人材確保のための実践的アドバイス―その5.ほかによい「打ち手」はないのか?

投稿日: 更新日:

どれだけ手間がかけられるか、「打ち手」があるかが勝負に

これまでのコラムでは求人内容の「質」をあげることにフォーカスしてきました。

求人票、その他の求人媒体、もしくはホームページのブログ等を使って、どのような観点で情報を発信すれば、採用に結び付きやすいか、という点です。

今回は、それに加え、さまざまな「打ち手」ついて新たに考えてみたいと思います。

 

人材獲得競争はズバリ「質」×「量」です。「質」の良い、求職者のほしい情報、もしくは求職者が応募したくなるような情報を上手く発信しても、「量」の部分、つまり、たくさんの方に見ていただけるような情報量が不足していると、獲得の確率は減ってきます。これはノウハウ、知恵というより、どれだけ手間をかけられるか、どれだけ「打ち手」がたくさんあるか、が勝負になってきます。「質」×「量」という考え方は、利用者獲得の営業においても、まったく同じだと思います。

 

「打ち手」を増やすことが大変重要なのはわかっているけど、コストはなるべくかけたくない、と読者の皆様はお考えになると思います。

今回は、なるべくコストをかけない「打ち手」を考えてみましょう。

 

「若者応援宣言企業」になって、自法人を無料でアピール!

「ハローワーク」「福祉のお仕事」はコストをかけない求人方法の代表格です。このあたりについては、多くの介護事業所が取り組まれていると思いますので、ここではもう少し突っ込んだ求人方法として、公的機関を活用する方法をご紹介いたします。

 

「若者応援宣言企業」を活用されていますか?

「若者応援宣言企業」とは、若者の採用・育成に積極的な事業所であると、国のお墨付きをもらってアピールすることができる求人方法の一つです。ハローワークに「宣言書」「PRシート」などの書類を提出するだけで、それほど多くの手間を要するものではありません。しかも、ハローワークが行う事業なので、料金は「無料」です。

 

「若者応援宣言企業」にエントリーすることによって得られるメリットは、まず「若者応援宣言企業限定イベント(面接会等)」に参加できることです。「若者応援宣言企業」にエントリーしていなければ、このようなチャンスは訪れません。また、東京都内にあるすべてのハローワークに「若者応援宣言企業PRコーナー」が設置されており、一般求人に比べて大きくPRしていただけると思います。そして、東京労働局のホームページにおいて、「若者応援宣言企業 求人検索システム」が設けてあり、大きな追い風になるかもしれません。

 

また、東京都では「若者応援宣言企業」として、ハローワークからの紹介により、対象となる若者を正社員として採用した場合、15万円の奨励金が支給されます。もちろん、申請をしなければ奨励金は受給できません。その他の受給要件もありますので、「東京都産業労働局雇用就業部」、もしくは助成金申請を業務として行っている社会保険労務士にお問い合わせください。

 

「求人セット型訓練」で、ハローワークに登録した人を自動的に採用につなげる

次にご紹介したいのが、「求人セット型訓練」です。

「求人セット型訓練」とは、ハローワークに登録した求人事業所で求職者を対象に職場実習を中心とした訓練を実施していただき、訓練修了後、能力の習得を確認したうえで採用していただくものです。

 

訓練生は都道府県が募集します。自事業所で募集をかけることなく、ハローワークに求職者登録に来た人をほぼオートマチックに採用につなげられる点で、他の事業所より大きくリードすることができます。介護事業所が別途支払うコストはなく、逆に訓練生1人につき月額60,000円の訓練委託費を受給することができます。

 

デメリットは、全くの無資格・未経験者の訓練を自事業所で行うわけですから、それなりの大変さがあるという点です。しかし未経験者を雇用すれば、いずれにせよ、採用当初の教育は手間がかかるので、給与支払いの必要はなく、なおかつ訓練委託費も受給できて、人材確保につながるのであれば、それなりに魅力のある制度ではないでしょうか? 訓練内容やその他の詳細については、「各都道府県職業能力開発センター」にお問い合わせください。

 

「介護トライアル雇用事業」で有機雇用契約を結んだのち、継続雇用につながるケースが多い

また、「介護トライアル雇用事業」も大変有効な手段です。「求人セット型訓練」に比較的近い取り組みで、福祉人材センターが行っており、雇用対象者と雇用した施設との間で6ヵ月以内の有期雇用契約を締結します。その間、対象者は、施設で働きながら介護職員初任者研修資格を取得します。その際、研修受講中も福祉人材センターから給与が支払われ、初任者研修受講費も無料です。介護事業所としては最大6ヵ月間、一切給料を支払わないで雇用できる、というのが最大のメリットです。トライアル事業での雇用期間終了後も、双方同意で継続雇用可能ですので、このまま有期雇用契約を締結していた施設で働き続けるケースが多いと思います。

 

しかしこの制度も無資格・未経験者が対象なので、受け入れ事業所、新入職者ともに慣れるまでは、負荷がかかると思います。また残念ながら、今年度の東京都の「介護トライアル雇用事業」は求人募集を締め切っておりますので、来年度、募集の告知があった際にはぜひ問い合わせみてください。

 

次回のコラムでもコストのかからない、もしくは低コストの募集方法について考えてみたいと思います。

 

-

執筆者:

関連記事

no image

厚生労働省が示す介護保険制度の見直しに関する意見(案)についてー1

今回は社会保障審議会介護保険部会が、2016年の2月以降16回にわたって審議を重ねてきた介護保険制度の見直しに関する意見(案)が12月9日に取りまとめられましたのでその内容を、「地域包括ケアシステムの …

no image

外国人介護人材の雇用についてー2

前回は、外国人スタッフを雇用する際には、事前にその者が自社で働くことができる在留資格を持っているかを必ず確認するなど、採用に関する注意点についてお伝えした。今回は、彼らを雇い入れた後の実務上のポイント …

no image

介護事業所における健康診断について

介護業務に従事する者には、対人援助からくるストレスや介助作業に起因する腰痛など、心身に過度の負担がかかりがちである。そんな職員たちに元気に働いてもらうためには、健康診断は欠かせないものだが、その頻度や …

no image

井上信太郎さん(こころのひろば代表取締役)Vol.2 挫折体験を最大限に活かした介護事業への道

地域の人が本当に必要な支援とは何か、自分に何ができるのか…と模索し続けた井上信太郎さんの想いを実現するための第一歩は、訪問介護。妻と母、友人と一緒に4人で始めた小さな事業所でしたが、赤字経営を乗り切り …

no image

実務的解説!ご利用者の要介護申請とマイナンバー

目次1 1 ご利用者が健常の場合2 (2)申請段階3 (3)終了後4 2 ご利用者が認知症で後見人がおらず、家族だけの場合 1 ご利用者が健常の場合 認知症でなく、自分で筆記もできる介護度の低い方の場 …