独立開業・起業

訪問入浴介護事業を起業する際に知っておきたいこと

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訪問入浴介護の開業って、水を扱うから指定基準とか大変そうだなぁ..

確かに、指定基準を満たすことは簡単では無いけど、しっかりと準備をすれば大丈夫!そのためにもまずはなにが必要かを知ることが大事だね

訪問入浴介護事業を開業・立ち上げをお考えの皆様。起業する際の手順や申請方法、資金調達方法などをしっかりと理解できていますでしょうか。

ここでは、事業を開設するまでに知っておきたいポイントについてわかりやすく説明していきます。

今後、訪問入浴介護事業を開業・立ち上げする際の参考になさってください。

バスローブを着る老人

訪問入浴介護事業の起業の前に

訪問入浴介護とは

訪問入浴は、一人で自宅のお風呂に入ることが難しい方に対して、ご利用者の自宅に特殊浴槽を持ち込み、入浴の介助を行うことです。ご利用者宅のお風呂を利用して入浴を助ける、訪問介護の「身体介護サービス」とは違います。

訪問入浴では、特殊浴槽を積んだ入浴車で、介護スタッフ2名、看護スタッフ1名の3名が特殊浴槽にお湯を溜めて、入浴の介助をします。看護スタッフがついているため、バイタルチェックや体調確認もしっかりとフォロー。

寝たきりの人でも寝たままの状態で入浴でき、3名のスタッフが浴槽で洗身するので、家族は安心して任せられます。浴槽が置けるスペースさえ確保できれば、訪問入浴が行える手軽さも特長です。

訪問入浴は要介護1~5、介護予防訪問入浴介護は要支援1、2の方が利用できますが、比較的料金が高額なため、介護度が高い人が利用するケースが多いです。

要支援1、2の方は、自宅に浴室がない場合や感染症などの理由で、デイサービス等の施設で入浴が難しい場合が多いようです。

訪問入浴介護事業の起業までの手順について

訪問入浴介護事業を起業するまでの手順について説明します。

法人の設立について

訪問入浴介護事業を起業するには、まず法人格を得なくてはなりません。

法人格は、株式会社、合同会社、医療法人、社会福祉法人、NPO法人などです。定款の事業目的には「介護保険法に基づく訪問入浴介護事業・介護予防訪問入浴介護事業」「介護保険法に基づく居宅サービス事業」「介護保険法に基づく介護予防サービス事業」などの文言を入れることが必要です。

すでに法人である方が新たに起業する場合には、定款の事業目的に文言を入れる必要があり、入っていなければ定款・登記簿謄本の事業目的の変更手続きを行う必要があります。

事務所の設立

次に設備基準に合った事務所を探します。事務所には設備基準にある事務室スペースとパーテーションなどで仕切った相談室のスペース、感染防止のための手洗いスペース、トイレなどが必要です。

広さの規定はありませんが、スタッフの机や椅子、鍵付き書庫、備品などが置けるスペースが必要です。

相談室は相談者の話が漏洩しないように、個室かパーテーションで仕切るなどしてスペースを確保します。加えて、訪問入浴車を置ける駐車場が、車両の台数分必要です。

人員の確保

人員基準として決められている人数は、最低確保しなくてはなりません。人員確保のために、人づての紹介、ハローワークへの掲出、募集広告の掲載などを始めましょう。

事務所備品の準備

事務所備品として必要なもの。

  • 訪問入浴車(入浴設備のある車のこと)
  • 訪問入浴介護に必要な浴槽(寝たまま入浴できる簡易浴槽)
  • 鍵付き書庫、机、椅子必要数
  • 手指消毒アルコール、石鹸など

指定申請書類の準備

訪問入浴介護事業を始める前に都道府県等への指定申請をして、審査に通らなくてはなりません。

申請書類や申請期日は都道府県によって異なりますが、提出月の翌月1日に認可がおりる場合が多いです。申請書類は次の書類になります。

  • 指定申請書1通
  • 訪問入浴、介護予防訪問入浴事業所の指定に係る記載事項(付表2)
  • 定款の写し(原本証明が必要)
  • 登記簿謄本(発効後3ヵ月以内の原本)
  • 従業者の勤務体制および勤務形態一覧表
  • 資格証明書の写し、実務経験証明書等(原本が必要)
  • 組織体系図
  • 管理者の経歴書
  • 設備、備品等の一覧表
  • 自動車車検証等(訪問入浴車)の写し(原本証明が必要)
  • 駐車場賃貸契約書の写し(別に駐車場を借りる場合原本証明が必要)
  • 事務所の写真(内部と外観)
  • 事業所の平面図
  • 事業所の案内地図
  • 事業所が賃貸なら賃貸借契約書の写し(原本証明が必要)
  • 運営規程
  • ご利用者からの苦情処理を講ずる措置についての書類
  • 資産状況を証明する書類(決算書、財産目録等、原本証明が必要)
  • 損害賠償責任保険証書(原本証明が必要)
  • 協力医療機関との契約内容(原本証明が必要)
  • 欠格事由に該当しない旨の誓約書
  • 役員名簿
  • 介護給付費算定に係る体制等状況一覧表
  • 誓約書

