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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の開設についてご紹介

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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、要介護者の認定を受けている高齢者のうち、認知症である人に家庭的な環境と地域住民の交流を提供すると同時に、排泄や食事等の世話を行なうものです。認知症に特化した特殊な施設なため、一見すると開業するのが難しく感じるかもしれません。今回はそんな認知症対応型共同生活介護における手順、費用、申請手続きなどについて紹介していきます。
一読し、今後の経営の役に立ててください。

グループホーム

認知症対応型共同生活介護の開設の基準について 

一般にグループホームと呼ばれている認知症対応型共同生活介護の種類は大きく分けて、併設型・単独型・合築型の3つに分類されます。併設型は、病院や特養などに併設されているタイプを指します。単独型は一戸建てで、住宅地の中にあるので、看板等が大きく出ていなければ普通の住宅の中に溶け込んでいて、一見しただけでは分からないこともあります。合築型は、マンションやビルを利用しているグループホームになります。このように種類は異なりますが、指定基準は共通になっています。

認知症対応型共同生活介護を開設する際、厚生労働省が定めた「人員基準」「設備基準」「運営基準」の3つの指定基準を満たす必要があります。

人員基準では、代表者管理者介護従業者介護計画作成担当者に分けて、それぞれが満たさなくてはならない基準が決められています。特に代表者や管理者には、介護に従事した経験が求められていることと、指定の研修を修了していることが前提になります。
設備基準では、定員や各居室の広さ、消火設備、立地などについての決まりがあります。
運営基準には、日常の運営に係わることの他に、緊急時や災害時の対応、地域との連携などの項目について定められています。

また、各都道府県や市区町村の中には、厚生労働省の定めた指定基準をベースとして、一部を変更した独自の指定基準を設けている場合があります。認知症対応型共同生活介護は地域密着型サービスなので、各市区町村の指定基準に従わなければならないので、市町村の担当課に事前に問い合わせます。

これらの指定基準を満たして開設した後も、適切な事業を行なっているか確認する実地指導や、介護事業についての知識のある外部の人の評価を受ける第三者評価があります。また、地域密着型サービスの指定には6年の有効期間があり、事業を継続するためには期間満了前までに指定更新申請の手続きが必要です。開設後も基準を常に満たしておかなければなりません。

認知症対応型共同生活介護の開設の流れ

法人格を取得する

認知症対応型共同生活介護の開設をする際、まずは法人格を取得する必要があります。法人の種類は一般社団法人、NPO法人、合同会社などです。

指定基準を満たすことが出来る事業所を建てる、借りる、改修する

認知症対応型共同生活介護を含む、どの介護事業を行なう際にも、前項にも述べた指定基準を満たす必要があります。事業所を新たに建築する場合には初めからバリアフリーや基準に合った設計をすることができます。既にある建物を購入、借りる場合には、基準をクリアするためにリフォームする必要があります。立地も非常に重要で、事前に市場調査を行うのがベストです。

事業者指定を受ける

事業予定地の市町村に指定申請書類を提出する必要があります。市町村によっては設置を計画していた施設の数を満たしているという理由などで申請を受け付けてないという場合もあるため、この点については予め確認してください。また、人員基準の中で述べたように、役職によって、それぞれ必要な研修があります。「認知症介護サービス事業開設者研修」「認知症対応型サービス事業管理者研修」「実践者研修」や「基礎課程」などがこれにあたります。

介護職員の募集、研修をする

介護業界では人材不足が深刻ですので、早めに募集をかけ、採用活動を行います。事業所新規オープンの際は、既に出来上がった人間関係の中に入っていくよりストレスが少ないと好む人も多いです。未経験者や、グループホームでの経験がない職員もいるので、必要な研修を行います。

入居者を募集する

新規オープンのパンフレットなどを作るとともに、ケアマネージャーなどに営業します。ケアマネや、既に家族が入居している方、地域の方からの紹介などが多いです。内覧会を開いたり、事前に地域の行事に参加したりして、ネットワークを広げておくことも大切です。

認知症対応型共同生活介護の開設の書類

 
前項でも述べたように認知症対応型共同生活介護は、地域密着型サービスなので各市区町村が指定申請の書類を管轄しています。各市区町村で書類の種類、枚数が異なることもあります。さらに、窓口で提出するのか郵送なのか、事前に予約が必要なのかといった提出方法も確認が必要です。ここでは、下記に提出書類の一部を例としてあげています。

