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ショートステイ開業にむけて押さえておきたいポイント!

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ショートステイの開業・設立までは様々な手順を踏まないといけません。開業手順や開業の要件、資金の調達方法などについて押さえておきたいポイントを記事にまとめています。

ぜひ、ショートステイの開業にお役立てください。

ポイント

ショートステイを開業する前に

ショートステイとは

ショートステイとは、数日から30日間、短期的に施設に入所し、日常生活の介護や機能訓練を受けて過ごすことで短期入所生活介護・短期入所療養介護とも言います。

介護をしている人の負担を軽減することや、冠婚葬祭など何かあってその間介護が出来ないなどの理由でショートステイを申し込む場合が多いです。

利用できる期間は、介護保険の認定有効期間のおおむね半数までとされています。つまり、認定有効期間が730日の場合、累積365日になります。連続して利用できるのは30日までです。それ以上は自己負担になります。

また、平成24年4月から介護保険の制度改正により、介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)の空室を活用したショートステイ(短期利用特定施設入居者生活介護)が可能になりました。

当初は認知度が低く、また事業者側に厳しい実施要件が課せられていたため実施する事業者が少ない状況でしたが、平成27年4月の制度改正時に、利用促進を図る観点から要件が緩和されたため、特に都市部においては利用する方が増加傾向にあります。

今回は短期入所生活介護・短期入所療養介護のショートステイについて詳しく記載していきます。

ショートステイの利用対象者

ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)の利用できる対象者は要介護1~5と認定された人です。短期入所療養介護は医療的な面も含めた介護サービスになります。要支援の人は、介護予防短期入所生活介護の利用となります。

ショートステイの種類

ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)には併設型と単独型があります。併設型は特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護療養型医療施設などの施設が経営していて、そこにショートステイがある場合です。ほとんどのショートステイは併設型になります。単独型はショートステイ専門の施設として運営されています。

部屋には2名から4名が1室である多床室、個室の従来型、居室は個室でも食事や談話などの共同生活スペースがあるユニット型に分けられます。

近年、介護報酬が改正で減額されていく傾向にあるため、介護施設の経営が難しくなってきています。医療法人や社会福祉法人だと税制面で有利ですが、営利法人は税制面で不利になっています。

単独でショートステイを開設した場合、併設型と比較して小規模での運営となるため、食事提供や事務管理コストなどの間接費用が割高になること、また夜間の対応が人手的に難しくなる場合もあります。

ショートステイ事業者の多くは特養や老健と併設され、調理室や面談室などの設備を共用したり、間接部門のコストにスケールメリットを活かして割安に抑える運営努力をしたりしていることを考えると単独での運営がいかに難しいかが分かるでしょう。

ショートステイの開業手順とは?

ショートステイを開業するためには次のような手順を踏みます。

ショートステイの開業手順とは

法人の設立

必ず株式会社や合同会社、NPO法人、社会福祉法人などの法人格であることが必要なので、法人格でない場合、法人の設立手続きを行います。会社の定款の事業目的欄に「介護保険法に基づくショートステイ(短期入所生活介護)」と明記します。ショートステイは社会福祉法人だけでなく医療法人や民間企業でも開設できます。

事業所の設立

物件の取得

物件は建築基準法の耐火基準を満たしていて、居室、食堂、機能訓練室、浴室、便所、洗面設備、医務室、静養室、面談室、介護職員室、看護職員室、調理室、洗濯室、汚物処理室、介護材料室などの部屋を設けるだけのスペースが必要です。

まずは物件取得のために、不動産サイトで検索してから複数の不動産会社に説明を聞き、商圏調査を行ってから物件を決めます。

法令検証

介護保険法や建築基準法、条令などの法令を検証します。

改装工事等

設備基準上必要な部屋や設備の内装工事にかかります。内装工事は3ヶ月~6ヶ月を見積もっておきましょう。

人員の確保

人員基準を満たすため、人員を募集して確保します。開設しようとするショートステイのコンセプトを明確にして、募集するとき働いてみたいと思うようなインパクトのある募集広告を載せると目に留まりやすいです。人員が確保出来たら、その時に雇用契約書を交わしておきます。

