平成27年度雇用政策研究会報告書より介護業界が取るべき方策とは


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雇用情勢と人口減少について

日本経済は2013 年に入ってから景気の底を脱し、雇用に関する指標においては毎年着実に改善しています。2015 年10 月における有効求人倍率は1.24 倍と23 年ぶりの高水準となっており、完全失業率は3.1%と低水準で推移しています。就業率についても、2012 年から2014 年にかけて男女ともに上昇をしています。賃金についても、景気回復の中で企業収益が改善し、2015 年の賃上げ率は、15 年ぶりの水準となった前年を上回っています。

 

以前の『「介護労働の現状について」平成26年度介護労働実態調査の解説のコラム』のなかでも取り上げましたが、日本の人口は減少に転じており、今後30年間で生産人口が3,000万人減少する予測となっております。

そうした制約の中においても、こうした経済の好循環の動きを拡大させ、安定的な成長を実現していくために、女性・若者・高齢者をはじめとした「全員参加の社会」の実現とともに、人的資本のポテンシャルを最大発揮させることと、様々な分野における人材不足や地域が抱える課題に対して、積極的な雇用政策が求められると報告書のなかでは述べられております。これは前回のコラムでも取り上げた「一億総活躍社会」の考え方にも合致するところです。

 

上記で記載したように雇用情勢が着実に改善する中で、一方、企業の雇用の不足感が高まっています。特に非製造業における不足感が高くなっており、これを産業別・雇用形態別にみると、「建設業」「運輸,郵便業」「医療,福祉」等において、パートタイム労働者のみならず正社員等の不足感が強まっています。こうした分野は、社会インフラ整備につながる重要な側面を持っているため、人材確保対策は、単に当該分野の産業施策にとどまらず、社会インフラの維持や安定した経済成長のための方策として重要であると述べられています。

 

介護人材の確保は、我が国の喫緊の課題

2025 年には団塊の世代が全て75 歳以上となり後期高齢者が2000 万人を突破するなど、要介護高齢者の増大が見込まれています。そんななかで、2025 年には約253 万人の介護人材が必要と推計されており、仮に現状の施策を継続した場合、約37.7 万人の介護人材が不足するとの見通しも示されています。介護人材が不足し介護サービスの提供に問題が生じることは、両親等の介護を行っている中高年層に多くみられる介護離職を誘発することにもつながると指摘されています。

 

介護分野の従事者は女性や中高年齢層の割合が高くなっていますが、今後より一層の需要の増大が見込まれる成長産業でもあり、現在もハローワークの福祉人材コーナーや都道府県の福祉人材センター等において、若者の効果的なマッチングを図ること等を行っていますが、今後はさらに、就職活動期の高校生や大学生に対して職場体験を行う等の、情報発信を強化していくことが求められると述べられています。

 

また、介護職員の離職の状況に焦点を当てると、離職理由では「結婚・出産・育児」「労働環境・雇用管理の在り方」「収入が少ない」「心身の不調、腰痛等」「将来の見通しが立たない」等が多く、仕事内容そのものの負担に加え、処遇や労働環境が離職の主な要因となっています。

これを受け、「結婚・出産・育児」という離職理由については、職場内の育児休業制度の整備・充実等、子育てをしながら働き続けることのできる環境整備を進めていくことが重要であるとされています。

 

介護職員の賃金

賃金については、年齢・学歴・勤続年数等の様々な要素を勘案すると他分野と比べて低いとはいえないとする指摘もありますが、表を見て頂くとわかるように、勤続年数や平均賃金は産業計と比較すると低く、実際に賃金に対する問題を挙げる労働者も多い形となっております。

ただ、下記の図のように、勤続年数・経験年数別にみた賃金は、勤続年数に応じて上昇していることから、労働環境の改善等を通じて、介護という仕事への定着支援を行うことが重要であるとされています。

このため、雇用管理の改善を支援する助成金等の活用促進に努めるとともに、雇用管理改善の好事例の横展開や事業主や施設長等の責任者に対する雇用管理等に関する各種研修の実施、事業所における雇用管理責任者の選任等を行っていくことが求められるとされています。

さらに加えて、将来の見通しを持って働き続けられるよう、介護業界全体でのキャリアパスの整備を進めていくことも必要であるとされています。

 

今後求められるもの

介護分野については、ロボットの活用といったイノベーションも期待されており、介護ロボットの導入は、介護従事者の負担の軽減をはじめとした省力化につながることから、機器の開発や介護現場での実証に向けた取組を行政が支援していくことが求められるとされています。

 

また、今後は、三大都市圏、特に東京の近郊市において高齢化が急速に進み、介護ニーズもこうしたところで増大することから、大都市圏の特徴を踏まえた、広域単位での連携や在宅介護の推進等を進めていく必要があるとされています。

 

以上が、雇用政策研究会の報告書からの抜粋となります。どれも非常に大切な方策ではありますが、一企業の努力でできるものと、やはり国や行政の大きなバックアップがなければ難しいものなどがありますね。いずれにせよ、支援は期待しつつも、まずは自助努力をしなければいけませんね。

 



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