 など

印鑑を使用する時は、法人代表のものを押します。

指定申請書類の提出

申請書類の準備ができたら、各都道府県等の指定機関に提出して、その後審査が行われます。

例えば東京都の場合は、指定月2ヵ月前末日までに東京都福祉保健財団事業者指定室に書類を提出し、指定前月末日までに審査結果が通知され、指定月の1日に申請がおります。

申請がおりない場合は、次回にもう一度申請します。

指定を受け開業

訪問入浴事業の指定を受けたら、いよいよ開業です。

訪問入浴介護事務所の設立までの要件とは?

法人であること

訪問入浴介護事業の指定を受けるためには、株式会社、合同会社、社会福祉法人、医療法
人などでなくてはなりません。

指定基準を満たしていること

人員基準

管理者 1名 資格は必要ない。専従の常勤職員で兼任もできる
看護職員 1名以上 看護師または准看護師
介護職員 2名以上 資格は必要なし

設備基準

  • 事務室:広さの規定はありませんが、人員が作業できる専用の事務スペースと鍵付き書庫が必要です。
  • 相談室:ご利用者のプライバシーを保護するため、相談できるスペースを取り、パーテーションなどで仕切るか個室で、テーブルや椅子などを設置する。
  • 浴槽:体が不自由な方も入れる簡易の浴槽。
    入浴設備が備わった簡易浴槽を運ぶことができる入浴車が必要。
  • その他設備・備品等:感染症の予防のための手指消毒ができる洗面所。

運営基準

運営基準は数多くあるため、主な基準を挙げていきます。

訪問入浴介護サービスに関する内容および手続の説明と同意

提供を開始する時は、ご利用者家族に対し、運営規程の概要、訪問入浴介護従事者の勤務体制などの内容を説明し、同意を得なくてはならない

指定訪問入浴介護サービスの基本取り扱い方針

ご利用者の要介護状態の軽減と維持を図り、質の評価と改善を図る

指定訪問入浴介護の具体的取扱い方針

常にご利用者の心身の状況や環境を把握し、適切な介護技術でサービスの提供を行う。サービスの提供に使用する設備・器具等はサービス提供ごとに消毒する

運営規程

運営規程には、運営方針、職務内容、営業時間、訪問入浴介護の内容および費用の額、実施地域などの運営に関する重要事項を定めておかなくてはならない

緊急時の対応

指定訪問入浴介護を行っている時に、ご利用者の状態に急変が生じた場合、速やかに主治医や協力連絡機関へ連絡しなくてはならない

訪問入浴介護事業の起業に必要な費用はいくら?

会社設立には次のような費用がかかります。また、代行サービスを利用する場合のサービス料も挙げていきます。

会社設立費用

法人を設立するために、法務局へ登記が必要です。

株式会社の場合・・・合計25万円~

  • 定款認証手数料(5万円)+謄本交付手数料(1枚250円で枚数分、約2千円)
  • 収入印紙代(4万円)
  • 設立登記にかかる費用(15万円 ただし資本金の7/1000が15万円を超えた場合はその額)

合同会社の場合・・・合計10万円~

  • 登録免許税(6万円、ただし資本金の7/1000が6万円を超えた場合はその額)
  • 収入印紙代(4万円)

NPO法人の場合・・・非課税なので0円

ただし所轄庁の認証を得なくてはなりません。

物件取得費

新規に事務所を構えるためには賃貸料と敷金、礼金、管理費などが必要です。特に広さの基準はありませんが、介護職員や看護職員の作業するスペースと、相談室、トイレ、手洗い場などのスペースがある事務所が必要です。(賃料が10万円とすると70万円ほど)

備品等

訪問入浴設備が整った車両1台と簡易浴槽で約400万円以上かかります。

備品として、職員の机や椅子、相談室の机や椅子、電話、FAX、パソコン、プリンター、鍵付き書庫、感染防止の消毒液、看護業務に必要な血圧計、体温計、ガーゼなどの消耗品等の備品が必要です。

おおむね100万円ほどみておくと良いでしょう。車両1台と考えた場合、最低でも500万円ほどの備品代が必要になります。

人件費

看護職員1名と介護職員2名の誰かが管理者を兼任しているとしても、最低3名の人件費がかかります。

看護師(管理者を兼任)が約40万円、介護職員2名が約40万円で、計80万円です。車両1台あたり3名のスタッフのため、台数が増えればその分人件費が増えることになります。

