外国人介護人材の雇用についてー1


投稿日: 更新日:

EPA(経済連携協定)による受入れには多くの課題あり

現在、日本国内の介護事業所で働いている外国人スタッフは、

「活動に制限のない在留資格か資格外活動の許可の範囲内」で雇用されているか、

「(当該在留資格の中の『特定活動』の一つである)EPA(経済連携協定)による受入れ」

のどちらかによるものである。

 

EPA(経済連携協定)とは、フィリピン、インドネシアおよびベトナムから介護福祉士候補等を日本国内の介護施設に受け入れ、研修、就労をしながら資格取得をめざす制度だ。

これについては“資格試験が日本人と同等レベルの日本語で行われるため合格率が低い”“資格取得後も日本に残って就職する人が少ない”などの課題も多く、外国人スタッフ獲得の一般的な方法とまでは言えないのが現状だ。

 

就労不可の外国人を雇うと事業主も罰せられる

実は外国人に関して言えば、その在留資格によって、就ける職業の範囲や就労可能な期間等が変わってくる。

従って採用にあたり、その者が、日本で働くことのできる在留資格を持っているか? また、自社の仕事がその在留資格の範囲内でできるものかどうかを、きちんと確認しなければならない。

 

働く資格のない外国人を雇い入れた場合、たとえそのことについて知らなかったとしても、雇った会社は不法就労に加担したとして、3年以下の懲役か300万円以下の罰金に処せられる。人によっては虚偽の申告をしてくる場合もあるので、採用前に在留カードなどを見て、就労制限の有無や、資格外活動の許可があるかどうかを必ず確認してほしい。

 

就労の可否は在留資格により異なるので要注意!

ちなみに外国人の在留資格について以下、挙げてみよう。

 

※働くことが可能な在留資格

1.永住者 2.日本人の配偶者等 3.永住者の配偶者等 4.定住者

 

※資格の範囲で働く事が可能な在留資格

5.外交 6.公用 7.教授 8.芸術 9.宗教 10.報道 11.経営・管理 12.法律・会計業務

13.医療 14.研究 15.教育 16.技術・人文知識・国際業務 17.企業内転勤

18.興行 19.技能 20.技能実習 21.高度専門職 22.特定活動

 

※原則として働く事ができない在留資格

23.文化活動 24.短期滞在 25.留学 26.研修 27.家族滞在

 

これらの在留資格のうち、1.永住者?4.定住者までは、職種や労働時間の制限はなく、基本的に日本人と同じようにどの仕事にも就くことができる。

最近では、4.の定住者などと同じ扱いで、国内での就労に制限がない、日本語の素養があるなどの理由から、多額の費用をかけて直接ブラジルやフィリピンなどに出向き、日系人を採用し、日本で就職させる施設もある。

国内で募集をかけてもなかなか人が集まらないためやむなく、という事情からかもしれないが、いくら日本国内での就労に制限がなくても、介護の仕事に魅力が感じられなければ、他の仕事に転職される可能性もある。そのことも理解しておいたほうがいいだろう。

 

他の在留資格(5.外交?22.特定活動)になると、それぞれに定められた範囲での仕事しかできない。例えば、16.技術・人文知識・国際業務の在留資格で来日している人が、介護事業所でヘルパーとして働くことはできないのだ(ただし、実際に就く業務が、在留資格の範囲内かどうかは個別に検討されるべきものなので、その都度入国管理局もしくは外国人就労に詳しい行政書士等に確認してほしい)。

 

23?27までの「原則として働くことができない在留資格」の者は、本来パートタイマーやアルバイトであっても雇用することはできないが、「資格外活動」の許可を得ていれば、風俗関係以外の職種で、週28時間までは就労することができる。複数のアルバイトを掛け持ちで行っている場合、他社で働く時間も合計して週28時間以内でなければならないので、注意したい。

 

外国人介護人材への期待は高まるが、人材定着のためにまず解決する課題が介護業界にもある

冒頭でも述べたが、国は、現在漁業や農業等一定の職種にしか認めていない「技能実習」の中に、介護分野を入れる方針で検討を進めている。

また、それとは別に昨年3月には、単独の「介護」という在留資格の新設を盛り込んだ「入国管理法改正案」が閣議決定されるなど、外国人介護人材への期待は高まるばかりである。

 

しかし、今でさえ横行している技能実習生への人権侵害とも言える行為や、遅々として進まない介護職の待遇改善などを考えると、果たしてこのまま多数の外国人を受け入れることが、介護業界にとって本当に良い事なのかどうか、疑問を感じざるを得ない。

 

次回は、この続きとして、外国人雇用における実務上のポイントについてお伝えしたい。

 

関連記事:介護事業所で女性に活き活きと働いてもらう方法?2

-

執筆者:

関連記事

no image

採用面接時の作法~面接で聞いていいこと、いけないこと~

新規職員の募集をかけ雇用する際、皆様はどんな面接を行っていますでしょうか? 実は応募者に聞いていいこと、いけないことがあり、また「これは聞いておいた方がよい」という効果的な質問項目もあります。知らず知 …

no image

自分の専門性に疑問を感じ、介護職としての未来に夢をもてない人に、モチベーションを抱いてもらうにはどうしたらよいか?

介護職として就職しても、現場の業務に追われ、仕事を振り返ることもままならず、未来に夢を抱けない人が多い。そしてそれが離職の大きな原因ともなっている。介護の仕事に対してモチベーションをもつためにはどうし …

no image

大きく変わる「社会のしくみ」と「社会保障制度」 vol.4

目次1 地域住民の安心・安全な医療・介護サービスの提供のために。勇気ある連携・協働・統合を!2 改善策について 地域住民の安心・安全な医療・介護サービスの提供のために。勇気ある連携・協働・統合を! 医 …

no image

地域づくりで一歩先を行く武蔵野市 総合事業担当者の吉田さんにインタビュー 総合事業の介護への影響とは?

在宅医療を支える新しい製品開発とは?日本のイノベーションを支えるNEDOの取り組み 重度者・認知症者に関しては介護保険で、介護事業者が中心となる方向性が強化されていきますが、調理、買い物、掃除などの生 …

no image

ICT(タブレット)や介護ロボットが、介護経営の課題解決になるVol.3

エス・エム・エスではICTを使った介護事業者の業務効率化サービスを提供している。介護経営支援サービスカイポケのサービスの一つである「カイポケタブレット(iPad Air)」である。 目次1 タブレット …