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ケアハウスの経営(戦略・資格・費用・年収)

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ケアハウスには、介護制度で特定施設入居者生活介護の指定を受けているケアハウス(特定施設)と受けていないケアハウス(一般型)があります。

「どちらの施設が黒字経営になるのか」、「ケアハウスを安定した黒字経営するためにどのような経営戦略を行ったらいいのか」、などについてまとめています。

これから介護事業を始める方はぜひ、この記事を参考にしてください。

経営する人

ケアハウスの経営とは

ケアハウスは地方自治体から援助を受けて経営されています。入所出来る人は家族と同居が難しい人や身寄りのない人、かつ身の回りの世話が必要な60歳以上の高齢者です。

ケアハウスは比較的安価な値段で入所することが出来、特定施設の場合、介護付きなので重度になっても住み続けられます。しかし、病気による長期の入院をしている人、介護度が重い人、重度の医療処置が必要な人は退去しなければならない施設もあります。

ケアハウスの開設地は、事業主が敷地を持っている必要があります。PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)方式の場合、自治体が事業主に対して敷地を貸与することになります。

福祉施設なので、市街化調整地域にも建設することができますが、利用者の確保などの利便性を考えると開設する場所探しは重要です。

ケアハウスの主な設置主体は、地方公共団体または社会福祉法人、知事認可を受けた法人になります。一人当たりの住居の面積は単身で21.6平方米、夫婦で31.9平方米です。

ケアハウスを黒字にする経営戦略

福祉医療機構の平成27年度の「経費老人ホーム(ケアハウス)の経営状況について」を見ると、事業形態はケアハウスの一般型は77.5%、特定施設は22.5%になっていて、ほとんどが一般型のケアハウスです。ケアハウスの経営状況は次の表のようになります。

出典元:独立行政法人 福祉医療機構「平成 27 年度 軽費老人ホーム(ケアハウス)の経営状況について」

ケアハウス一般型とケアハウス特定施設を比較すると、定員一人当たりサービス活動収益は一般型が1,623,000円に対し、特定施設は3,209,000円です。特定施設の方がかなり収益をあげています。入所者1人1日サービス活動収益は一般型が4,665円、特定施設が9,203円となっています。

一般型では、赤字割合が44.3%から30.2%と10.6%低下して好転しています。一方特定施設では平成27年の介護報酬改定の影響があったためか、平成26年と比較して赤字割合は22.5%から30.2%と7.7ポイント上昇して悪化しています。

ケアハウスの一般型の定員規模は20人以下が22.5%、21人以上30人以下が28.0%、31人以上50人以下が39.2%、51人以上が10.3%となっています。特定施設の定員規模は20人以下が 10.7%、 21 人以上 30 人以下が 26.3%、31 人以上 50 人 以下が 42.4%、51 人以上が 20.5%となっています。

ケアハウスの定員規模別経営状況を見てみると、次の表のようになっています。


出典元:独立行政法人 福祉医療機構「平成 27 年度 軽費老人ホーム(ケアハウス)の経営状況について」

一般型の定員規模別に見た経営状況では、定員規模が大きいほど経営が安定する傾向にあります。

20人以下の特定施設ではサービス活動収益対サービス活動増減差額比率では、20人以下が0.7ポイントに対して、51人以上は2.7%と規模が大きいほどプラスになって収益があることを示しています。赤字割合は20人以下が43.4%ですが、51人以上では30.1%となっていて規模の大きさが安定した経営を支えているといえます。

出典元:独立行政法人 福祉医療機構「平成 27 年度 軽費老人ホーム(ケアハウス)の経営状況について」

特定施設の定員規模別に見た経営状況でも、定員規模が大きいほど経営が安定する傾向にあります。

20人以下の特定施設ではサービス活動収益対サービス活動増減差額比率では、20人以下が2.2ポイントに対して、51人以上は9.7%と規模が大きいほどプラスになって収益があることを示しています。では赤字割合も20人以下で40.9%ですが、51人以上では11.9%となっていて規模の大きい方が安定しています。

これらの点を踏まえて、ケアハウスを経営して黒字にするためには、一般型も特定施設も定員規模が大きいほど安定した経営ができていることがわかります。プラスになると経営が安定していると見ることができるサービス活動収益対サービス活動増減差額比率においても規模の大きいケアハウスの方が経営は安定しています。

