介護施設の防災対策Vol2. ~火災編~


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介護施設で起きた火災事故

平成十八年に長崎県大村市で起きた、認知症高齢者グループホームでの火災は死者が7名も出る大変痛ましいものでした。食堂から出火し、職員が消火器で消火活動を行いましたが火はすぐに天井まで達し、入居者に避難誘導をする前に施設に火が回って建物が全焼するという事態に至っています。

建物が一部木造で燃えやすい素材であったこと、防火扉やスプリンクラーが設置されていなかったこと、人里離れた場所に建っていたことなど、構造や設備、立地に問題が多くあったことが後に報告されています。

 

この事故を受けてその翌年には消防法施工令が改正され、小規模の施設にも消防設備の実施が義務付けられましたが、介護施設の火災対策にはまだ多くの課題が残っています。

 

設備の見直しから火災拡大を防ぐ

スプリンクラー、火災報知器を各居室に付ける、といった対策は消防法の基準と共に既に殆どの施設で行われています。

一方で介護施設での火災事故の多くは、調理器具の誤使用やタバコの不始末などで起こる割合が多く、職員が初期消火を行うことでくい止められるケースも多々見られます。

しかし居室やリビングなど、利用者が生活をする場にはソファやベッドなど化繊で出来たものも多く、火が回りやすい状況にあることを職員は心得ておかなくてはなりません。

 

現在ではカーテンや絨毯など防災加工をしている製品http://www.jfra.or.jp/member/pdf/buppin_pamphlet_etc.pdfもあるので参考になるでしょう。

また、スプリンクラーや報知器を付けても万事安心とは言えません。業者による点検を半年に一回以上受けるなど、ハード面での対策も行う必要があります。

 

チェックリストで火災に備える

施設や住居では当たり前のように毎日電気やガスを使用しています。そしてそれは、当たり前のように火災のリスクと日々生活をしているということです。

年に数回程度行う非難訓練等をそのまま非日常の出来事であると思い、災害への認識を軽視してしまう職員がいては実際の事故には対応できません。

 

では毎日を利用者と過ごす職員が防災意識を持つには具体的にどんなことを知っておく必要があるのでしょう。

例えば、消火設備が備わっていてもそれを使用できなければ意味がありません。そうした点からチェックリストを作成し全職員に確認させることも有効です。

 

・施設にどんな消火設備があるか把握しているか、またそれを使用できるか。

・各階、全ての避難経路を把握しているか。また危険個所を把握しているか。

 

施設や利用者に応じ、こういったチェックリストを作成し職員ひとりひとりが認識を高めることが必要です。運営者はその機会を与え、すべての職員の意識向上につなげていきましょう。

 

火災は職員の対応で拡大が防げる

平成二十一年に死者10名を出した群馬県渋川市の有料老人ホーム「静養ホームたまゆら」の火災事故も記憶に新しいかと思います。この事件において理事長は業務上過失致死罪で有罪判決を受けましたが、この際に裁判長は「施設には、火災の危険性が常にあり入居者の生命の安全を確保する立場にあった」と指摘しています。

規模にもよりますが、火災は震災と違い職員の対応により十分に被害拡大を防げる事故です。

 

施設の管理者は、日々運営する職員の防災意識の向上を目指さなければなりません。環境面での対策強化と職員の意識の向上、両面から災害に備えることが急務といえるでしょう。

 

[参考]

平成二十四年度 福岡県「高齢者福祉施設等防災計画策定マニュアル」

平成二十二年度 高知県「社会福祉施設における災害対応マニュアル」

平成二十五年度 福岡市「介護サービス事業所等のための防災計画策定の手引き」

損保ジャパン日本興亜リスクマネジメント「高齢者施設における火災事故」

総務省消防庁「グループホームなど小規模社会福祉施設の防火安全対策」

 

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