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認知症対応型通所介護(デイサービス)の開設についてご紹介

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 他業種から介護事業への参入を考えている方必見の記事です。

 認知症の利用者に適切なサービスを提供できる認知症対応型通所介護(認知症対応デイ)。しかし、その新規開設の際には、介護保険の新規指定申請や老人福祉法の届出、保健所への給食届出や消防署への防災計画の提出など、手順が煩雑で手続きも多く難しいと感じる方が多いと思います。

この記事では、認知症対応型通所介護の開設について解説していきます。一読し、今後の経営の役に立ててください。

デイサービス

認知症対応型通所介護の開設の基準

 認知症のある方専用に設立されるデイサービス「認知症対応型通所介護」は、タイプにより「単独型」「併設型」およびグループホームなどの共用部を利用して行われる「共用型」に分類されます。

開設にあたっては、厚生労働省の規定や、それを基に各自治体が定めた、指定基準を満たす必要があります。指定基準は「人員基準」「設備基準」「運営基準」の3つです。

一般的な通所介護と共通の部分もあれば、異なる部分もあるので、特に人員基準などに注意が必要です。今回は「単独型」「併設型」の基準および開設の手順について解説いたします。

人員基準

 普通のデイサービスより人員配置が手厚くなっています。従って、それに見合うように、報酬単価も高くなっています。

配置しなければならない人員は「管理者」「生活相談員」「看護職員または介護職員」「機能訓練指導員」の4つの職種となります。

管理者」は「認知症介護実践者研修(実践者研修)」や「痴呆介護実務研修(旧基礎課程)」を既に修了しているかつ、「認知症対応型サービス事業管理者研修」を受講することによって、管理者として登録することが認められています。

原則として常勤専従で1以上の配置が必要ですが、業務に支障をきたさない範囲であれば同一敷地内の他事業所との兼務が認められます。

生活相談員」は「社会福祉士もしくは社会福祉主事任用資格」の有資格者を、サービス提供時間を通じて1以上配置しなければなりません。

看護職員または介護職員」が1以上、看護職員とは「看護師もしくは准看護師」の有資格者をいいます。

また、上記の「生活相談員」「看護職員」「介護職員」のうち1人以上は「常勤」でなければなりません。

機能訓練指導員」は「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師」の有資格者を、機能訓練を行う時間帯に1以上配置しなければなりません。

設備基準

 食堂、機能訓練室、プライバシーに配慮した相談室、静養室、事務室が必要です。また、認知症のある方でも室内で安全に過ごせるよう、鍵のかかる棚や消火設備なども完備します。

運営基準

 運営基準の中では、ケアプランの内容に沿った認知症対応型通所介護計画の作成、利用料、災害や緊急時の対応、地域との連携などについて定められています。

これらの指定の効力は6年間適用され、6年経ったら指定の更新申請をする必要があります。また、指定基準を守っているかどうかを確認するため、自治体から担当者が施設に派遣され実地指導というものが行なわれます。

その際に問題があれば、監査の対象となったり、重大なミスや違反があったと判断されれば、指定の効力停止処分を下されたりする場合があるので注意してください。

認知症対応型通所介護の開設の流れ

 認知症対応型通所介護の開設の大まかな流れは以下のようになります。

法人格を取得する

 介護事業を開業する際、法人格を取得する必要があります。株式会社、一般社団法人、NPO法人など、特に種類は問われません。

申請時には既に法人として登記を済ませておく必要があります。個人では指定の申請が出来ないので注意してください。

物件を探す

 どの地域に、どのようなニーズがあるのかを把握したのち、ふさわしい物件を探します。

認知症対応型通所介護の1単位あたりの定員は12名以下と小さいので、設備基準に合う広さのある物件で、送迎用の車が駐車出来るスペースがあることも必須です。

事業計画と収支計画書の作成

 必要な資金を確保するために、事業計画書や収支予算書を作成します。これを基にして、金融機関などに融資についての相談を行います。

改装、採用活動

 物件の改装や、必要物品の購入、職員の採用活動を行います。地域と職種によっては、必要なスタッフを確保するのに時間がかかることもあります。

また、開設当初から利用者を確保するために、ケアマネージャーへの挨拶や宣伝なども行っていきます。

事業者指定を受ける

 認知症対応型通所介護は地域密着型サービスに分類されるので、各市区町村が事業者の指定権限を持っています。厚生省のガイドラインを基準にしているとはいえ、基準の内容や指定基準申請書類の種類は各市区町村によって異なる「ローカルルール」が存在する場合があります。

