

開業は準備が大事じゃ。この記事を読んで、開業準備を進めるのじゃ。

なるほど!しっかり、勉強してよい事業所作るぞ!!
介護用品を取り扱う事業のひとつに特定福祉用具販売という事業があります。
これは、介護用品の中でも特に、レンタルに向かない商品を販売していく事業のことで、主にポータブルトイレや、入浴用品などの販売がこれに当たります。
今回の記事では、この特定福祉用具販売の開業に向けて必要な知識をご紹介していきます。開業を検討している事業主の方はぜひ参考にしてください。
目次
特定福祉用具販売開業の前に
特定福祉用具販売とは?
要介護1以上の認定者にとって欠かせないもの、それが福祉用具です。自立を促す目的や、介護者の負担を軽減するための介護用具は日常生活では必須のもの。
介護保険制度では、福祉用具が必要となる場合には、レンタルが基本です(福祉用具貸与)。しかし、そのような中でも肌に触れるものなど、レンタルに向かないものもあります。
特定福祉用具販売を開業するには、都道府県等へ指定申請を行い介護事業者としての指定を受ける必要があります。
特定福祉用具の種類
特定福祉用具販売で取り扱う商品には、以下のようなものがあります。
- 腰掛便座
- 自動排泄処理装置の部品
- 入浴補助用具
- 簡易浴槽
- 移動用リフトの吊り具
福祉用具貸与との違い
先にも述べた通り、特定福祉用具販売とは福祉用具の中でも、レンタルに向かない用具の販売を行うものです。
そのため、福祉用具全般を取り扱う貸与業とは違い、保険給付の対象になっている特定の福祉用具を専門に取扱います。
特定福祉用具販売の開業手順
ここでは特定福祉用具販売の開業までの手順をご紹介します。
諸々の開業準備を考慮すると最低でも3か月以上前から準備を開始すると良いでしょう。
開業までの流れ
法人の設立
指定申請をするためには法人格である必要があります。まだ法人格を持っていない事業者の方は法人の開設の手続きを行いましょう。
既に法人格を持っている場合は、定款に介護保険法の「特定福祉用具販売事業」等の記載があるかを確認してください。記載がない場合には定款の変更を行う必要があるので、注意しましょう。
事務所の設立
指定を受けるための設備要件を満たす事務所の確保が必要です。
スムーズに設備の搬入等が行えるよう、開業予定日の2ヶ月前には設立準備をしておきましょう。
人員の確保
指定を受けるため、人員要件を満たすだけの人員を手配します。
指定申請のためにも、開業予定日の2ヶ月前から手配を開始し、遅くとも1ヶ月前までには人員を揃えておくと安心です。
事務所備品の準備
指定を受けるための設備基準には、事務所用の備品の指定も含まれています。
必要な備品が配置されていないと指定を受けることができません。この点、しっかりと揃えておく必要があります。
事務所の契約をした日から準備を進めて、開業予定日の2カ月前までには全て揃っている状態にしましょう。
指定前研修の受講
指定申請を行う前に、法令等に関する指定前研修を受講してください。
実施日は都道府県等により異なりますが、指定月の3ヶ月前から2ヶ月前の所が多いようです。
事前に窓口へ問い合わせをし、受講忘れのないようにしましょう。
指定申請書類の準備
指定申請を行うには、申請書の他にさまざまな書類が必要になります。この書類に不備があった場合は申請自体が受理されませんので注意しましょう。
都道府県等により必要書類が異なる場合がありますので事前に確認しておくようにしましょう。
書類自体は提出期日までに揃えば問題ありませんが、不備があった場合の修正期間などを考慮して、可能な限り早くから準備しておく事をおすすめします。
指定申請書類の提出
指定申請書類を提出するには、予約が必要です。提出予定月の予約期間を確認し、事前に申請予約をする必要があります。
この予約期間は、都道府県等により異なる場合がありますので、必ず確認しておいてください。
予約後、指定された期日に都道府等の窓口へ書類を提出します。