事務所備品の準備

事務所の備品には、パソコン、FAX、プリンター、事務用の机や椅子、相談室の机や椅子、パーテーションなどの仕切り(必要な場合)、鍵付き書庫などが必要です。

指定申請書類の作成・提出

申請書類には次の書類があります。

  • 指定申請書
  • 短期入所生活介護・介護予防短期入所生活介護事業所の指定にかかわる記載事項
  • 定款の写し(原本の証明が必要です)
  • 登記事項証明書(発行後3ヶ月以内の原本)
  • 従業者の勤務体制及び勤務形態の一覧表
  • 役員名簿
  • 欠格事由に該当していない旨の誓約書
  • 組織体制図
  • 管理者の経歴書
  • 事業所の部屋別施設一覧表
  • 事業所の設備等に係る一覧表
  • 事業所の写真(外観・内部)
  • 事業所の平面図
  • 事業所の案内地図
  • 事業所が賃貸である場合は賃貸契約書の写し
  • 運営規程(料金を含む)
  • 資産の状況を証明する書類(決算書・支払い証明書・通帳写し等)(原本の証明が必要)
  • 利用者の苦情処理を講ずる措置の書類
  • 損害保険加入を証明する書類
  • 非常災害に関する具体的計画
  • ユニット型の場合、ユニットリーダー研修修了証の写し等
  • 介護給付費算定にかかわる体制等状況一覧表
  • 特別養護老人ホームの場合は特別養護老人ホームの認可証の写し

提出は各自治体によって、届け出る期日などが違いますので、詳しくは各都道府県または中核都市等の指定権限者にお問い合わせください。

指定を受けたら開業する

事業所の指定申請が受理され指定が認められると、指定通知書とともに介護保険事業所番号が交付されます。

その他のやるべきことは、消防署のチェックや保健所の許可などが必要です。また、申請手続の時に必要なので、損害保険(介護事業者賠償責任保証)が必要です。

ショートステイの開設要件とは?

法人であり、定款の目的欄に当該事業に関して記載があること。

開業するときは、まず法人格を取得していなければいけません。定款の目的欄に「介護保険法に基づくショートステイ(短期入所生活介護)」と記載します。

指定基準(人員基準・設備基準・運営基準)を満たしていることが必要

人員基準とは

  • 管理者・・・常勤1名(兼務が可能)
  • 医師・・・1名以上(非常勤も可)
  • 生活相談員・・・1名以上(1名は常勤)
  • 介護職員又は看護職員・・・利用者:介護職員又は看護職員=3:1(常勤換算)
  • 栄養士・・・1名以上
  • 機能訓練指導員・・・1名以上(他の職種と兼務が可能)
  • 調理員及びその他の従業員・・・必要に応じた人数

設備基準とは

  • 食堂及び機能訓練室・・・合計面積利用者1人当たり3㎡以上必要
  • 浴室・便所・洗面所・・・浴室は要介護者に適した設備であること
  • 調理室・・・・・・・・・食器・調理器具を消毒する設備や食器・食品等を清潔に保管できる設備並びに防虫、防鼠の設備が必要
  • 事務室・・・・・・・・・専用の事務室かパーテーションで仕切った区画が必要。個人情報保護のための鍵付き書庫を備えること
  • 耐火建築物であること・・原則として建築基準法の耐火基準を満たしていること、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備を設けること。
  • ベッド数・・・・・・・・原則として20床以上設置し、専用の居室を設けることが必要(併設施設の場合は特例として20床未満でもよい)
  • 居室面積・・・・・・・・1居室の定員4人以下(個室は1名)で床面積は利用者1人当たりの床面積が10.65㎡以上、日照、採光、換気など利用者の保健衛生、防災について十分考慮すること

運営基準とは

  • ショートステイ事業者はショートステイ提供する際に運営規程の概要、職員の勤務体制、緊急時等の対応、提供するサービスの内容及び利用期間について文書で交付し、サービスの内容、および利用期間において利用申込者の同意を得なくてはならない
  • ショートステイ事業者は保健医療サービスまたは福祉サービスを提供するものと密接な連携により、保健医療サービスまたは福祉サービスを利用できるように努める
  • 短期入所生活介護計画書を作成されていること
  • 利用定員を超えるサービスの提供や居室の定員を超えるサービスの提供を行わないこと
  • 利用者のためのリクリエーション行事を行うこと

ユニット型は従来型より、利用者の自立支援を促す内容になっているように従来型、併用型、
ユニット型では微妙に基準内容が異なります。

ショートステイの開業資金について

ショートステイの開業するための資金には次のような資金があります。

法人設立費

株式会社の場合
紙の定款の場合 電子認証定款の場合
公証人手数料 50,000円 50,000円
定款印紙代 40,000円 0円
登録免許税 150,000円 150,000円
合計 240,000円 200,000円

