独立開業・起業

デイサービス(通所介護)開業に向けて、これだけおさえておけば安心!

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デイサービスで開業しようと考えているんだけど、指定基準だけ押えればいいのかな?

確かに、指定基準は大事だけど…他にも、重要なことがたくさんあるから調べるのじゃ

えーっ勉強するの大変だな…デイサービスを開業する際に必要な最低限の知識がまとまった虎の巻でもあれば良いのに…

2025年には、約800万人と言われる団塊の世代が75歳になり、国民の3人に1人が65歳以上という超高齢社会を迎えます。

医療施設は増えないまま、病気になっても病院で過ごせない高齢者が溢れることが予想されます。

在宅での療養生活の負担を少しでも軽減するため、高齢者ご自身の生活を支援していくため、デイサービス(通所介護)が果たす役目は大きくなっていくでしょう。

そんな超高齢社会に必要なデイサービスを開業するにあたり、準備することは数多くあります。

「まず初めに何をすればいいか」、「開業の後はどうすれば…?」など、この記事で順を追って説明していきたいと思います。

この記事が、少しでもあなたの介護事業所経営に役立つことを願っています。

始まり

デイサービス開業による報酬は?

開業後に最も気になるのが「利益」です。ここでは、サービスでカバーする人数を基本に、損益の分岐点を考えていきたいと思います。

収支差分

デイサービスの収支差分は平均10%であり、中小企業の収支差分は平均3%くらいですから利益はあると言えます。月に300万円の売上があれば、利益は30万円ということになります。

定員10名の場合

定員が10人以下の小規模デイサービスの売上は、月におおよそ200~250万円ほどで、利益率は6~10%です。

経営者年収は300~400万円になります。小規模デイサービスで入浴や食事のサービスを行うと、職員の負担が大きくなるため、注力のし過ぎは危険ですが、入浴や食事サービスがある事業所は人気が高いため、負担が大きくとも実施しているところが多くあります。

定員20名の場合

定員20人の場合の年収は、約1000万円になります。稼働率を100%で設定してしまうと、ご利用者が減ってしまった時のダメージが大きいため、80%ほどで考えていくのが良いでしょう。

定員30名の場合

定員30人になると大きい事業所の部類に入ります。年収は1500万円ほど。ご利用者の人数を常に一定にしておくことが、経営において重要です。

また、営業をかけてご利用者を増やしていかなければならないのと同時に、職員の確保も大切です。職員の規定人数を満たさなければなりません。

損益分岐点

デイサービスを開業・経営していく上で大切なのは、売り上げを上げることです。売上高から経費(人件費、土地代、家賃、リース料、消耗品、光熱費など)を引いた額が0になる分岐点が損益分岐点です。

経費を引いた金額がマイナスになれば、当然赤字ということになります。

小規模デイサービスの一例ですが、月200万円の売上額を下回ってしまうと、赤字になってしまいます。

そのためには、述べ180人以上のご利用者を確保しなければなりません。経営者であるあなたご自身が、管理者や機能訓練指導員などを兼務することにより経費は抑えられることになります。

デイサービスの開業手順

法人の設立から指定を受け開業するまで

法人格として設立する

  • 株式会社設立…資本金1円~ 取締役1名、登録期間3週間から1ヵ月。最も費用がかかる。20万円(※登録免許税の15万円、定款認証費用の5万円)が必要。
  • 合同会社…認証が必要ないのでスピーディーに設立可能。経費も10万円ほど。認知度が低い。

事務所の設立

どの場所に事業所を設立するかは、今後の経営に大きく影響するため慎重に検討する。

高齢者の人口増減、高齢者の総数、所得層、採用環境、事業所の数、人気のある事業者かどうか、候補物件の周辺の特徴、市街化調整区域ではないか(都市計画法)、用途変更手続きが不要か(建築基準法)、自動火災報知機等の設置の要否(消防法)、建物が介護事業所として適合するか(条例)、建物、場所の許可が下りるか(介護保険法)など確認しておく。

また、経営するデイサービスの規模の大きさに合わせた物件を選ぶ必要があります。

人員の確保

求人方法…ハローワーク、求人サイト、フリーペーパー、大学の就職窓口など。

開業するデイサービスの規模により、確保しなければならない人員(人員配置)が違います。

地域密着型デイサービス(ご利用者18人以下)
  • 管理者1名(常勤)、生活相談員1名、看護師1名以上、介護職員1名以上、(定員10人以下の場合には看護師または介護職員1名以上)、機能訓練指導員1名以上
通常規模デイサービス(ご利用者18人を超える)
  • 管理者1名(常勤)、生活相談員1名以上、看護師1名以上、介護職員1名以上、機能訓練指導員1名以上

