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特別養護老人ホームの設計・改修ですべきこととは?


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特別養護老人ホームの設計費用高そうだから、改修しなくても良いかな

駄目だよ!もし、設備基準を満たしていなかったら、介護報酬が減っちゃうから!!

え!そうなの!早速、特養の改修について調べないと!!

特別養護老人ホームの設計や改修を行おうと思っても、具体的に行動するとなると簡単ではありません。今回の記事では、特別養護老人ホームの設計や改修について解説します。是非、今後の経営のご参考にしてください。

設計・改修

1. 特別養護老人ホームの設計基準

特別養護老人ホームには、従来型・ユニット型・多床室・ユニット型準個室等、様々な種類があります。それぞれの型を設計する際、厚生労働省が定める設備基準に従わなければいけません。しかし、各都道府県の中で条例によって設備基準を設けている時は、そちらを満たす必要があります。各都道府県の条例による設備基準に関しては、各都道府県のwebサイトや福祉保険局に掲載されていますので、参考にしてください。

なお、正式名称は「設備基準」ですが、今回は一部を「設計基準」として表記します。
厚生労働省の示す特別養護老人ホームの設備基準については、「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」の第2章に詳しく掲載されています。

  • 特別養護老人ホームの配置、構造や設備について、日照や採光、換気といった入所者に関する保健衛生についての事項や、防災について十分考慮されていること。
  • その設備については、専ら当該特別養護老人ホーム用として提供するものであること。入所者の処遇に支障がない時は、この限りではありません。
  • 耐火建築物であること。ただし次の要件を満たす場合は、準耐火建築物となる。
    1. 居室等に2階や地階がいずれもないこと
    2. 居室等を2階や地階に設置していて、
      • 所在地管轄の消防長等と相談し、非常災害の具体的計画に入所者の避難に必要な事項が定められている
      • 訓練について、計画に従って昼間や夜間行う
      • 地域住民等との連携体制を整備していること

      ※木造等で、知事が認めた場合、耐火や準耐火を要しないこともあります。

以下の項目については、従来型とユニット型によって基準が異なる部分がありますので、表にして違いを分かりやすく解説していきます。 

ここでは、埼玉県の例を取り上げます。以下に示す設備は、必ず設置しなければなりません。なお、特別養護老人ホームを建築する前に、消防法など建築に関する法律基準を満たすことが必要です。

従来型 ユニット型
居室
  • 1居室定員は1人。ただし必要と認められる時は、2人でも可(開設年度により上限人数が違う)
  • 入居者1人当たり床面積は10.65㎡以上(多床室の場合の4.95㎡以上)
  • 1以上の出入口は、避難の上で有効な空地、廊下または広間へ直接面して作られていること
  • 1居室定員は1人。ただし必要と認められる時は、2人でも可
  • 1ユニット定員は10人以下
  • 1居室床面積は10.65㎡以上(2人居室は21.3㎡以上)
  • 居室を改修した場合、視線が遮断できる環境があれば、天井との間に隙間があっても良い
洗面設備
  • 居室のある階ごとに作る
  • 居室か、共同生活室ごとに適当数作る
便所
  • 居室のある階ごとに作る
  • 居室ごとか、共同生活室ごとに適当数作る

2. 特別養護老人ホームの設計・改修のプロセス

各都道府県のwebサイトの他、福祉保険局のwebサイトでも、特別養護老人ホームの設計計画から開設にあたっての流れが掲載されています。掲載されていない場合は、各都道府県庁の福祉部門へ連絡や相談することをお勧めします。特別養護老人ホームを改修するにあたり、建物の申請や補助の申請を行うため、民間の建設会社や各都道府県庁の福祉部門へ相談する必要があります。

設計のプロセス

今回は、埼玉県の特別養護老人ホームの手引を例にしていきます。

入札、契約、工事関係フロー

設立計画者
ア)土地利用事前の手続き(農振除外、農地転用、都市計画等)

イ)土地利用等の申請(農地転用、都市計画等については、県福祉事務所が補助を内示)

ウ)公告の方法や入札参加基準を決定した後、県福祉事務所へ報告します。その際、手続きを確認してもらう施設の整備については、多額の公金が補助金として交付されることになります。そのため、入札に関しては、透明性と公平性を期する必要があります。一例として埼玉県では、入札や契約手続きについて基準と指導事項を定めており、現在は原則一般競争入札を行います。

エ)公告
発注機関での掲示や新聞または業界誌などへの掲載等によって、以下の事項について公告を行います。

  1. 入札に関しての物件内容
  2. 入札参加者に必要な資格
  3. 入札場所と日時
  4. 入札参加者として必要な資格がない者による入札と、違反した入札については無効とする旨の記載
  5. 契約条件やその他入札に関して必要な事項

オ)入札の説明
以下の説明を行い、業者に工事内容を熟知してもらいます。

  1. 入札を行う心得
  2. 仕様書、図面、契約条件と契約書案等
  3. 疑義の質問に対しての説明

加えて、法令遵守等についても周知徹底します。

カ)予定価格が決定する
契約金額を決める基準となり、予算の範囲の中で理事長または委任を受けた担当者によって作成されます。その後、予定価格調書を作成します。

キ)入札と契約(県福祉事務所が交付を決定し、報告を受けて手続きを確認する)
契約を担保するために、入札保証金を納めます。県の場合、入札見積額の5/100を納めることとなっています。入札保証金を集めるか否かは、法人の判断によります。集めるときは、公告や入札の説明時などにその旨を明示する必要があります。

