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地域包括ケアの難しさ―――ケアマネはやはり連携の要か


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医療と介護が連携する場合、同じ市内の診療所医師のほうが進めやすい

医療と介護の連携とは何だろうか。それを考えさせられる出来事がいくつかあった。

 

今回の介護保険改正により、地域包括ケア体制づくりの柱として、改めて医療と介護の連携が位置づけられた。

 

東京都多摩地区のある市で、ようやく今年度から地域包括ケア推進協議会(介護保険運営協議会を改称)の下部組織として「医療・介護連携推進委員会」が発足した。地域包括ケア推進協議会の会長として、その設置を提案した経緯から、私も委員として加わった。論議、中身づくりはまだこれからだが、その議論をすすめるにあたって、在宅医療を受けている同市の高齢者約250人を調べたところ、同市内の診療所の医師が担っているのは半分にも満たなかった。そして半分以上を、他市の診療所の医師が担っていたことがわかった。

 

もちろん、医療は同市内の診療所の医師にかからなければならないわけではない。とりわけ病院や専門科には、広域的に患者がやってくる。交通の利便性から他市の診療所に行く場合も少なくない。しかし、通院の不自由な高齢者、家族にとっては、近くの診療所の医師のほうが、薬の受け取りや相談といった面からも、より安心できるのは間違いない。

医療と介護の連携を進める場として位置づけられた地域ケア会議を進めるうえでも、他市の診療所の医師との連携、相談よりも、市内の診療所医師のほうが進めやすい

 

在宅医療の確保には限界があるのでは? 在宅医療をしない診療所医師の問題はどうなる

「在宅医療を担う医師が少ないのではないか?」

検討委員会の場で、委員として出席していた同市の医師会長ら医師にその理由を聞いたところ、その理由として、

 

①診療所と住まいが別々の医師(いわゆるビル診)の医師が増えていること

②病院だけでなく診療所も同市の患者だけを診ているわけではなく、他市の在宅医療を担当している医師もいる

③24時間対応する在宅医療は、個人の診療所医師にとって負担は大きく、医師会として強制するわけにはいかない

 

という答えだった。

 

「これから増え続ける在宅医療のニーズに、それで対応していけるのでしょうか」と申し上げたが、「医療と介護の連携」の必要条件となる在宅医療の確保は市町村では限界がある。イギリスや北欧のように在宅医療を担う家庭医が制度的に位置付けられていない日本で、この市の医師会長がいうように、在宅医療をしようとしない診療所医師に在宅医療をさせるわけにはいかない。

 

地域包括ケアシステムにだれが責任をもってコーディネートするのか?

その議論をした後の11月8日、私が副会長をしているNPO福祉フォーラムジャパン主催の全国フォーラム2015(「暮らしと人生の再設計」) が、東京都国立市の一橋大学でを開催、午後の「どうする地域包括ケア」と題したシンポジウム(司会コーディネーター・山路)で、メインスピーカーとして出席した厚生労働省の迫井正深・医政局地域医療計画課長(前・老健課長)にその点を以下のように質した。

 

医療の要は医師であり、介護保険は市町村が保険者となり、給付と負担を管理、個別ケアはケアマネ(介護支援専門員)が責任をもってケアプラン作りやチェックを担当する。医療保険や介護保険は責任体制が明確なのに対し、地域包括ケアは法的にも実質的にもそれがあいまいではないか。医療と介護・福祉・住まい・介護予防を進めるというが、誰が責任をもってコーディネートしていくのか。地域包括ケアづくりの柱である在宅医療についても、上記の東京都多摩地区のある市の例を挙げて「市町村の権限は限られている。もう少し市町村が動きやすいように国が在宅医療を法制度化することが必要ではないのか」と。

 

迫井課長は「やはり市町村が責任をもって進めてもらう以外にはない」という言い分だったが、それではなかなか今の地域包括ケアは進みにくい。

来年度からの診療報酬改定で在宅加算を期待したいが、どこまでそれが進むかどうか。

 

医療的ケアが必要となった場合、地域格差の生じないような法制度としての取り組みを期待したい

前々回、この欄で紹介した101歳を超えた長野県在住の義父が、9月半ばに大腿骨頸部骨折で入院、いったん退院はしたが、一人での歩行はできなくなり、夜間のトイレ介助も含めた重度の要介護状態となった。そのうえ、誤嚥性肺炎となり、再度入院した。

 

長女である私の妻が何度も東京と長野を往復、病院、かかりつけ医、そしてケアマネとの連絡、調整にあたった。医療と介護の連携とは言いながら、家族の負担は当然ながらある。新たなサービスを入れるにあたってケアマネは頼りになる存在だったが、かかりつけ医の対応の悪さに妻は苦労させられた。相談しても適切なアドバイスが得られないし、何より「かかりつけ医」としての責任感の欠如を感じた。

 

地域の差、医師によっての差もあるが、医療的ケアが必要な重度の高齢者、家族にとっては、我が家で味わった同様の思いを経験された方々も全国には少なくないだろう。

個人によって、地域によって差のないように、もう少し法制度として市町村が取り組みやすい、そして結果として本人や家族が安心して暮らせるような地域包括ケアシステムを築いてほしいと切に願う。



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