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介護事業所の営業停止を受けないようにするには?

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 一見、介護事業の営業停止を受ける事業所は少ないと感じている方が多いかもしれません。しかし、故意的に基準を違反していなくても、気がついたら人員基準を満たさず営業していたという前例もあります。

実地指導、監査や指定更新の際に、指定基準を満たしていないこと等が発覚した場合、当該介護事業所に対して営業停止処分(営業することができなくなる処分にも様々な段階があります)が下される場合があります。 

この記事では、介護事業所の営業停止を受けないための方法について述べていきます。一読し、今後の経営の役に立ててください。

避ける

介護事業の停止について

 ここでは、介護事業の停止をうける場合の、「一部停止」「全部停止」「指定取消」の3パターンの処分方法を紹介していきます。

一部停止

 処分のなかでは1番軽い種類です。半年間介護報酬請求の上限が7割に減らされる、半年間新規利用者を受け入れることが出来なくなるなどの処分を受けることになります。

全部停止

 介護事業の停止となるケースでは全部停止の件数が最も多くなっています。処分内容としては一定期間介護保険に関する権利をまったく行使出来なくなります。倒産は避けることが出来ますが、経営悪化は避けることが出来ません。

指定取消

 一番重い処分であり、指定が取り消された場合は介護報酬を請求出来なくなるため、事実上倒産・廃業に追い込まれてしまいます。

介護事業を営業する際に停止される理由

 介護事業所が営業停止となる理由としては、不正請求、人員基準違反、法令違反と様々です。ここでは、営業停止の処罰が下される理由の一例を紹介していきます。

不正請求

 サービス提供の記録を偽装して加算・介護報酬を不正に受け取った場合など。

人員基準違反

 サービス提供責任者が他法人の役員の仕事をしたり、同法人が運営する他施設の業務を兼務したりするなど、常勤専従をしていない場合などに人員基準違反になります。

また、無資格者を有資格者と偽って人員配置を行った場合も同様です。都道府県が行う実地指導において改善指導・勧告などを受けたにも関わらず、改善されない場合には処分されます。

運営基準違反

 ケアプランに記載された計画とは異なる介護サービスを提供した場合に運営基準違反になります。例えば、訪問介護のサービス計画で居宅サービスを行った場合などが該当します。

介護事業が営業停止となる期間

 事業停止の期間は処分の内容によって大きく異なります。

ここでは、例を挙げて紹介していきます。

介護業種

 通所介護事業所

取消理由

人員基準違反

 4ヶ月間、通所介護の提供を行なう看護職員を配置していなかった

不正請求

 4ヶ月間、理学療法士等を配置していなかったり、個別機能訓練計画の作成等をおこなっていなかったにもかかわらず、利用者6名に対して個別機能訓練を計178回行なったとして機能訓練加算を不正請求、受領した

虚偽の指定申請

 別の事業所の管理者兼介護支援専門員として勤務しているにもかかわらず、専ら当事業所の生活相談員として指定を受けて勤務していた。

処分内容

  • 指定取消
  • 不正請求して受領した約1295万円の返還

●都道府県や市区町村に指定申請をする際に指定取り消しから5年が経過していない場合は指定の拒否をされるため注意が必要です。

介護事業の営業停止となったときに払うお金

  • 指定基準に違反した場合は事業の停止を受けるため、基本的に罰金はありません。しかし、もし介護保険料を不正請求・受領した場合、返還を要求されることもあります。
  • 同時に労働基準法も違反していて送検された場合、罰則を受ける可能性もあります。人員が足りないから、介護スタッフに規定以上の残業時間を課したり、就業規則を誤魔化したりすると違法になるので、開業している方は指定基準と労働基準法等にも気を配ってください。

例)
介護スタッフに強制労働をさせた場合、「1年以上10年以下の懲役または20万円~300万円の罰金」が科せられます。

業務内で男女差別を行なった場合や均等待遇をしなかった場合、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられます。

どのような手順で介護事業の営業は停止となるのか

  1. 都道府県や市区町村へ指定申請をし、営業開始後、数年に一度都道府県が行なう実地指導というものを受けなければいけません。
    実地指導とは、介護事業者の事業所の発展・支援・育成が目的とされています。実地指導は実施予定日の1ヶ月前~2週間前にその旨が伝えられます。
  2. 実地指導で問題があると認められると、監査へ変更されます。さらに、問題があるとされた場合には、改善勧告などを受けます。
  3. この勧告などを受けた際は期間内に改善し、文書で報告を行なう必要があります。

  4. 期限内に勧告に関する措置をとらなかったとき、改善命令と公示が行われます。
    改善勧告以後の状況を確認しつつ、期限を定めて、事業所が取る措置を命令することが出来ます。
  5. 命令に従わない場合や不利益処分を与える場合、聴聞・弁明の機会の付与をします。
    双方、処分に納得しなかった場合、意見の根拠付けのため資料を作成し自治体に提出する必要があります。簡易的な場合は弁明、そうでない場合は聴聞をします。
  6. それでも従わない場合は指定の効力の全部または一部停止、指定取消の処分を受けます。

介護事業所の営業が停止となった場合、そこにいる利用者はどうなるか

 指定取消等で事業所の営業停止を余儀なくなった場合、そこにいる利用者はケアマネや営業停止にした開業者が引き継ぎ先を探します。

有料老人ホームでも、2006年4月以降に開設されたものについては入居一時金の保全措置が義務付けられていますが(2017年の法改正により、2006年より前の有料老人ホームでも保全が義務化されました)、決して安心できるものではありません。

そのため、事業所側も万が一に備えて利用者の引き継ぎについても考慮しなければいけません。

まとめ

 介護事業営業中の指定基準違反は故意的に破ることはもちろん処分・事業停止の対象です。しかし、サービスをしており気が付いたら指定基準を破ってしまったという場合でも同じく処分の対象です。

常日頃から「これくらいは大丈夫」「ばれない」といった甘い認識は捨て指定基準に沿って事業を行なうことが大切です。

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