事業所の平面図

賃貸の場合は契約書のコピー、所有物の場合はその証拠となる資料を提出する義務があります。事業所内の各部屋の面積を記入し、概観などの写真を一緒に提出する必要があります。これらの情報を基に、設備基準を満たしているか判断するためです。

従業員の勤務体制及び勤務形態の一覧表

人員基準や運営基準に違反していないか確認する書類の1つです。主に従業員の4週間分の勤務予定を記載した後、従業員の資格免許の写しを提出します。手薄になりがちな早朝や夜勤帯の人員などもチェックします。

収支予算書

人件費、事業所経費等、収益の見通しなどを記載します。単価や利用者人数、1年間にかかる経費などを基に算出します。大まかな予想などではなく、どのような宣伝方法で費用はいくらかかるのか、家賃や車両のリース代、保険代の他にも、どのアクティビティーを行なって材料費はかかるか、人件費は交通費や社会保険費を含めていくらか、どれくらいの売り上げを見込めるかなど、詳細に記載する必要があります。事業として成り立つだけのしっかりとした計画を持っているか審査されます。

認知症対応型共同生活介護の開設にかかる費用

グループホームの開設時に一番かかるのは施設費です。賃貸物件をリフォームした、1ユニットほどの小規模の施設で1000万円前後が目安といわれています。賃貸の場合には、敷金や礼金などが求められることも多いです。敷金は地域や物件によって異なりますが、家賃の2〜6ケ月分を一括して払うことになります。また、契約を結んだ後は、事業所オープン以前でも家賃の支払いが発生してくるので、これらを考慮して計算しておきます。複数ユニットのグループホームを新たに建設する場合は、土地の取得から設計、建設、内装までで億単位の資金が必要となるので注意してください。

その他に開設時にかかる費用の内訳は、以下のようなものになります。
什器類の購入費:共有スペースの家具、食器、冷蔵庫や洗濯機、テレビなどの電化製品
事務用品:パソコン、鍵のかかる棚、文房具、電話、インターネットなど
消耗品の購入費:トイレットペーパーや使い捨て手袋、清掃用品など
人件費:求人サイトなどの採用活動にかかる費用、給与、研修費、社会保険、交通費など
指定申請に掛かる費用:法人格取得、指定申請料金、代行費用など
広告費:看板、チラシ、パンフレット、ホームページ開設費用など
その他:車両リース代、各種保険

認知症対応型共同生活介護の開設者研修について

 
厚生労働省の指針の下、各都道府県が認知症介護における適切なサービス提供、技術の向上を目的として、定期的に認知症対応型サービス事業開設者研修を開いています。募集要項は各都道府県がホームページ上で募集しているので確認してください。認知症対応型共同生活介護の事業者指定申請は市区町村の管轄ですが、この研修は都道府県が主体となって行っているので注意してください。

この研修を受けていないと、グループホームの代表者として指定申請をすることが出来ません。ただし「認知症介護実践者研修」「実践リーダー研修」「旧基礎課程・専門課程修了者」「認知症介護指導者養成研修」などを既に受講している場合には必須ではありません。頻繁に行われている研修ではないため、開催時期を調べておき、開設までのスケジュールに影響がないようにします。研修参加の申し込みは、事業所開設予定の市町村の窓口を通して行われます。

研修は2日間に渡り、1日目は講義、2日目に他施設で実習を行います。研修は2~3日間に渡って行われ、そのうち1日は他施設での実習です。内容は、認知症についての基本的な理解や、ケアの仕方、地域密着型サービスの指定基準についてなどです。研修受講後には、速やかにレポートを作成し、都道府県と、事業所開設予定の市町村に提出します。岐阜県などのように、都道府県によっては、市町村からの推薦書が必要なところもあります。

今回は参考として、東京都福祉保険局は公表している認知症対応型サービス事業開設者研修の募集要項リンクを提示しておきます。

まとめ

他事業から介護事業参入を検討している方、あるいは介護事業で働いていた経験があり、介護事業の起業を検討しているという方に、これらの情報が役立てば幸いです。寿命が延びることと、認知症というのは、残念ながら切り離せません。認知症を発症している方の介護のニーズはこれからも増えていくのではないでしょうか。

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