人材確保のための実践的アドバイス―その3.採用・ウリとは何か?


投稿日: 更新日:

「ウリ」をきちんと表現して、うまくアピールする

自事業所の「ウリ(売り)」は何ですか? という問いかけは、職員獲得と利用者獲得の両面において非常に重要な観点となります。この「ウリ」という言葉、介護事業所において、最近ではかなり浸透してきているようです。

 

「ウリ」は、必ずしもナンバーワンやオンリーワンという意味ではありません。また、それをアピールする際にも、職員獲得と利用者獲得のように、目的が違う場合は、アピールポイントが変わってくることもあるかもしれません。でも、共通していることも多いので、そういう場合、「ウリ」を上手く活用しましょう。

 

もし、あえてオンリーワンを狙うのなら、前回も述べたように「想いの見える化」が、一つの「ウリ」となるでしょう。ここでは、経営者のキャラクターや介護観といったものが、重要です。
また、これも前回触れましたが、未経験者の教育に自信があるのなら、それも大切な「ウリ」です。賃金面での待遇のよさや、有給休暇が取りやすいというのもまた、一つの「ウリ」となります。
通勤面でいうと、駅前に家があるのなら、それも「ウリ」です。

 

このように雇用環境のなかには、山ほどヒントが隠れています。上記のどれかが当てはまるなら、ぜひしっかりとそこの部分をアピールしていただきたいと思います。

 

どんな介護を提供しているかも大きなポイントに

さらに事業所がどのような介護を利用者に提供しているのか、という点も重要な「ウリ」です。具体的な介護内容(できれば独創的であったり、先進的な内容)を記載するのも大きなアピールでしょう。「ウチはこんなに面白い介護をしていて、ご利用者の笑顔をたくさん引き出しています」もしくは「このような先進的な介護を行うことによって、ご利用者の状態がこんなにも良くなりました。よろしければ、一緒にご利用者の笑顔を引き出しませんか?」というアピールです。これは利用者獲得にも十分つながるでしょう。

 

また、先輩職員の「生の声」も「ウリ」につながってきます。現場の職員さんたちは経営層、あるいは人事担当者と違った視点で自分の事業所の「ウリ」を捉えているかもしれません。利用者獲得の際は「お客様の声」を載せることは重要ですが、職員獲得であれば、「先輩職員の声」も説得力という点では非常に強力です。

 

「チームワークの良さ」はいちばんの切り札となる言葉

そして「ウリ」という点で最も記載していただきたいのは。「チームワークの良さ」についてです。もちろん、本当にチームワークが良い場合に限りますが・・・。
平成25年の介護労働実態調査結果において、直前の介護の仕事をやめた理由の第1位が「職場の人間関係に問題があったため」でした。
私も長く介護業界に身を置いていたのでよくわかるのですが、この第1位の理由については、残念ながら、全くの同感です。

 

たしかに、介護事業所の人間関係はややこしい。この問題は多くの事業所が抱えています。だからこそ、この問題をクリアできる事業所は、人材獲得競争で頭一つ抜けることができるのです。
これまで他の事業所で介護職員を経験した転職希望者の多くは、この問題をわかっています。ですから、これから転職しようとする場合、「人間関係は大丈夫だろうか」という不安は当然持つでしょう。そこを先回りして「大丈夫だよ。安心していらっしゃい」と言えるかどうか。これは大変重要なことです。
ですから、「チームワークの良さ」に自身のある事業所は、ぜひとも、この部分は記載して、アピールしていただきたいものです。おそらく事業所としては、最大の「ウリ」になるでしょう。

 

チームワークが良いことで生まれる具体的なメリット

「チームワークが良い」ということは、さまざまなメリットをもたらします。当然、離職防止にもつながる。離職率が低下することによって、メンバーが固定化していく。それによって、教育が浸透したり、相互理解が向上し、仕事がスムーズに回る。スムーズに回ることによって仕事が効率化する。仕事が効率化することによって、残業が削減できたり、他の滞っている業務にも手が回る。
また職場の雰囲気がいいので、皆が気持ちよく仕事ができる。職員同士の良い雰囲気が利用者に伝わるので、利用者の居心地も良くなる、そうなればもっとこの事業所を利用したくなる。よって稼働率が上がり、売り上げがあがるという好循環を生み出します。

「チームワークが良い」ということは介護事業所経営の「核心中の核心」と言っても過言ではないと私は思っています。「チームワークの良さ」を構築するのは、決して簡単なことではありません。しかし、自信があるのであればぜひアピールしていただきたいし、それがわかる具体的なエピソードをまじえ、記載していただきたくと訴求力が上がります。

最後にまとめますと、職員募集の際には、「うちの事業所で働くことで、どのようなメリットが得られるのか」といった観点で考え、それを伝えることが非常に大切です。蝶は追いかければ逃げていきます。蝶が止まりたくなるような、「花」のような事業所を目ざしてください。そうすれば評判が評判を呼び、自ずと職員は集まってくるでしょう。



実地指導の準備はお済みですか?
実地指導に向けて対策しておくべきポイントについて、わかりやすくまとまっているPDF資料を、ぜひご活用ください。

-

執筆者:

関連記事

no image

「フレイル」を介護の現場に広げよう

全国の介護予防の現場で、フレイル(虚弱)という考え方が急速に広がりつつある。これまでは介護予防といっても内容は千差万別で、介護予防による改善度を測るモノがなかったが「フレイル」の登場により、わかりやす …

no image

介護施設の防災対策Vol5. ?いま見直される防災計画(2)

目次1 防災につよい施設づくりとは2 備蓄品の完備3 広範的に知識を持つことの重要性4 人材育成と体制づくり5 マネジャーの心構えが災害に強い施設を作る 防災につよい施設づくりとは 日本で数多く起こっ …

no image

1ヵ月の変形労働時間制~正しく理解し上手に活用しよう

前回は、未払い残業代などのトラブルを未然に防ぐためにも、介護事業所は、その勤務実態に合った労働時間制を取る必要がある、とお伝えした。今回は、その一つである、多くの介護事業所で導入されている「1ヵ月単位 …

no image

起業のために必要な10のポイント―5.保険

だれだって、事故は起こしたくない。事業を担う経営者であればなおのこと、リスクは回避したい。でも、どんなに気をつけていても、事故は起こってしまうこともある。特に賠償責任は必ず入らなければならない保険だ。 …

no image

地域包括ケア・・わかりにくさの罪

目次1 地域包括ケア特有のわかりにくさに、市町村はどう対応するのか?2 利用者が望むニーズを見極めたサービスの展開が、事業者には問われる3 事業者はわかりやすさの実践で、経営の改善化に努めたい 地域包 …