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特別養護老人ホームの経営はどこに力をいれればいいの?

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特別養護老人ホーム経営のポイントを知りたい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

老人ホーム経営

特別養護老人ホームの経営とは

特別養護老人ホームの経営を考える時に、まず大きなハードルとなるのが設立に関することです。

特別養護老人ホームの場合、公共性の高いサービスを提供していることから、株式会社など営利を目的とした団体ではなく、社会福祉法人が運営することとなっています。

社会福祉法人を設立したうえで、各都道府県の認可を得ることがスタートラインになるのです。

社会福祉法人として認可を得た次には、設備などの設置基準をクリアして、介護保険法の指定(介護老人福祉施設)と老人福祉法の認可を得ることで、特別養護老人ホームを開設することができます。

設備基準の主なものは以下に記載しましたが、自治体や施設の形態によっても基準が異なる場合があります。特別養護老人ホームの経営を考えている場合には、自治体に確認してから動き始めることが大切です。

設備基準

特別養護老人ホームは原則として要介護3以上の方が入居されるため、居室や静養室、トイレ、浴室、洗面設備など住環境として必要な設備に加えて、体調悪化に備えた医務室が必要になります。

その他の設備としては、介護職員室、機能訓練室、食堂、調理室が必要です。

人員基準

多様な生活上のニーズに応えるため、さまざまな職種の人員が必要なことも特別養護老人ホームの特徴です。

施設長のもとに、医師やケアマネージャー、生活相談員、機能訓練指導員、看護(介護)職員、栄養士、調理員や事務員などの職員が職務にあたることが人員基準として定められています。

特別養護老人ホームの経営は儲かる? 経営難?

特別養護老人ホームの運営は、民間企業が運営する老人ホームなどと比べて税制面や補助金面で優遇されるため、立地などの選定を誤らなければ利益が出やすいと言われていたこともありました。

しかし、現在では、なかなか厳しい状況で赤字操業を余儀なくされている特別養護老人ホームも多数あります。特別養護老人ホームも民間企業同様、経営者の経営努力が求められる時代になってきているのです。

では、特別養護老人ホームの運営にあたっては、民間企業が運営する施設に比べてどのような優遇処置があるのでしょうか。

まず、施設の建設にあたっては、地域ごとに定められた額で建設費の補助が受けられます。これは定員1名あたり250~400万円程度の補助がされますので、建設にあたる財政面の負担を大きく減らすことができます。

また、特別養護老人ホームの運営にあたっては、税制面での優遇も負担軽減のために大きな役割を果たします。

法人税、事業税、固定資産税が免除されますので、開業するまでの費用に加えて運営の面でも民間企業に比べて大きなアドバンテージを得ることができるのです。

このように補助金、税制面での大きな優遇措置がなされている特別養護老人ホームですが、ここ数年は厳しい状況が続いています。

赤字施設の割合は3割前後で推移しており、倒産する事業者も増加している現状があるのです。

ただし、すべての事業者が赤字傾向にあるわけではなく、小規模な施設を運営する事業者がより厳しい状況下にあり、その理由としては人件費の割合が高くなってしまうことがあります。

小規模な施設を経営する場合、大規模な施設のように一斉に介護をするような仕組みをつくることが環境的に難しく、どうしても一人あたりの介護に従事する職員の人数が多くなってしまうため、人件費を抑えることが難しくなってしまうのです。

そのため、人件費以外の面(利用率など)での運営努力がより求められる傾向にあります。

特別養護老人ホームがおかれている状況について説明してきましたが、今後、状況は改善される可能性も大きいです。

現在の自民党政権の方針として、特別養護老人ホームへ入居できない人が多い現状の改善策が打ち出されており、今後は施設の増加や補助金の充実などが見込まれるためです。

これからは、特別養護老人ホームへの社会的ニーズが高まっていくことは間違いありません。適切な施設運営ができれば、黒字経営が十分可能な社会的な状況が続いていくものと考えられます。