事務所の備品の準備

机、いす、パソコン、介護保険請求ソフト、送迎車、プリンタ・ファックス・電話、ベッドなど

指定申請書類の準備

指定申請に必要な書類…設備基準関係、人員基準関係、運営基準関係、損害賠償保険(介護保険請求ソフトについているものもあり)、電話番号、FAX番号

都道府県・政令指定都市・中核市の担当部署(通常規模デイサービスの場合、地域密着型の場合には市区町村の担当窓口)に行き、指定に関わる建物・人員の確認や質問などを事前に相談しておくこと。管轄の行政(県民局等)へ申請書類を提出。管轄庁によって提出時期および、提出先が異なるので事前相談時に要確認。
審査を通過したら、指定を受け事業所番号が発行される。「指定通知」が届き、晴れて開業できる。

デイサービスの開設要件

  1. 法人であり、定款の目的欄に当該事業所に関して記載があること
  2. 指定基準(人員基準、設置基準、運営基準)を満たしていること

人員基準

  • 管理者…常勤者で1名を配置しなければならない。特に資格は関係ないので生活相談員、介護職員、機能訓練指導員との兼務ができる。
  • 生活相談員…常勤者で1名を配置しなければならない。社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、社会福祉主事任用資格、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を持った者でなければならない。
  • 介護職員…ご利用者が15名未満の施設では専従の従業員として、1名を配置しなければならない。16~20名では2名、21~25名では3名、26~30名では4名と、1~5名に対し1名配置しなければならない。資格は特に必要ない。
  • 機能訓練指導員…事業所1カ所につき1名以上配置する必要あり。
  • 看護職員…サービスを提供する時間帯、ずっと専従する必要はない。その時間帯の中において、事業所と常に連携を図れるように1名以上を配置しなければならない。

設置基準

デイサービスの開業にあたり、下記の基準すべてを満たす必要があります。自治体により、より細かな規定を設けている場合があるので注意が必要です。

  1. 食堂および機能訓練室…必要な広さは、それぞれ利用定員に3平方メートルをかけた広さが必要です。テーブル、椅子、レクや機能訓練に必要な設備を備えます。食堂と機能訓練室を併用とすることが可能です。
  2. 静養室…ご利用者の気分が悪くなった時に利用できる部屋を用意する。プライバシーが確保された部屋で、かつ備品が格納できる部屋。ベッド、布団(掛け・敷き)、まくら。埃が舞うような心配があれば、布団でなくベッドにする。利用定員に対して、適当な広さを確保します。
  3. 相談室…プライバシーの確保の観点から原則、個室とする。完全な個室とならない場合はパーテーションなどで遮ることが必要です。必要数の机、椅子を用意します。
  4. 事務室…従業員、設備、備品を配置できるスペースを設ける。
    1.3平方メートル(机1台最低スペース)×常勤スタッフ数程度が必要です。
  5. 消防設備等…消防法で義務付けられた消火設備を設置しなければならない。調理等を行わない施設でも消火器等は設置する。収容人数が30人以上の事業所では、防火管理者を配置すること。

※指定基準(特に人員基準)は各都道府県等によって異なる場合があるため、申請の際は必ず各自治体のサイトを確認しましょう。

デイサービスの開業資金

デイサービスを開業するには、様々な準備が必要です。施設を作る地域選びから始まり、どんなコンセプトで運営していくのか、資金繰りはどうするのか、指定申請は?…初めてのことばかりで戸惑ってしまいます。

そんな方のために、デイサービス開業に関わる全てのことを代行してくれるサービスがあります。

例えば、社会保険労務士事務所などが提供している「デイサービス指定許可申請代行サービス」は、20~30万円ほど+法定費用で次のようなサービスを提供しています。

  1. 指定申請書類の作成代行、行政への申請代行
  2. 開業予定物件の事前確認
  3. 申請窓口への事前相談代行
  4. 開業手続、契約周りの相談
  5. 雇用契約書の雛形作成、社保・雇用保険の申請業務代行

※掛かる実費は自治体により異なるため、詳しくは各都道府県、市町村のサイト等で確認してください。
※事務所により法人設立から代行している場合もあります。

例えばデイサービス開業にかかる費用は…

  • 物件取得費…地域による相場の違いがあるので、賃貸で7,000円/坪として150万円ほどになります。
  • 内装費…業者により価格は違いますが、平均を取って300万円くらいと考えてください。
  • 机やいす、パソコン、プリンターなどの備品…100万円ほど。
  • 送迎車…1台 70万円くらい(福祉車両でなくても可)
  • 広告費…施設のパンフレットなどで30万円くらい。
  • 人材費…求人広告費など30万円くらい。
  • リハビリに使用する機器…リース代として550万円~。