申請書類の提出後すぐに審査が開始されるわけではありません。申し込み受付が終了してから審査開始になりますので、開業したい月の2ヶ月前には提出予約をするようにしましょう。
指定を受け開業
原則として毎月1日が指定日になります。指定日を待っての開業となります。
特定福祉用具販売の開業要件
特定福祉用具販売の指定申請をするためには、人員基準、設備基準、運営基準を全て満たしておく必要があります。
項目ごとに詳しく解説していきますので、よく確認し、準備漏れがないようにしましょう。
法人格の取得
指定を受ける為には法人である必要があり、定款に当該事業に関しての記載がなければなりません。もし、記載がない場合は定款の変更手続きを行ってください。
人員基準
管理者
販売事業所には、常勤の管理者を配置する必要があります。
この管理者は事業所の業務に支障がなければ、当該事業所の他の職務を兼務することができます。
福祉用具専門相談員
福祉用具専門相談員として、必要な資格を有している者を常勤換算で2名以上配置する必要があります。
設備基準
事務室
事業を行うために、必要な広さの事務室を設ける必要があります。
相談室
利用の申し込み受付の他、相談に対応できる広さの相談室を設ける必要があります。
事務室や相談室には具体的な広さの指定はありません。一般的な常識の範疇であれば問題はないでしょう。
特定福祉用具販売事業を行うために必要な備品
電話や複合機等の事業を行う為に必要な備品が配置されている必要があります。
こちらも物品の指定はありませんので、常識の範疇で揃えておきましょう。
備品の例
電話、複合機、デスク、イス、鍵付きのキャビネット、シュレッダーなど
運営基準
運営規程や職員の勤務体制、クレーム処理対応、事故対応などの整備を行います。
運営規程には、「利用者の心身の状況、希望、置かれている環境を踏まえ、適切に特定福祉用具の選定を行わなければならない」ことや「利用者の身体の状態の多様性、変化等に対応することができるよう、できる限り多くの種類の福祉用具を取り扱うようにしなければならない」という他の介護事業とは異なった内容を盛り込む必要があります。
特定福祉用具販売の開業資金
特定福祉用具販売の開業にはおよそ500~700万円かかるといわれています。
開業にかかるおおまかな費用を項目ごとに解説していきますので、資金調達の目安にしてみてください。
会社設立費用
法人として開業するためには会社の設立費用が必要です。
登記にかかる費用
定款に貼る収入印紙代4万円
定款の認証手数料:5万円
定款の洋本手数料:約2000円
登記の際の登記免許税:15万円
合計:約25万円
会社設立の代行サービス
会社設立に必要な手続きを代行してくれるサービスを利用すると、自分で手続きを行うよりも費用が安くなる場合もあります。貴重な時間の節約もできますので、気になった方は検討してみても良いでしょう。
物件取得費
契約する物件により必要な費用は変わりますが、例として賃料が30万円の物件を例に試算していきましょう。
初回家賃:30万円
保証金:180万円(6か月分)
仲介手数料:30万円
合計:240万円
備品費用
初期投資の面で考えると、複合機等の高額なものはリースの利用がおすすめです。
購入できるものは購入しても構いませんが、デスクなどもまとめてリースしてしまうという手もあります。
電話機:1万円
デスク:1万円×数量
椅子:5000円×数量
複合機等のリース代:1万円
合計:約10万円
人件費
開業前であっても人件費は発生します。そのため、雇用時期を考慮して予算を組んでおくとトラブルがありません。
また、特定福祉用具が売れなければ収入がありませんので、収入があるまでの期間も考慮し、余裕を持って4ヶ月分程度の確保はしておくべきでしょう。
したがっておよそ25万円×雇用人数×4ヶ月となり、1人当たり約100万円かかる見込みになります。
指定申請手数料
指定申請には手数料がかかります。
都道府県等により異なりますが、約2~3万円必要になります。
商品仕入れ費
