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介護老人保健施設を設計する上で考慮することは?

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介護老人保健施設を開業しようと思っても、設計に関する情報が少なく、具体的にどうしたらよいか戸惑うこともあると思います。

今回は、介護老人保健施設をこれから開業しようとする皆様に向けた、設計にまつわる情報をご紹介します。

この記事が開業の参考になれば幸いです。

 

 

 

介護老人保健施設の設計基準

介護老人保健施設には、従来型とユニット型という2つの種類があります。

この従来型とユニット型、それぞれの設計をする際、厚生労働省が定めている設計基準に従って行う必要があります。

各都道府県が条例によって設計基準を設けている場合は、そちらを満たさなければなりません。

 

各都道府県の条例による設備基準は、各都道府県のホームページもしくは福祉保険局の中で掲載されているので確認してください。

ここでは各都道府県が条例の中で掲げている設備基準について、埼玉県の例を紹介します。

 

※正式には「設備基準」ですが、本記事では「設計基準」と表記しています。

 

必要設置

従来型

  • 療養室(4人以下、入所者数×8㎡以上、他階に設けてはならない、収納やナースコールを設けること)
  • 診察室
  • 機能訓練室(入所者数×1㎡)
  • 談話室
  • 食堂(入所者数×2㎡)
  • 浴室
  • レクリエーションルーム
  • 洗面所(療養室のある全ての階に設置、ユニット型との共用禁止)
  • トイレ(療養室のある全ての階に設置、ユニット型との共用禁止、ブザー等設置)
  • サービスステーション(療養室のある全ての階に設置)
  • 調理室
  • 汚物処理室
  • 洗濯場
  • 廊下(両側に手すりの設置、手すり間の幅8m以上、中廊下は2.7m以上、常夜灯)

 

ユニット型

  • 療養室(65㎡以上、2人室の場合は21.3㎡以上、地下禁止、廊下に面している、収納棚やナースコール等の設備)
  • 共同生活室(定員×2㎡、他ユニット入居者の生活動線にないこと)
  • 洗面室
  • トイレ
  • 診察室
  • 機能訓練室(定員×1㎡)
  • 浴室(特別浴槽)
  • サービスステーション(療養室のある全ての階、療養室に近接)
  • 調理室
  • 洗濯場
  • 汚物処理室
  • 廊下(両側に手すりの設置、手すり間の幅8m以上、中廊下は2.7m以上、常夜灯)

 

従来型・ユニット型共通

  • 家族相談室、ボランティア・ルーム、家族介護教室(設置推奨)
  • 階段
  • エレベーター
  • 耐火構造
  • 他(場合により調剤所やスプリンクラー等)

 

サテライト型小規模介護老人保健施設は、本体施設を利用することで入所者に適切な処遇が行われると認められる場合は、調理室や洗濯室または洗濯場、汚物処理室を設置なくても良いとする地域があります。

また、介護老人保健施設を建築する以前に、消防法など建築に関わる法律の基準も満たす必要があります。

 

 

介護老人保健施設の設計プロセス

都道府県によっては、介護老人保健施設の計画から開設までのプロセスがWebサイトに記載されているところがありますので確認してください。

記載されていない場合は、都道府県庁の福祉部門に連絡や相談することをお勧めします。

ここでは、埼玉県の介護老人保健施設の手引きを参考に解説します。

 

  • 市町村高齢福祉担当部局への事前相談→県相談窓口への事前相談

あらかじめ市町村と整備計画について調整を行ってから、県へ相談しましょう。

  • 開設計画書作成準備

建築予定地の確保

開発許可、農地転用等協議

建築、水道排水、消防、埋蔵文化財関係の協議

資金計画調整

隣地権者、周辺住民との調整

地元医師会との調整

  • 協力病院の確保

上記について開設計画書へ記載し、それぞれの手続きについて進めていきます。

  • 開設計画書を提出。提出は提出期限まで随時受け付けています。
  • 福祉事務所の審査会
  • 審査結果の通知
  • 着工関係の手続き(農地転用、開発許可、建築確認、入札者)
  • 着工→竣工
  • 完了検査・引き渡し

開設準備(職員確保、書類作成等)