ク)工事の着工→県福祉事務所への報告により、着工時と中間に工事の検査

ケ)竣工、建築主事検査→県福祉事務所へ、工事検査の報告

コ)登記等関係官公署事務

サ)老人福祉法と介護保険法の手続き

シ)開所

改修のプロセス

特別養護老人ホームを改修する際の流れについて、説明します。

① 建物診断

建築や設備の現状によって、改修が必要か否かの診断を行います。建物診断レポートによって、診断結果を出します。

② 基本計画策定

改修の方針を決定します。建物の図面と、これまで行った改修に関しての図面等資料を確認します。現状困っていることや意向、事業の方向性などを整理します。それらを受けて、実施内容や期間、予算などについて方針を決定します。

③ 実施計画策定

決定した方針を実施していくための、実施計画を策定します。計画を策定するにあたっては、施設や設備、運営などについて細かな調査を行います。

図面がない時は、実測によって必要な図面を作成しましょう。具体的に改修を行う場所や内容、スケジュールと見積、資金計画などについて決めていきます。

必要に応じて、地方公共団体等に補助金を申請します。申請の際に必要となる資料について、実施計画の中で検討し作成します。注意すべき点は、大規模な改修については、補助金を受けなくても行政に相談と連絡をとらなければなりません。

地方公共団体から補助金を受ける時は、補助の内示が出るまでは、施工者と契約することはできません。その後工事施工者を選び、入札を支援します。

④ 工事実施

工事を始めてから分かることもあります。その場合、計画も修正となることも予想されます。工事や運営の状況をよく確認しながら、改修の工事を行ってもらいましょう。

3. 特別養護老人ホームの設計のポイント

特別養護老人ホームの入居対象者は、基本的に要介護度が3以上の高齢者に限られています。そのため、災害等緊急事態が起こった際、自力で避難することが困難なため、施設自体の耐震化や防火対策が必須となります。

2013年2月に発生した長崎市の認知症高齢者グループホーム火災などの事故を受けて、国が耐震化や防火対策を推進しています。消防庁では、高齢者施設のスプリンクラー設備に関して、面積要件などを見直すための消防法施行令の改正が行われ、2015年4月に施行されました。

2015年4月以前は、スプリンクラー設備などが設置されていない施設等については、計画的に設置されていました。小規模施設の消化ポンプ等に必要な助成のほか、小規模多機能型居宅介護事業所やケアハウスへスプリンクラーを助成する費用が割り当てられています。

耐震化については、2002年4月時点で全国の社会福祉施設等の耐震化率は92.4%でした。自力で避難することが困難な人が入居していることから、全ての施設で耐震化になっている必要があります。そのため、特に耐震化率が低い都道府県等に関しては、一般財源からの補助制度や整備等特例基金などを活用して、耐震化整備が図られました。

電力需給対策についても、全国的な節電対策が求められています。介護施設等に関しては、その規模から多くの電力消費が見込まれるため、節電への協力が必要です。計画停電のおそれがある地域に関しては、自家発電設備を整備するなど急な停電で入居者が困ることのないよう配慮しなければなりません。

4. 特別養護老人ホームの設計・改修の費用

特別養護老人ホームの設計や改修費用については、建設を行う民間の建設会社によって異なります。また、建設する予定の立地条件や、施設の規模などによっても異なってきます。

特別養護老人ホームを設計する際に要する費用

① 物件取得費、設計費

土地・建物を購入する時に必要な代金です。仲介手数料なども含まれます。設計は設計事務所との入札契約が必要です。

② 施工費

建物に関しての躯体工事や、外装や内装工事、また基礎工事などにかかる費用のことです。施工会社の決定も入札契約となります。

③ 器具・什器

事務所のデスクやOA機器等の器具にかかる費用のことです。入札に準じた取り扱いとなります。

④ 備品

パソコンや電話などの通信機器や、テーブル、椅子などの事務用品など施設運営を行うにあたって必要な備品類にかかる費用です。施設の規模が大きくなると、必要な備品数も多くなりますので、それだけ費用も多くなります。

⑤ 印刷DMなどの販促費

開設する特別養護老人ホームの宣伝のために、近隣住民や各事業所へ配布するDM作成費のことです。チラシ等を配布する枚数によって、費用が変わってきます。

特別養護老人ホームを改修する際の流れ

  1. 建築や設備などの現状によって、改修が必要かどうか診断。
  2. 診断の結果を、建物診断レポートとして作成
  3. 基本計画の策定
  4. 実施計画の策定
  5. 工事の実施
  6. 完了

特別養護老人ホームを改修する際に掛かる費用

① 施設の一部改修費

経年劣化などにより使用出来なくなった浴室や外壁改修工事などにかかる費用

② 給排水設備や電気、ガス設備、冷暖房設備などの改修のための費用

環境上の条件などによって必要となる一部改修費用アスベスト処理工事等に関連する工事にかかる費用

③ 消防法、建築基準法等関係法令の改正による改修費

消防法令が改正されたことに伴って、新たに設置が義務付けられているものにかかる費用

④ 土砂災害等に備えた施設の一部改修費

土砂災害等危険区域に設置されている施設の防災対策又は緊急災害時用の自家発電設備を整備するための費用

まとめ

今回は、特別養護老人ホームの設計と改修に関して説明しました。補助金等を活用して、開設に向けてスムーズに進めましょう。

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