、2000年から介護保険事業が始まって15年が経過しましたが、今回の27年度改定は確実に介護業界のターニングポイントであり、今後10年、20年経ったとしてもこの時の改定がポイントであったと言われると思います。

 

27年度改定のポイント

上記の図の内容は皆さん周知のことと思いますが、改定時に注目すべき大きなポイントが2つあります。

1つ目は、どの事業者さんも注目する『報酬改定』です。もちろん直接直近の経営に大きな影響を与えるものなので注目するのも至極当然なのですが、大切なのは2つ目の『運営基準改定』です。

 

何故、『運営基準改定』に注目しなければいけないかというと、この改定内容こそが今後の業界の方向性を示唆しているからです。自事業の内容ばかりに注目してしまうと見落としがちになりますし、自事業に関係なければ見ないことも当たり前だと思います。

 

個人的な見解になりますが、27年度改定の意図は2つあり、1つは『事業規模の拡大化』。2つめは『兼務等の人員基準緩和等による医療法人への介護業界参入・拡大の促し』を行っていると思っています。

先の倒産件数が示すように今回の改定によって一番わりを喰ったのは小規模な事業所さんとなっております。小規模な事業者さんほどマイナス改定における影響が大きく、ある程度の規模がある事業者さんほど上記の図のような加算を取得することや、人件費効率を高めることが出来る形となっております。

 

いままで2~5%くらいの少ない利益を出しながらやってきていた所に今回の改定で一気に経常利益がマイナスに傾いた事業者さんが多かったと思います。そして小さな事業者さんほど選択肢がないため、コスト削減などのマネジメントをしようにも策がなく、手が打てなくなりジリ貧になっていくという現状があったと思われます。

 

27年度改定はそういった中小の事業者さんをふるいにかける改定であり、規模の拡大化やしっかりとマネジメントが出来る事業者さんでなければ生き残れないような仕掛けがされていたと思います。

 

医療・介護の統合へ

今回の改定では上記のように医療法人への介護業界参入・拡大の促しを行っている。もともと、平成24年度の改定における基本的な視点の中に「医療と介護の役割分担・連携強化」というものが入っていましたが正直なところあまり上手く進んでいるようには思えません。理由は簡単で、お互いにどのように役割分担し連携して良いかがわからないからだと思います。介護事業者は病院やクリニックにどのようにアプローチして良いかすらわからないし、逆もまた然りです。

 

そうであるならば医療法人に積極的に介護業界へと乗り出してもらうほうが地域包括ケアシステムの構想は早く進む可能性があります。勿論、医療法人からすれば医療保険の改正による影響を考慮すれば『在宅』という部分をどのように補うかが課題となっているわけですから必然的に医療に近い介護に出るべきだという判断が下ると思います。

 

結局、24年度に出した「医療と介護の役割分担・連携強化」という道では上手くいかないことが目に見えてわかったため医療・介護の統合へと動きだしているように感じます。

 

まとめと今後の方向性

今回の改定を端的に言ってしまえば、マネジメントや拡大化出来ない事業者を一気に足切する改定であり、一方で医療法人やマネジメント、潤沢な資金がある事業所からすれば一気に事業拡大が出来るチャンスの改定であったと言えると思います。そして、30年改定の方向性を見ている限り、この傾向は今後も顕著に続いていくと思われます。

 

加算取得やコスト削減はあくまで戦術の範囲となります。今後もっとも大切になってくるのは国の政策の方向性を感じ取り、経営の舵取りをしていくことです。そこには戦略がかかせなくなってくると思います。

 

今回の改定でおわかりのように介護保険事業は国の胸三寸で決まってしまう事業です。一所懸命に真面目にコツコツと事業を行っていれば利益が残せたという時代から戦略、戦術、マネジメントが欠かせなくなる時代になったということです。

 

その中で、結局何が大切になってくるかという当たり前かもしれませんが「人」が一番大切になってきます。事業を拡大化していくなかで「人」がついてこないと破綻します。人を育てる、教育できるかが今後の大きなポイントになると思います。

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