そのため、オープン予定の自治体にあらかじめ問い合わせておく必要があります。必要書類を全て用意したら、担当課へ介護事業者指定の申請をします。

認知症対応型通所介護の開設の費用

 
 ここでは、認知症対応型通所介護に掛かる費用と費用科目について説明します。

物件確保費 150〜350万円

 規模、地域、立地、仲介料などによって大きく変動します。敷金は家賃の2〜6ケ月分くらいかかります。

内装工事費 250〜500万円

 段差や階段がなかったり、トイレやお風呂が広かったりと、工事工程の少ない物件を選定するのがポイントです。

地震や火災発生等の緊急時に、高齢者と一緒に避難しやすい構造かどうかの選定もポイントとなります。必要な場所には手すりやスロープも設置します。

人材採用費 0〜100万円

 開業前に介護関係の人脈があれば、比較的平易に人材集めが出来ます。理学療法士や看護師は給与などの条件が良くないと確保が難しい場合もあります。

どうしても人材が集まらない場合はハローワークや人材紹介会社を活用しましょう。ハローワークの求人については費用がかかりません。

備品購入費 50〜100万円

 事業所が居抜き物件だった場合は、ロッカーやいすなど必要最低限の什器がそろっていることがあるので、費用を抑えることが出来ます。消耗品から事務用品、静養室用のベッドや予備の車椅子といった大型の備品も必要です。

その他費用

 車椅子で乗降が出来るような車両は、購入とリースがあります。購入する際は200〜400万円、リースの場合は月々5〜10万円ほどが目安です。

登記や書類作成の際に、専門家に委託することもできます。その際の費用は20〜50万円です。

認知症対応型通所介護の開設の書類

 前項でも述べたように認知症対応型通所介護は、地域密着型サービスなので各市区町村が、ホームページ上などで指定申請の書類の公表を行なっています。書類の種類、枚数、提出方法は各市区町村で異なるので注意してください。提出に際し、事前予約や研修などが必要なこともあります。

ここでは、下記に書類の一部を例として紹介します。

事業計画書

 事業の目的や利用者見込み数などを、根拠立てて記載する必要があります。また、事業計画書を作成する際には、理想だけでなく、経営者としての厳しい視点も求められます。

収支予算書

 社会保険や交通費を含めた人件費、家賃や公共料金などの事業所経費、収益の見通しを建立てます。介護保険の単価と人数から収入を計算します。

定員が12名であっても、入院や施設への入所などで通所できなくなるケースもあり、年間を通して12人×時間限度一杯×日数ということはなかなか難しいです。

希望や勘ではなく、どのような宣伝方法を行うのか、どれくらいの売り上げを見込めるかなど、収支について細かく記載する必要があります。

事業所の平面図

 設備基準に必要な書類の1つとなるので、広さ、動線なども漏れなく記載することが大切です。内部や外観などの写真の提出を求められることもあります。

従業員の勤務予定表

 必要な人員基準を満たしているか判断する基準になります。職種によっては常勤または専従であることが求められるからです。パートなども働いている時間数によって、常勤何人に相当するのか計算されます。

まとめ

 認知症対応型通所介護は、定員が少ないので小規模で初期投資が普通のデイサービスより安く済むこともあります。

また、報酬単価が高く設定されているのも利点です。ただ、定員が少ないにも関わらず、理学療法士や作業療法士などの機能訓練指導員も採用しないといけないので、その点はハードルが高いといえます。

それでも、認知症の高齢者に合った、少人数に対し質の高いケアができるというのが、認知症対応型通所介護を開設する魅力となっています。

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