デイサービス開業の資金調達方法

公的な融資

日本政策金融金庫

日本政策金融公庫とは、100%政府出資の政策金融機関です。

日本政策金融公庫にもいろいろな融資制度があります。新たに介護事業を始める方は、下記の制度が活用できます。

  1. 新創業融資制度(無担保、無保証)
  2. 新規開業資金
  3. 女性、若者/シニア起業家資金
  4. 再チャレンジ支援融資

▼公的融資には都道府県や市町村などの自治体が行っているものもあります。日本政策金融金庫と比べると融資枠は少額ですが、比較的簡単に借りられるメリットがあります。詳しくは各都道府県・各自治体のサイトをご確認ください。 

介護ファクタリング

介護保険制度は、国民健康保険団体連合会(国保連)から介護報酬を受け取り、初めて収入を得ることができます。約2ヵ月の期間がかかるので、それまでにかかる人件費や設備費、光熱費などを用意しておく必要があります。「介護ファクタリング」というサービスを利用すれば、早期に資金を調達することができます。介護報酬の債権譲渡による資金調達のため、保証人など不要で、借り入れにもなりません。

銀行などからの融資を受ける 

介護事業は伸び盛りのサービス業であるため、融資を行っているメガバンクや市中の銀行は数多くあります。運営にあたって、今後たびたび資金を融通しなければならない可能性を考えると、所在地域の銀行から融資を受けるメリットは大いにあります。

補助金や助成金を受ける

助成金とは、一定の条件を満たした事業主が申請をすれば、国や公共団体から支給を受けることができる、返済の必要がない給付金です。デイサービス開業の資金調達として、次のような助成金が使えることもありますので、確認しておきましょう。

  1. 職場定着支援助成金(雇用管理制度助成コース)
  2. 職場定着支援助成金(介護労働者雇用管理制度助成コース)
  3. キャリアアップ助成金(諸手当制度共通化コース)
  4. キャリアアップ助成金(正社員化コース)

デイサービス開業のための物件の選び方

どのようなデイサービスを開業したいのか決める

自分が開業したいデイサービスは、地域密着型なのか通常デイサービスなのか決めてから、物件を探します。

開業したい地域の不動産を何件か回る

どんなデイサービスを開業するか決め、どの地域で運営するかが固まったら、その地域の不動産屋を何件か回ります。不動産屋によって扱っている物件は様々ですので、なるべく多くの不動産屋から情報を聞きましょう。

デイサービス開業として使用できる物件か確認する

デイサービス用として借用できる物件か不動産屋に確認することが重要です。

設備基準を満たしている物件か法令を遵守している物件か確認する

どんなに良い物件でも、デイサービスの設備基準を満たしていない物件は使用できません。

また、法令を遵守しているかどうかの確認も重要です。

開業したいデイサービスのコンセプトに合い、条件を満たしているか最終確認

ご自分の開業したいデイサービスのコンセプトにあった物件で、立地条件も良く、設備基準を満たしているもの、または少ない改修で対応できるものなら正式に賃貸契約をしましょう。

デイサービス開設の際の留意点

  • デイサービスを開業する際には、売上から考えて小規模デイサービスより、20人を超える通常規模のデイサービスを運営するほうが安定した経営ができ、収入も見込めるので経営形態については慎重に検討しましょう。
  • デイサービスを開業する場所については、その地域に高齢者がどのくらい住んでいるか? ライバルであるデイサービスが近隣にあるか? 職員を雇用する際の利便性などについて細かく調査してから決めましょう。
  • 資金調達の方法にはいくつかありますが、介護報酬が入ってくるまでのタイムラグなどを踏まえて、「介護ファクタリング」などを使うことも考えておきましょう。
    ※関連記事「介護におけるファクタリングとは?
  • デイサービス開業にあたり、様々な開設要件があります。事前に調査をしてその要件を満たす施設を運営しなくてはなりません。特に注意したいのが、人員配置などの指定基準です。
    また、指定基準は各都道府県等、自治体で異なる場合がありますので、必ずデイサービスを開業する自治体のサイトなどで確認をしておきましょう。
  • デイサービス開業における工程を代行して行うサービスがあります。ご自分で様々な手続きをするのに時間がない方や不安な方は、サービスを使い、迅速で安心に開業までこぎつけましょう。
    ※デイサービスの開業を無料支援するサービス「カイポケ開業支援(無料)

まとめ

超高齢社会においてデイサービスを開業することは、とても有意義でビジネスとして報酬を見込めるものでもあります。

病院や施設で過ごすことができる人がどんどん減り、自宅で介護を受ける人が増えていきます。デイサービスは、介護されるご本人とそのご家族の負担を減らすために必要なサービスです。

しかし、デイサービスを開業するには、各都道府県等に申請して審査を受け、人員の確保、設備の基準などについてその要件を満たさなければ開業することはできません。

デイサービスの開業をお考えの方に、まず何から始めていけばいいのかについてまとめてみました。

超高齢社会において、デイサービスを開業しようとお考えの方もいらっしゃると思います。この記事が少しでもお役に立った方はぜひシェアをお願いいたします。

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