株式会社カラーズ(東京都大田区)Vol.3 経営を安定させるために


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経営の安定。それは、スタッフたちがいつまでも安心して働くために欠かせない、経営者にとっては永遠のテーマだ。準市場のもとで事業を営む介護事業所にとって、報酬改定や制度改正は、経営を左右しかねない大きな出来事である。しかし、果たしてそこに一喜一憂しているだけで、経営者としては本当によいのだろうか?
最終回は、経営の安定のためにカラーズでは、何に重きを置いているのか? 働きやすい職場をつくるためにはどうしているのか? その工夫についてたずねた。

皆が支え合う働きやすい職場

カラーズ代表取締役の田尻久美子さんは3人の子どもをもつ母親だ。田尻さんのほかにも、カラーズには子育てをしながら働く女性スタッフが多い。

「子育てをしながら働く大変さは皆わかっているので、『お互いさま』という気持ちをもっています。だから子育て中の女性たちも働き続けてくれているのだと思います」

と、田尻さんは言う。

 

「子育て支援」というと、産休、育休といった制度や仕組みを思い浮かべがちだが、それ以上に大事なことは、子育てをしながら働くことをスタッフ全員が認めていることだ。

 

例えば、急に子どもが熱を出して休みたいと思ったとき、それを言い出しにくい職場であれば、子育て中の女性にとっては大きなストレスとなる。しかし周りが快く「私たちがやるから安心して」と言ってくれれば、心置きなく休みを取って、子どもの世話ができる。

 

『お互いさま』と支え合える職場は働く女性にとって心強い。

そういう意味で、カラーズはまさに「女性にやさしい職場」といっても過言ではない。

 

また子育て世代の若い女性ばかりでなく、60代半ばの女性スタッフも活躍している。介護福祉士の資格にも挑戦したり、手話をマスターする他、現在、ALSの方に対して痰の吸引も行っているというアグレッシブな女性だ。こうした人生の先輩がいることも、他の若いスタッフたちの刺激になっている。

 

研修の受託や保険外サービスを拡大

人材育成や雇用の安定化、職場環境の整備面などでは成果を上げているカラーズだが、当面の課題はさらなる経営の安定化だ。

そのために、介護報酬だけでは左右されない、制度外の事業という柱づくりにも意欲的に取り組んでいる。

 

行政などから介護人材確保対策事業や介護職員初任者研修などを受託。またシニア向けの介護技術講習会などを請け負ったりして、介護報酬とは別個の収入を増やしている。

 

実は、こういった研修の受託事業から思いもよらない副産物も得られている。

「介護職員初任者研修の参加者のなかから採用に結びつくことが結構あり、当社にとってはよい人材供給源になっています」と田尻さんは明かす。

 

介護保険外のサービスとしては、スタッフの中に美容師資格を持つ人がいるので、訪問美容を行っている。寝たきりの状態の人にもカットやパーマができると好評で、毎月10?15件程度の依頼がある。介護技術のある美容師が行うことで、座位を取れないなど重度の要介護者に対しても施術ができるという点で特化しており、カラーズは、大田区と大田区産業振興協会が行っている「大田区ビジネスプランコンテスト」の第5回大会で、「福祉×美容 外出できない高齢者の方に笑顔をお届けする訪問美容サービス」として、昨年、優秀賞を受賞した。

 

また利用者は少ないが、着物着付けのサービスも提供している。

 

こうした保険外サービスのニーズは今後もっと増えると田尻さんは見込んでいる。

近いうちに訪問マッサージを始める計画も検討しているという。

 

介護は人が幹。その幹を大切に育てることが大切

自分たちの思いがどれくらいスタッフに伝わっているかを知るために、先日、田尻さんは外部のコンサルタントに、スタッフたちへのヒアリングを依頼した。

 

結果は予想以上だった。

 

法人の理念やサービスに対する心構え、接遇マナーについての厳しい教育に対して、「なぜそうするのか?」をきちんとスタッフが理解している結果が出たことは、田尻さんにとって大きな収穫だった。経営者としてぶれないで、やってきたことへのスタッフからの公正な評価ともいえる。

 

「週2回勤務のスタッフにもカラーズの理念がちゃんと伝わっていたことがわかり、とても嬉しく思いました」

 

さらに、田尻さんは穏やかな口調でこう話す。

 

「介護の仕事は人が幹。水やりなどの世話をしないと植物は大きく育ちません。だからこそ、人をきちんとフォローしていかないといけません。当社は、そこを絶対におろそかにしない。その方針は今後も変わりません。介護ほどやりがいのある仕事はありませんから」

 

昨年は、福祉用具事業部を立ち上げた。

今後、介護保険制度は自治体への権限移譲が進み、よりいっそう地域包括ケアシステムの推進が強化されていく。そうしたなか、介護事業を行っていくうえでは、「地域での存在感」「地域に根差した経営」が不可欠であるとカラーズでは認識している。

 

そのため、事業所が所在する大田区で「訪問介護事業者連絡会」を立ち上げて田尻さん自身が会長を務めながら、地域の介護事業者の横の連携強化や多職種連携、地域住民に対する区民公開講座などの情報発信を続けてきた。

 

「これまでコツコツと活動してきたことで行政との関係性もようやく構築できてきた。最近では、日常生活支援総合事業に対する意見聴取や相談が行政側からくるようになりました」という。カラーズでは、地域密着、地域に根差した事業展開を進めていく予定であり、今後は小規模多機能型居宅介護も開設していきたいと、夢を語る田尻さん。

 

カラーズのこれからの挑戦に目が離せない。

今回の取材先:株式会社カラーズ

 



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