特別養護老人ホームの経営に必要な資金

特別養護老人ホームの経営を始めるにあたって、考えるべき資金は開業時の資金とその後の運営のための資金です。

まず開業時の資金としては、社会福祉法人の設立にかかる費用と、施設の建設費などがあります。社会福祉法人設立のためにかかる費用は大きなものではないので、施設の建設費が問題になります。

特別養護老人ホームの建設にあたっては、設備基準を満たしたものでなければならないため、通常のアパートやマンションの建設に比べて高額となる場合が多いのです。

定員数や施設の大きさによって金額は大きく異なりますが、最低でも1~数億円の建設費用が必要になるでしょう。

ただし、建設にあたっては公的な補助が受けられますし、特別養護老人ホーム設立の際には融資を受けやすくなる制度も整っておりますので、事業者負担は少なくなります。

運営していく際の資金として必要なものとしては、施設の管理費や人件費などがあります。

とくに、人件費はサービスの質を一定の水準に保つためには抑えることが難しい部分です。

事業者は、介護報酬と入居者自己負担分による収入と、人件費などの支出とのバランスを適宜確認しながら経営していく必要があると言えます。

運営費についても自治体からの補助がありますので、有効に活用したいものです。

特別養護老人ホームの経営支援補助金

特別養護老人ホームの運営にあたっては、自治体から補助を受けることができます。

補助の金額や申請方法は自治体によって異なりますが、ここでは東京都を例に説明していきます。東京都では、定員30名以上の特別養護老人ホームで適切に運営している施設を対象に、補助金を交付しています。

補助金額は基本分として年額655,000円と定員1人あたり2,700円×12カ月の支給があります。それに加えて、小規模施設加算や努力・実績加算など施設ごとの特徴に合わせた支給があります。

支給の申請にあたっては、東京都の場合には期日までに所定の申請用紙を提出し、審査を経て支給が認められます。

支給が認められた後には、実際に交付された補助を活用して、どのような事業を展開したかを説明する実績報告書の提出が求められることになります。

東京都においては、サービスや実績を評価し補助金の交付額が変わってきますので、適切な運営がされている施設においては高額な補助を得られることとなります。

自治体によって補助金の金額や評価制度は異なってきますが、運営にあたって大きな支えとなることは間違いありません。

本来もらえるはずだった資金を、みすみす逃してしまうことのないように、自治体ごとの仕組みをしっかりと理解したうえで申請することが大切です。

特別養護老人ホームを経営する際の収入

特別養護老人ホームを経営する際の経営者の収入は、経営方針や職員の給与水準をどの程度に設定するかによって大きく変わってきますが、おおよそ500万円以上1000万円以下の収入が多いと考えられます。

介護職員の給与は、全産業の平均給与より月収で10万円程度低いとされていますので、他の産業の経営者よりは収入は低いことが予想されます。

また、介護報酬の改定が行われた場合には、収入の増減があることも頭に入れておいたほうがよいでしょう。

しかし、特別養護老人ホームの経営も他の民間企業と同じく、どの点を重視して運営していくかによって経営者の収入は大きく変わってくると言えそうです。

利益重視で運営していくのか、それとも入居者や職員の働きやすさを重視するのかによって、最終的に残る資金は変わってくるでしょう。

事前に、必要な報酬額や運営に充てられる資金を計算したうえで、どのような方針で運営していくかをしっかり決めることが大切です。

これにより、運営を開始してから方針がぶれて財政面で困難な状況に陥ったり職員から給与面での不満が出たりというトラブルを避けることができます。

まとめ

特別養護老人ホームを経営する際のポイントについて、説明してきました。

社会福祉法人を設立する必要があるという民間の運営とは異なることもありますが、行政の補助金を活用できることと社会的な貢献度が非常に高いことが、特別養護老人ホーム経営の大きな魅力です。

多くの方が特別養護老人ホームの経営に関心を持ち、希望される方が全員入居できる時代がくるといいですね。

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