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認知症ケアの第一人者、福島富和先生に聞く、認知症スタッフ研修と地域包括ケアシステム


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医療法人社団 明正会グループ

日本認知症ケア研究所所長

福島 富和(ふくしま とみかず)先生

日本認知症ケア学会代議員(各種委員等)

NPO法人あかり(認知症ケア・市民後見人)理事長

(群馬県)生活介護ネットワーク幹事(埼玉県NPO法人)他

 

福島先生 私たち明正会グループは、都内を拠点としながら、全国14ヶ所にグループホームを中心とした様々な医療事業・看護・介護事業をやっております。現在、その数は45事業所となっております。

 

私自身は福祉関係行政で法律関係を担当したあと、群馬県の方で県立高齢者介護総合センター所長を経て、明正会グループの認知症ケア研究所長として認知症に関する研究・啓発をおこなっています。

 
 

明正会グループの「認知症ケアへの取り組み」とは?

福島先生 認知症に関する考え方ですが、単に認知症という病気に対応すると言うよりも、齢と病を持ち生活する個性を持ったひとりの方とお付き合いをさせて頂くという考え方が根本にあります。人の人生は様々です。一定の年齢を過ぎると、認知症が発症する確率は高まります。これは、誰のせいでもありません。認知症も一つの個性として考えて、ケアをするためによりよい関係を築くことが根本になるのです。そのためには、「その人」が何を望んでいるのか、また望んでいないのかを適切に知ることが非常に重要になってきます。こうした病態・状態を適切に評価することを、専門的にはアセスメントといいます。これは私たちの仕事の原点になっているのです。

 

石塚 明正会グループの「認知症ケアへの取り組み」は下記のように記されています。ここでもその思い、特に3でその思いを明確にされていますね。明示することで、特にマネジメント層の方が職員教育をしやすくなりそうですね。介護マストの読者には小規模事業者の方も多いのですが、新人の認知症研修はどのように行っていますか。

 

1 介護保険利用における主役は利用者である1人ひとりの高齢者である

2 人生の先輩から学べる機会を得る

3 「その人」を知る為には「望んでいること」「望まないこと」の2つを知る

4 認知症の進行ステージの目安を付ける(失われた機能を知る)

5 認知症の進行ステージの目安を付ける(活用できる機能を知る)

6 ケアプランには具体的かつ実行可能な内容を盛り込む

 

福島先生 そうですね。明正会グループではこの6項目を柱に、利用者様の日常の仕草や表情、言動、そして「性格」「習慣」などから、現在持っていらっしゃる価値観を捉えていきます。また年齢や住んでいる地域によって、背景が異なってきますので、そられも踏まえながら、ケアプランを作成し、生活支援をしていきます。

 

いま介護現場は人材が不足しています。そのために、特に面接でふるいにかけるようなことはせずに、仕事に対する意識が低い方も増えてしまっているようですね。福祉系の専門学校や大学を卒業した方でも、新しいことを学んで仕事の本質を理解しようという学習意欲の低い方たちもいます。そういう方に、真正面から挑んでも理解は進みません。そこで、社会人としての再教育から始めることが大切だと気づきまして、非常にベーシックな社会人研修なども取り入れながら研修をします。

 

まず、「人間ってなんだろうね」というところから始めます。相手の気持ちを想像する基本的なところから始めています。人間は基本的に自分の気持ちで相手を推し量ろうとします。そういった人間の基本的な認識活動などから教えていきます。そして、認知症というのは脳の病気で、認知症にも種類がある、そして、それぞれの認知症になってしまったときにどうなってしまうのか。まず知ってもらい、考える機会を持つようにしてもらっています。例えば、介護経験1年未満の方を対象として講義では、「社会人としての自覚」「介護倫理」「介護保険制度の理念、法令遵守」「高齢者虐待の防止」「高齢者の病気の知識と緊急対応」といったことを教えています。

 

先生の研修では職域別に研修をしていますが、上級になるとどういったことを教えていますか。

福島先生 たとえば、グループリーダーや、施設長研修カリキュラムになっていくと、介護技術だけでなく、「心理的ケア」や「介護倫理」、「ターミナルケア」にも踏み込んでいきます。また、「社会保障と介護保険制度」の基本的な仕組みから、「最新の介護保険改正の内容」や「加算」についても講義しています。

 

最近では地域包括ケアシステムが在宅医療・介護の中心なるように各自治体が構築を進めています。地域包括ケアシステムの中でも介護人材が活躍していかなければよい在宅ケアはできないと思っていますが、基本的に地域包括ケアシステムは行政主導で、ほとんど行政の事業か行政からの委託です。営業時間帯や地域への密着度から考えても、頼りになるのは行政ではなくて志をもった地域の中心人物になるでしょう。地域住民がいざという時に頼りにならないと在宅ケアは機能しません。

 

病院には高額や医療機器や優秀な医師がいるので、その下に集まるのは分かります。病院は自ら提供できるサービスを中心にホームで試合をしていると言えます。

これはとても重要なことですが、在宅ケアというのは多職種が連携をして、在宅まで伺って常にアウェーで試合をするようなものです。良いチームを作っていかないと良いケアを提供できないでしょう。そのためには介護職だけでなく、理解ある医師やケアマネがチームにいて、情報の共有が重要になってきます。今後の診療報酬改定によって、新たに在宅医療の分野に入ってくる医師もいるでしょう。やりながら勉強をしていく人も多いのです。

 

また、今の日本の状況を考えたときに、もう一つ重要なことは「看取り」になるでしょう。人間には例外なく死が訪れます。誰もが、自分なりに生きて、そして満足いく死を迎えたいと願っていると思います。例えば、認知症などが進行して自分で生活することが出来なくなり、介護保険制度を使うことになったとしても、介護施設における認知症への理解が進み、認知症高齢者の方にとって、生きる希望を見いだせるようなケアを提供できることが大切だと思います。

 



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