紙の定款の場合 電子認証定款の場合
公証人手数料 50,000円 50,000円
定款印紙代 40,000円 0円
登録免許税 150,000円 150,000円
合計 240,000円 200,000円
合同会社の場合は、紙の定款の場合、100,000円、電子認証定款の場合60,000円かかります。

物件取得費

規模によって物件の取得費は変わってきます。土地の所有の有無によって費用は大きく異なります。土地を借地とし、自社建設した場合5020人程度の規模のショートステイでも物件取得費用として建築に関する投資で、工法にもよりますが、最低でも約1億円程度は見込む必要があります。

設備・備品代

施設の共有スペースのテーブルや椅子、ベッド、各部屋の棚、事務所の机や椅子、書庫、パソコン等の通信機器類、厨房設備や浴室設備などの設備や備品代が必要です。これに、 2,000~2,500万円くらい必要です。

人件費

管理者、医師、生活相談員、介護職員又は看護職員、栄養士、機能訓練員、調理員、その他の従事者などの3ヶ月分の人件費として2,000万円ほど必要になってくるでしょう。

求人広告費

サイト構築、チラシ、リーフレット、求人広告などが必要になります。自作でパソコンのソフトを使って安価で作れるチラシやリーフレットがあります。おおよそ150万円くらいみておいたらいいでしょう。

指定申請手数料

新規は1サービスにつき14,000~20,000円かかります。指定権限のある都道府県等により金額が違うため、申請を検討している行政機関へ事前に確認しておきましょう。

ショートステイ開業の資金調達方法とは?

公的な融資

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫では新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする資金を援助してくれます。

  • 融資限度額・・・7,200万円(運転資金4,800万円)
  • 返済期間・・・・設備資金は20年以内、運転資金は7年以内で返済(据え置き期間は2年)

新創業融資制度(無担保、無保証)

新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方などに融資する資金

  • 融資限度額・・・3,000万円(うち運転資金1,500万円)
  • 返済期間・・・・公的融資制度で定める返済期間

女性、若者/シニア起業家資金

女性または35歳未満か55歳以上の方であって、 新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方に融資する資金

  • 融資限度額・・・7,200万円(うち運転資金4,800万円)
  • 返済期間・・・・設備資金が20年以内、運転資金が7年以内の返済(据え置き期間は2年)

公的融資には、都道府県や市町村などの自治体が手掛けているものもあります。日本政策金融公庫の融資枠に比べると小額ですが、比較的簡便に借りられるメリットがあります。詳しくは、各自治体、都道府県のサイトを参照ください。

銀行等からの融資

しっかりした事業計画書を提出し、先の見通しを説明することで審査が受けやすくなります。日本政策金融公庫のように金利は安くないです。

補助金や助成金を受ける

中小企業基盤人材確保助成金

都道府県知事から雇用管理の改善計画の認定を受けた事業協同組合等が、中小企業の人材確保や労働者の職場定着を支援するための事業を行った場合に、事業協同組合等の規模に応じて1事業に年度あたり600万円から1,000万円を上限とし、当該事業に要した費用の2/3を最大3年間助成する制度です。

ショートステイ開設の際の留意点について

開業してから3ヶ月~6ヶ月間は収入があまり見込めないことを念頭に置いておく必要があります。特に特定施設の場合は、介護報酬が2ヶ月遅れてしか入りません。その間、収入があまりなくても人件費や家賃が発生するので、最初の6ヶ月ほどの運転資金を準備しておく必要があります。

また、思うように利用者が集まらなかったときは、経営が難しくなることがあります。利用者の確保は安定した経営において欠かせません。このために独自のコンセプトを持ち、ほかのショートステイとの差別化を図ることが大事です。

介護報酬の改定により減額される可能性があります。介護報酬の改定を見越した経営を行う必要があります。

まとめ

ショートステイは、日ごろ介護をしている人がリフレッシュしたり、冠婚葬祭のために外出したりするときに日常生活の介護や機能訓練をする場なので大切な役割を担っています。

ショートステイは併設で建てられている場合が多く、単独の場合は経営面で難しい場合があります。今後、開設される場合は資金や調達方法など、今後の開業の参考にしてください。

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