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介護報酬の算定に使われるバーセルインデックスとは?


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「バーセルインデックス」って某ゲームの技名?

違うぞ、カイポチ。「バーセルインデックス」とは利用者の日常生活の動作を評価する指標じゃ。

なるほど!これ、10項目もあるんだね。これで僕の利用者さんに対するリハビリの効果が見えるんだね

そうじゃ。早速、取り入れてみるのじゃ。

2018年の介護報酬改定で、成果主義の観点が取り入れられました。

各事業所でご利用者のADLの維持や改善に向けて行っている取り組みを、アウトカムとして適切に評価をして介護報酬の金額に反映していこうという考えです。

成果を公平かつ正確に測定するためには基準が必要になりますが、今回の介護報酬改定で使われた、「バーセルインデックス」です。介護や医療の現場で使われてきた指標であり、ADL(日常生活動作)の状態を多項目から判定していきます。

ご利用者のADLの維持・改善の状況により介護報酬が変わってきますから、バーセルインデックスを理解し、事業所の運営に役立てましょう。

バーセルインデックスの項目や評価、2018年の介護報酬改定でどのように使われるかを知りたい方は、この記事を参考にしてください。

指標

バーセルインデックスとは

バーセルインデックスは、高齢者や障害者の身体機能などを、ADL(生活基本動作)を軸にして数値化することを目的に開発された指標です。

介護や医療現場で使われているものであり、わかりやすく簡単に数値化できることが特徴です。

バーセルインデックスは世界的に使われている共通の指標であるため、信頼感がありますし、合計得点が100点で表されるため直感的に理解できる使いやすさもあります。

介護現場で使いやすいことから、2018年の介護報酬改定ではアウトカムの測定のための指標として使われることになっているため、今後は各事業所での注目度が高まる指標と言えるでしょう。

項目など詳細については後述しますが、厚生労働省から評価用紙が公表されていますので参考にしてみてください。

バーセルインデックス様式:厚生労働省Webサイトより

バーセルインデックスの項目

バーセルインデックスの評価項目は10項目から構成されます。

ADLを複合的に評価するための指標ですので、それぞれ生活場面の異なった側面の、動作能力を評価する内容になっています。

10の項目は、食事、移乗(車いすからベッド)、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、着替え、排便コントロール、排尿コントロールです。

それぞれに細かく評価の内容と点数が指定されています。項目の内容と配点の例として、食事と移乗(車いすからベッド)、排尿コントロールに関するものを以下に挙げます。

食事

自立(10点)

  • 自助具を装着して自分で食事することが可能
  • 標準的な時間内で食事を終えることができる

部分介助(5点)

  • 食事を細かく切ってもらうなどの介助を要する
  • こぼさないように見守るなどの介助が必要になる場合も含む

全介助(0点)

  • 全介助

移乗(車いすからベッド)

自立(15点)

  • 車いすからベッドへの移動を全て自分で行うことが可能
  • 車いすのブレーキ、フットレストなどの管理を自分で行える

部分介助(10点)

  • 移動の中で一部分だけ介助を必要とする
  • 車いすのブレーキ操作などについては介助者の声掛けが必要

全介助(0点)

  • 全介助

排尿コントロール

自立(10点)

  • 失禁なし
  • 収尿器の取り扱いが可能

部分介助(5点)

  • 失禁がまれにある
  • 収尿器の取り扱いに際して介助が必要

全介助(0点)

  • 上記以外

バーセルインデックスにおいては、評価項目の中でも特に移動や移乗に関する内容について配点が高くなっています。

バーセルインデックスの評価

バーセルインデックスは100点満点で評価されるので、直感的にわかりやすいことや世界中で広く使われているため、信頼感がある数値と考えられています。

総合評価の点数ごとの目安や、バーセルインデックスの評価の特徴はどのようなものなのでしょうか。

評価基準値

バーセルインデックスにおいては、上で説明した10項目についてそれぞれの項目を0点~15点(配点は項目により異なる)で評価し、合計は0点~100点になります。総合得点ごとに、どの程度のADLが確保されているかの目安は以下のとおりです。

100点 自立して生活を送ることができる。
85点以下 必要な介助量は少ない。
60点以下 主に起居活動動作などへの介助が必要。
40点以下 ほとんどの項目への介助が必要でその量も多い。
20点以下 全てに介助が必要なレベル

評価の特徴

バーセルインデックスの特徴をいくつか挙げます。

まず、得点の明快さが介護現場や医療現場で使われている理由の一つでしょう。各項目に0点~15点が配点されていて、合計が100点になるため、100点法での評価になじみがある私たちにとって理解しやすいです。