特定施設では介護報酬が影響するため、平成27年の赤字割合ポイントが上昇しているのはそれが大きな要因となっています。安定した黒字経営をしていくためには、入所利用率を向上してサービス活動収益を確保し、規模を拡大するなどが必要となるでしょう。

介護現場では人手不足が問題となっています。介護職員の処遇改善がなされ人件費が増加したことも赤字ポイントが増えた背景にあります。赤字にならないように運営を行うためには、人手で行ってきたことを見直してICTを導入するなどして作業の効率化をはかり、職員のスキルアップを行うなどが必要になるでしょう。

ケアハウスの経営に必要な資格とは

ケアハウスの一般型は介護報酬を得ていないので、必要な資格は決められていないですが、特定施設は介護報酬を得ているので、決められた人員基準を満たして都道府県に申請しなくてはなりません。

特定施設の人員基準

  • 管理者・・・常勤1人
  • 生活相談員・・・常勤1人、利用者:生活相談員(常勤換算)=100:1以上
  • 看護職員+介護職員・・・要支援者:職員=10:1、要介護者:職員=3:1
    このうち、看護職員は要支援者+要介護者が30人までは1人、30人を超えると50人ごとに1人
  • 機能訓練指導員・・・1人以上(兼務可)理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師のいずれかの資格が必要
  • 計画作成担当者・・・ケアマネージャーを1人以上(兼務可)
    利用者数:計画担当者=100:1

ケアハウスの経営にかかる費用について

開設時のイニシャルコスト

開設に必要な費用としては、建設用地の取得費用、建築費・設備費、パソコンや机、いすなどの備品費、そして最低でも2か月分くらいの運転資金などが必要です。それに対して次のような補助金や助成制度があります。

建設費の公的な助成制度

事業者が事前に敷地を所有していない場合は、借用しておく必要があります。PFI方式の場合、自治体は事業者に対して用地を貸与することを条件としています。

建築費はケアハウスを社会福祉法人が運営する場合のみ、基準によって算出できる補助基準額の4分の3が補助されます。また、都道府県や市町村が個別に補助を行っている場合もあります。

建築用地は公的な助成制度はありませんが、民間企業などがPFI方式で開設する場合は各市町村が民間企業に対して支払う建設費用を国と都道府県が公的補助を行うことになっています。

社会福祉・医療事業団からの助成制度

建設資金などの自己負担は、社会福祉・医療事業団の長期低利融資が受けられる制度があります。社会福祉法人の場合は償還金に対して地方公共団体の補助を得られることがあるので、それに関してはお問い合わせください。

管理費

ケアハウスを建設した費用は、開設後入居者から管理費として徴収することができます。開設後の事務費や生活費などの運営費は建設費に入れることはできません。

開設後のランニングコスト

開設してから、毎月かかる運営費は人件費、設備・建物を維持する費用のことです。光熱費や保守点検サービス費、消耗品費が含まれます。

福祉医療機構の「平成27年度のケアハウスの経営状況」を見てみると、費用としては一般型が「サービス活動費用」が60,942,000円うち人件費24,054,000円、特定施設が133,902,000円うち人件費が80,848,000円となっています。

これを基にすると、月額のサービス活動費用としては一般型が5,078,500円うち人件費が2,004,500円です。特定施設が11,158,500円うち人件費が2,004,500円です。

ケアハウスを経営する際の年収

福祉医療機構の「平成27年度のケアハウスの経営状況」を見てみると、収益として平均の「サービス活動収益」が一般型では60,942,000円、特定施設では143,461,000円です。規模別収益に関しては先の表を見てください。

ある施設の経営者がもらえる役員報酬の相場は年収で1,000万円くらいです。ケアハウスは社会福祉法人が設置している場合が多く、「社会福祉法人の経営者が高い給料をもらっているのはおかしい」と県から指導があります。

理事長の報酬は月額5万円くらいのところもあれば30万円のところもあり、その施設によりかなり差があります。理事長が医師の場合、月額100万円というところもあります。

まとめ

ケアハウスの経営状況を見ると、一般型より介護報酬を受けている特定施設の方が収益は大きく、一般型でも特定施設でも定員規模が大きい方が経営は安定しています。

ただ、特定施設の場合は介護報酬の減額改定があるとマイナスの影響を受けます。これから、開設される方は地域のニーズに応えたセーフティネットとして活用されることが重要になってきます。この記事が、これからケアハウスの経営をしようとお考えの方の参考になればと思います。

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