介護用品販売卸業者と直接契約を結べば自社で在庫を抱える必要はありません。しかし、ある程度は自社で所有しておくとお客様への対応がスムーズにできるので、在庫を所有することも考えておくと良いでしょう。
こちらは予算と相談して仕入れを行うかどうか、判断してください。
特定福祉用具販売開業の資金調達
自力では調達しきれない資金に関しては、融資を受ける事を検討したり、助成金や補助金を利用したりする必要があります。ここでは、さまざまな資金調達方法を見ていくことにしましょう。
公的な融資を受ける
日本政策金融公庫
新創業融資制度
この制度では無担保、無保証で融資を受けることが可能です。
審査はもちろんありますが、新規事業であるならば真っ先に検討するべき制度でしょう。
新規開業資金
雇用の創出を伴う事業を始める方や、現在勤めている業種と同業種の事業を始める方などが対象になる融資制度です。
女性・若者/シニア起業家支援資金
女性または35歳未満または、55歳以上の方であって、新規で事業を始める方や事業開始からおおむね7年以内の方を対象に行われる融資です。
対象が絞られてしまいますが、該当する方は検討してみるのも良いでしょう。
この他にも、公的融資には都道府県や市町村などの自治体が手掛けているものもあります。日本政策金融公庫の融資枠に比べると小額ですが、比較的簡便に借りられるメリットがあります。
融資の検討を行う際には、都道府県や市町村のサイトを参照するようにしましょう。
銀行からの融資を受ける
公的な融資を受ける他に、銀行からの融資を受けるという方法もあります。
返済の財源の確保や資金用途を明確にし、事業計画を担当者に説明する必要がありますので、銀行からの融資を受ける際にはしっかりとした準備を行いましょう。
助成金や補助金を受ける
創業補助金
新たに創業した人が申請できる補助金で、日本政策金融公庫や銀行などからの外部調達資金がある場合は対象経費の半額、上限200万円(ない場合は100万円)まで助成されます。
各自治体により、細かい条件や公募期間、採択数が異なる場合があります。
特定求職者雇用開発助成金
高齢者や母子家庭の母親、障害者などの就職が難しい方をハローワークなどの紹介により、継続的に雇用する労働者として受け入れた場合に助成される制度です。
特定福祉用具販売開業の留意点
特定福祉用具販売事業を始める上での留意点を押さえておきましょう。
特定福祉用具を介護保険で購入できるのは1回まで
利用者が特定福祉用具を介護保険給付で購入できるのは、1つの品物につき原則、1回までです。
その為、1度購入されたものを可能な限り長く使うようになりますので、リピート率が高かったとしても頻繁に購入されるわけではありません。
そもそも売れなければ収入にならない
特定福祉用具の販売は基本的にケアマネージャーの紹介を通して行われます。そのため、地域のケアマネージャーと繋がりがなければ紹介もされず、商品が売れていきません。
売り上げをコンスタントに上げていくには、地域のケアマネージャーへ営業するなどの努力が必要不可欠です。
介護報酬が振り込まれるまでに時間がかかる
商品が売れたとしても、介護報酬が振り込まれるのは1か月以上先になります。
しかし、その間も家賃や人件費などは発生します。最低でも3か月分の給料や家賃を賄えるだけの運転資金を用意しておくことが必要です。
まとめ
特定福祉用具販売は、必要でありながらも衛生面や心理的な抵抗からレンタルに向かない商品の販売を行うので、一定の需要が見込める事業です。
設備基準が比較的緩いことや、少人数でも開業できることから、参入自体はしやすい事業といえますが、その分競合他社も多くなります。
商品を購入してもらうには、ケアマネージャーの紹介が必須であるため、地域のケアマネージャーとの信頼関係をいかに築けるかが、事業を成功させるポイントとなるでしょう。
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特定福祉販売で開業したいんだけど、何すれば良いか分からないんだよね…