松尾愛美さん(ひまわり訪問看護ステーション代表)働きながら子育てできる環境もつくるvol.2


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小さいころから、店舗と住まいがいっしょでおじいちゃん・おばあちゃん、こどものいる環境で育った松尾さん。やがてデイや居宅介護支援、訪問介護も併設し、働きながら子育てもできるように、託児スペースも設けて、同じような職場環境づくりをめざした。女性が働きやすい職場づくりに貢献したとして、よこはまグッドデザイン賞も2度受賞している。

「信頼できるヘルパーに任せたい」訪問介護や喀痰吸引等研修も実施

――松尾さんは訪問看護ステーションを始めた後、居宅介護支援事業所や訪問介護事業所も立ち上げました。介護の分野も手がけるようになった理由は?

訪問看護を提供していても、それだけでは埋められない部分があるということを、訪問看護を始めた当初から感じていました。ほかの事業所のケアマネジャーやヘルパーにしか頼れないというのではなく、自分のところでケアマネジャーやヘルパーを用意できるようになりたいと思いました。
居宅介護支援事業所開設に際しては、最初はケアマネジャー資格のある人を採用して始めましたが、その後、私も資格があったほうがよいと思い、ケアマネジャー資格を取りました。居宅介護支援は経営的には赤字になる分野ですが、ケアマネジャーはやっぱり置いたほうがいい。いまは私も含めて3人のケアマネジャーがいます。

 

――喀痰吸引等の研修も行っていますね。

実は、訪問介護事業所を立ち上げたのは、2012年から介護職員による喀痰吸引等が認められたからでもあります。あまりよく知らないヘルパーさんに患者さんの命を預けて喀痰吸引等を頼むというのは私自身は気が引けたので、自分が信頼できるヘルパーさんにやってほしいと思いました。だから訪問介護を始め、喀痰吸引等研修も始めました。うちのヘルパーは基本的には全員が喀痰吸引等研修を受けますし、外部のヘルパーにも喀痰吸引等研修を行っています。

 

おじいちゃん・おばあちゃんも子どもも一緒のデイサービス

――2014年には、認知症対応型デイサービスも開設しました。普通の民家を借りて行っていて畳の部屋があるので、利用者の皆さんがとてもくつろいでいるように見えます。

デイサービスの定員は12名で、1日平均6名くらいの方が利用しています。毎日のスケジュールなどは特に決めておらず、利用者の皆さんには自由に過ごしていただいていています。畑仕事など、室内に閉じ込めるのではなく外出もできるように環境を工夫しています。
また、お泊りもデイサービス開設最初から行っていて、定員3名です。うちは他より少し料金が高いですが、それでも皆さん「ここがいい」と言ってくださって、いったんほかのデイサービスに行かれた方も戻ってきたりしています。

 

――デイサービスにはスタッフの子どもを預かる託児スペースもあって、お年寄りと子どもたちが一緒に過ごしているというのも、見ていてほほえましく思います。

お年寄りも子どもも一緒に過ごせる場所をつくるということは、以前からやりたいことでした。
冒頭(連載第1回)でもお話ししたように、私の家系は商売をしている人が多かったので、店舗と住まいが一緒で、家族やおじいちゃん・おばあちゃんが働いているそばで子どもたちが遊んでいる、というという環境で私自身は育ってきました。だから、自分も将来大人になったら、何か家で仕事をしながら子どもを育てて、そこにおじいちゃんやおばあちゃんもいるという生活をしたいし、それが普通だという思いがどこかにありました。

先ほど「なぜ看護師になったのか」と質問されて、「何か手に職をつけたいと思ったときに選択肢の一つがなんとなく看護師だった」と答えましたが、よくよく考えてみると、何か手に職となる仕事で、かつ自宅かその近くで働きながら子育てをしておじいちゃん・おぱあちゃんもいるという生活ができる仕事は何だろうと思ったときに、保育士とか看護師とかいろいろ頭に浮かびはしたのですが、なんとなく選んだのが看護師だったということになると思います。

だから、託児スペースは、訪問看護ステーションを立ち上げると同時に、ステーションの一角にまず開設しました。でも、そこにはまだおじいちゃん・おばあちゃんたちの姿はなかった。なので、認知症デイサービスを開設するときは「普通の民家」を借りて行うことにこだわり、実際にデイサービスができるとすぐに託児スペースを認知症デイサービスに移して、「おじいちゃん・おばあちゃんも子どももいる」というのを実現しました。現在は、私の2人の子どもも託児スペースで過ごしていて、私の家もすぐ近くにあるので、「自宅かその近くで働きながら子育てをする」ということも思い描いていたとおりになっています。

男性の利用者も多いあかつきデイサービス

「よこはまグッドデザイン賞」を2度受賞 潜在看護師の掘り起こしも視野に

―――託児スペースの利用料は?

利用料はいただいていません。「頂いたら?」とか、「いっそ保育所にして、スタッフの子ども以外の子も人もいれたら?」と言う人もいますが、いまのところその予定はありません。でも、近所の子どもたちにも立ち寄ってもらえたらいいなとは思っています。うちのデイサービスはちょうど通学路にも当たるので。

 

――いま来ているスタッフのお子さんたちは、皆さん小さいお子さんなんですか?

保育所に通っている子が多いですね。なかには保育所に通っていない子もいますし、あと、風邪をひいてその日は保育園に行けない子も来たりと、病児保育的なところもあります。夏休みになると小学生も来て、部屋の向こうで宿題やったりしています(笑)。

 

――学童保育みたいですね。職場で子どもを預けることができてスタッフの皆さんも安心して働けると思います。2010年と2011年には、横浜市が主催する「よこはまグッドデザイン賞」(働きやすくて子育てしやすい中小企業を認定する賞)も受賞したとか。

これは自薦も他薦もできる賞だったので、自薦で申し込んだところ、ありがたく2回も受賞させていただくことができました。看護師資格を持ちながら働いていない人のなかには、「子どもを預けることができたら働きたい」という方もいるので、託児スペースは潜在看護師の掘り起こしにもなると思っています。


あかつきの庭で収穫した梅で梅干しづくり

<事業所プロフィール>
ひまわり訪問看護ステーション
病院の脳神経外科、内科などの看護師勤務を経た松尾さんは、「ひまわり訪問看護ステーション」の立ち上げ(2006年1月)と居宅介護支援事業所(同年4月)を開設、2008年より代表に就任する。2013年10月に訪問介護事業所、2014年4月に認知症対応型デイサービス「あかつきデイサービス横浜北」を開設。2012年から介護職員による喀痰吸引等が認められたのを機に喀痰吸引研修を実施。また、スタッフのために託児スペースも併設し、働きやすく子育てしやすい中小事業所を認定する「よこはまグッドバランス賞」(横浜市主催)を2010年と2011年に受賞。)



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