求人広告・宣伝費

看護職員や介護職員を採用するために募集広告を出す費用が必要です。それ以外にパンフレット、リーフレット、webサイト立ち上げなど、訪問入浴事業所を広く知ってもらうための宣伝費が50万円ほど必要です。

指定申請手数料

新規に事業を始める場合の申請手数料は約3万円です。

代行サービスについて

A社

単発の代行を受けており、顧問契約の締結はありません。費用は、下記に示す代行費用のみです。

打ち合わせ、指定を受けるためのアドバイス、書類作成、図面作成、写真撮影、申請手続き(報酬15万円、実費3万円)

B社

福岡を中心として九州エリアをサポートしている行政書士法人です。

指定申請サポート(報酬129,600円、実費3万円)

C社

大阪、京都、兵庫、奈良の介護事業の開業を支援しています。

顧問契約を結ばない場合

指定申請費用(報酬10万円、実費3万円)

顧問契約を結んだ場合

指定申請費用(報酬49,800円、実費3万円)

居宅サービスの場合、施設のように物件の初期費用はあまりかかりません。

しかし、訪問入浴介護事業では入浴車両の改造費に費用がかかり、人件費もかさみます。

とくに看護師や介護士は不足しているため、人員確保のために求人広告費等がかさむ傾向にあります。

車両の償却費や3名の人件費、燃料代、事務所の維持費などがかかるため、当分は利益が出づらいと考えられます。

その点を考えて収支計画を立てていく必要があります。

指定申請手数料は、各都道府県・自治体によって異なります。詳しくは、各都道府県・自治体のサイトを確認して下さい。

訪問入浴介護事業の起業の際に資金を調達する方法とは?

公的な融資

日本政策金融公庫

新創業制度

日本政策金融公庫では、新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする資金の融資を行っている。

融資限度額 7,200万円(運転資金4,800万円)
 返済期間 設備資金は20年以内、運転資金は7年以内で返済(据え置き期間は2年)

新規開業資金

新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方、創業の際に創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金)を確認できる方などに融資する資金です。

融資限度額 3千万円(うち運転資金1,500万円)
 返済期間 公的融資制度で定める返済期間

女性、若者・シニア起業家資金

35歳未満か55歳以上の女性の方で、新しく事業を始める方や事業開始後おおよそ7年以内の方に融資する資金です。

融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
 返済期間 設備資金が20年以内、運転資金が7年以内の返済(据え置き期間は2年)

公的融資には、都道府県や市町村などの自治体が手掛けているものもあります。

日本政策金融公庫の融資枠に比べると小額ですが、比較的簡便に借りられるメリットがあります。詳しくは、各自治体、都道府県のサイトを参照ください。

銀行からの融資

しっかりした事業計画書を提出し、先の見通しを説明することで審査が受けやすくなります。日本政策金融公庫のように金利は安くない場合が多いです。

補助金や助成金

助成金には会社設立前や従業員雇用前に、手続きをしなくてはならないものもあります。

特定の要件に適合する人材の雇い入れ時など人材に関するものや、福祉機器の購入時などに受けられる助成金があるので、事前に最寄りの自治体や労働局などに確認をしてみましょう。

訪問入浴介護事業の起業の際の留意点

必要経費が高い傾向にある

訪問入浴の場合、介護報酬は高い傾向にあります。

訪問入浴の提供時間は1回1時間程度で、準備時間も入れると90分ほどかかります。

移動時間も考えると、1日4件ほどの訪問に限られるため、ご利用者がコンスタントにいる場合の売り上げは月に150万円ほどでしょう。

しかし、車の償却費や最低3名分は必要な人件費、事務室の維持費などが、介護報酬が入らない最初の3ヵ月からかかるため、その分の運営資金が必要です。

また、例え車の償却ができたとしてもあまり儲けがなく、事業から撤退する事業所もあります。

そのため、単独で提供するサービスというよりも、他の事業と複合的に組み合わせ、成功しているところが多いようです。

資金調達には十分な余裕を

助成金は開業の1か月前に申請しなければいけないものもあるので、よく調べてから収支計画をたてて資金を調達する必要があります。

人員確保が難しい場合がある

訪問入浴介護事業を開業する時は、人員として看護職員と介護職員が必要です。

複数の事業を行っているところでは他部署からの応援という手もありますが、単独で訪問入浴介護事業をしているところでは人員不足に陥りがちです。

募集広告を出しても人員が集まらず、開業できないということにならないように、人手不足の対策も考えておく必要があります。

まとめ

今後高齢者が増えてくるにつれて、在宅での訪問入浴介護事業の必要性は高まっていくでしょう。

その一方で、深刻な人材不足という問題に直面しているだけでなく、人件費が上がる中で、訪問入浴介護事業をどのように経営していくかという課題も残されています。

この記事が、これから訪問入浴介護事業を開設しようと考えている方の参考になるようにシェアをお願いいたします。

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