また、評価の方法が簡潔なのも特徴です。評価得点が細かく分かれていないため、専門的な知識を持った職員のみが評価できるのではなく、日常的な業務の中で簡便に評価することで評価時間の短縮も図れます。これは、詳細にADLの状態を知りたい場合には、デメリットにもなります。

バーセルインデックスでは「できるADL」を評価します。実際に普段から行っているものではなくても、「できる」ものであれば評価対象となるのです。

2018年介護報酬改定での扱い

2018年の介護報酬改定では、ADL維持等加算においてバーセルインデックスが事業所の評価基準として導入されました。

要介護3以上が一定数を超えているなどの条件を満たした事業所については、バーセルインデックスを評価基準として、ご利用者のADLの維持・向上について一定レベル以上の貢献がある場合には、介護報酬のインセンティブが発生する仕組みです。

バーセルインデックスと他の評価方法との違い

バーセルインデックス以外にも、介護や医療現場で使われる指標があります。主に使われているのは、カッツインデックスとFIMです。以下ではそれぞれの特徴などを解説します。

カッツインデックスとは

1959年にカッツ氏などにより開発された評価の方法で、食事、排尿・排便自制、移動、トイレ、更衣、入浴の6つの項目を評価します。

それぞれについて「自立」と「依存」の2段階での評価を行い、総合的には自立度について分類されたA〜Gのいずれかに当てはまることになります。

項目ごとに自立か依存の2段階のみで評価するので、中間あたりに位置する人の評価を正確に行うことは難しいですが、より単純化してわかりやすく状況をとらえることができるでしょう。

FIMとは

FIMは「Functional Independence Measure」の略語であり、日本語にすると「機能的自立度評価法」となります。

ほかの2種類の評価が単純化され簡便な一方、FIMは手間はかかりますが、ADLを評価する場合に最も信頼性があるものとされています。

FIMでは評価項目は運動系と認知系に分かれていて、合計18項目あります。それぞれについて7段階評価し、合計点数は満点が126点、最低点が18点です。

3つの評価法のメリット、デメリット

わかりやすさと信頼性

バーセルインデックスは100点満点での評価になるため直感的にわかりやすいですし、カッツインデックスについても、A〜Gの7段階に最終的に分類するため、理解しやすいでしょう。

半面、評価の中間点付近に位置するご利用者の実情を、正確に把握することが難しいことや、それぞれの個別の特徴を考慮せずにくくってしまうことの危険性もあります。

他方、FIMでは評価が細分化されているため、信頼性や妥当性については高い評価を得ています。

評価の簡便さ

介護現場での評価指標として使う際には、簡便さも重要です。

バーセルインデックスやカッツインデックスでは、熟練の評価者でなくともある程度一貫した評価ができます。

FIMも簡単に評価できる仕組みではありますが、バーセルインデックスなどに比べて時間がかかります。

通所介護のバーセルインデックス

2018年の介護報酬の改定においては、通所介護のアウトカムを評価し介護報酬でも加算が創設されました。

その際には、バーセルインデックスが用いられるため、通所介護の事業所の経営者は意識する必要があるでしょう。

ご利用者のバーセルインデックスの維持、改善が見られる事業所には、介護報酬のインセンティブが発生するため、事業所の運営が機能訓練に偏らないように、要介護3以上の人数が一定上であることに加えて入浴、食事介助をご利用者のニーズに応じて行っていることなどが評価の前提条件になります。

経営者としては、ほかのニーズを満たしつつ、バーセルインデックスをいかに適切な方法で向上させるかが、事業所の運営資金の確保に重要になるでしょう。

ご利用者にとって利益となる形で、無理なくADL向上に役立つエクササイズの導入なども求められそうです。

バーセルインデックスで評価する際の注意点

バーセルインデックスによる評価は、ともすれば簡単に分類するだけになりがちです。

そのようなことにならないために、それぞれのご利用者の動作が「どのようにして行われているか」、そしてそれに対して「必要な介助はどのようなものか」といった、評価の先にある介助の視点を持つことが大切でしょう。

まとめ

2018年の介護報酬改定で、通所介護事業を経営する経営者にとってはキーワードになってくるバーセルインデックス。

ご利用者のADLを測定し、直感的に理解するために役立つ指標であると同時に、アウトカムの評価指標としてその重要性が増していきます。

介護報酬のインセンティブ確保のために意識する必要がある数値ですが、本来の目的であるご利用者の利益の向上と言う目的を見失わずに、バーセルインデックスを有効に活用する事業所の増加が望まれます。

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