法人定款変更手続き

給食開始手続き

就業規則、給与規則等届出

消防計画、防火管理者専任届

  • 竣工報告
  • 開発許可申請、管理者承認申請(医師以外)、介護報酬算定に係る体制の届出、併設施設にかかる指定申請等
  • 開設許可・開設
  • 生活保護法・中国残留邦人等支援法上の指定等

 

開設方法は、施設を整備した後、都道府県知事の許可を得ます(事前協議制を実施)。

施設内の(介護予防)短期入所療養介護と(介護予防)通所リハビリテーションの指定に関しては、許可を得る時に「みなし指定」となります。

 

 

介護老人保健施設に強い設計事務所の探し方

各々の建築会社のWebサイト等で情報収集を行った上で、比較検討しながら自分に合った設計事務所を探しましょう。

建設会社のWebサイトや資料などを見る際に、着目するポイントがあります。

 

コスト

建築コスト削減などが配慮されており、企画から設計まで常にコストを意識した上で設計が進めるのかをチェックしましょう。

また段階を追って、見積もりを行っているかどうかも確認すると良いでしょう。

 

実績

Webサイト等を見ると、今までに建築した施設等が紹介してあります。

実績が多いと、信頼度も増すでしょう。

その他、納期やパートナー紹介、手続き代行、メンテナンスといった項目についてもよく調べておきましょう。

 

 

介護老人保健施設の設計費用

介護老人保健施設を開業するにあたって、設計費用はそれぞれの民間建設会社によって設定金額が異なります。

また、建設する場所の立地条件や、施設の規模などによっても様々です。

介護老人保健施設を設計する際に必要な費用科目としては、下記のようなものが挙げられます。

 

物件取得費

土地や建物を購入する際にかかる代金、また建築代金と手数料、設備費や改良費などのことを言います。

施工費

建物についての躯体工事、外装や内装工事、基礎工事などに必要な人件費のことです。

什器

建物のインテリアや必要な機器、什器パーツなどにかかる費用です。

備品

テーブルや椅子、パソコン、電話といった、施設運営を行う際に日常的に必要となるものの費用です。施設の規模によっても費用が変わってくるでしょう。

 

 

介護老人保健施設の供給支援

介護老人保健施設の開業にあたっては、厚生労働省や各都道府県が補助金等の供給支援を行っているため、有効に活用しましょう。

ここでは埼玉県が交付している補助金の具体例を紹介しますので、参考にしてください。

 

施設の整備に関しての補助金

定員が30名以上の介護老人保健施設の整備に関して

県による整備についての補助はありません。

定員が29名以下の介護老人保健施設の整備に関して

市町村によって補助制度があります。

市町村の担当部署とよく相談して調整しましょう。

配分の基準単価は1施設につき、53,400千円です。

 

その他補助金

介護療養型医療施設からの転換(転換床数が30床以上の場合)

県によって補助制度があります。

介護療養型医療施設からの転換(転換床数が29床以下の場合)

市町村によって補助制度があります。

市町村の担当部署とよく相談して調整しましょう。

 

次に、厚生労働省が行っている病床転換助成事業の具体例を紹介します。

この病床転換助成事業交付金は、介護老人保健施設も対象施設となっています。

 

  • 厚生労働大臣は、事業にかかる費用の総額を調整し、交付額を決定します。その際、病床転換整備計画を優先として交付決定を行います。
  • 年度をまたぐ場合は、年度ごとに要した費用に相当する病床転換助成事業交付金が交付されます。
  • 施設基準の一部緩和により介護老人保健施設等に転換した場合。

 

療養室の床面積で、1床あたり6.4㎡のまま介護老人保健施設等の病床へ転換した際は、平成29年度末までに1床あたり8.0㎡を満たす改修を行う時、助成事業の対象となります。

ただしこの場合も、転換前に都道府県に改修等を行う時期や希望する交付年度、転換する病床数、整備内容等を申請様式に記載し、書面にて報告する必要があります。

その後、都道府県が厚生労働大臣へ提出することとなります。

 

 

まとめ

今回は、介護老人保健施設の設計の流れについて説明してきました。

スムーズな開業となるよう、上記で紹介した設計に関して必要な情報を収集しましょう。

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