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通所介護(デイサービス)の指定申請を解説!手順から留意点まで

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 通所介護(デイサービス)の開業・経営を行う際には、定められた要件を満たした上で、自治体に指定申請書を提出し、指定を受ける必要があります
 今回は、通所介護を開業するための「指定申請」について解説していきます。

解説

通所介護(デイサービス)の指定申請とは

 通所介護事業を開業するには、開業予定地の場所を管轄する自治体に『指定申請』をする必要があります。

 指定申請先の自治体は、厚生労働省が定める利用者の定員に応じて都道府県または市区町村に区別されています。
 厚生労働省が定める定員の基準は「19名」で、19名以上の場合は都道府県、19名未満の場合は市区町村になります。

 それぞれの申請先により条例などによって指定基準が異なっていますが、

  • 人員基準
  • 設備基準
  • 運営基準

共通して上記の3要件をクリアする必要があります。

 通所介護の指定を受けないまま事業を開始すると、既に申請を承認されている別のサービス種の新規利用者の受け入れ停止や事業指定取り消しなどの行政処分を受けることになります。

 新規で介護事業を開始する場合だけでなく、これまでに別のサービス種で指定を受けており新たに通所介護事業を開始する場合も、新たに指定申請が必要となるため要注意です。

通所介護の指定申請に必要な書類

 通所介護の指定申請を行う場合には、指定申請に伴う書類を作成し、開業予定地を管轄する自治体に書類を提出します。

 指定申請の様式は各自治体によって異なるため名称も一定ではありませんが、

  • 通所介護事業者指定(許可)申請書
  • 地域密着型通所介護指定申請書

概ね上記の名称になっています。

 特に、利用定員19名未満で市区町村に申請する場合は「地域密着型」の冠が付いている場合が多いので、分かりやすいでしょう。

 もし、「申請書類の書き方や申請方法などを担当者に尋ねたい」という場合は、自治体の窓口を尋ねて直接入手するのも良いでしょう。

指定申請書類を提出する前のポイント

 通所介護の指定申請書類を入手したら、記載例などを参考に必要事項を記載していきます。
 空欄がないようにきちんと埋めていきますが、指定申請がスムーズに進むために提出前にしっかりと確認しておくべきポイントが2つあります。

法人であるか

 まずは「指定事業者の対象者であるか?」という点です。
 通所介護事業を開始するには、大前提として法人格を有している必要があり、個人では事業者として指定を受けることができません。
 登記情報に株式会社・NPO法人・社会福祉法人・医療法人などの法人格として登記されている必要があります。
 「欠格事由」に該当しないことも要チェックです。
 前回の取消から5年未満・刑罰の執行を終えていないなどの場合は欠格事由に該当し、申請ができません。

申請前の相談

 指定申請書を提出する前に必要となるのが、もう一点の「申請前の相談」です。
 通所介護事業所として新築・改築をおこなった後で「実は設備基準を満たしていなかった」となれば一大事です。
 設備基準を満たすための改修・改築が必要となってしまえば、余計なコストがかかってしまうだけでなく、開業が遅れてしまい、事業計画に対する大きな損害となります。

 また、通所介護施設の新規建設や別の用途で使用されていた建物を通所介護施設として再利用する場合、建築基準法などによって構造の制限を受ける等の問題や総量規制にかかる場合もあります。

 各自治体が通所介護事業所の指定申請を案内するページなどでは「建物などの構造物を伴う申請の場合は建築図面による事前相談をすること」とあります。
 事前相談は予約制となっている自治体が多く、担当者が対応できる日付や曜日が定まっている場合も多いので、開業計画を構想している段階で担当者とコンタクトを取っておくことをおすすめします。

通所介護(デイサービス)の指定申請の手順

通所介護の指定申請書類を提出する際の流れ

 通所介護の指定申請書類を提出する際の流れを説明しましょう。

 指定申請書類提出の流れは自治体によって異なる部分がありますが、

  • 新規指定前研修の受講
  • 指定申請書類の提出
  • 指定(指定の拒否)
  • 6年ごとに

  • 更新の申請
  • 指定の更新

となります。

 まずは自治体が開催する新規指定前研修を受講する必要があります。
 申請前に管理者または法人の代表者が受講することになり、開催日が定まっているため事前にチェックしておきましょう。

 研修を修了した後に、自治体に対して指定申請書類を提出します。
 窓口となっている部課に指定申請書のほか、必要な証明資料などを添えて提出しましょう。
 申請時には手数料の納付が必要です。
 申請書の余白や裏面または別紙などに、手数料額面の自治体の証紙を貼付します。
 手数料は概ね3万円ですが、自治体によって異なるのでチェックしておきましょう。

 指定申請書類や要件に不備がなければ「指定」を受けることになります。
 指定=合格ということですが、書類や要件に不備があれば「指定の拒否」といって事実上の不合格となります。

 指定を受けられた場合、1ヶ月程度で「指定通知書」が送付されます。
 事実上、これが「許可証」の位置付けとなります。

 指定の効力は6年間なので、6年後には「更新の申請」をする必要があります。
 もし6年以内に実施された監査で基準に沿わない人員配置や運営が発覚した場合には、「勧告」や「命令」によって是正を求められ、これに従わない場合は指定取消しなどの行政処分を受けることになります。
 
 更新の申請にも手数料が必要です。
 指定申請の際と同様に更新書類に証紙を貼付することになります。
 手数料は概ね1万円です。

 無事に更新が完了すれば「指定の更新」となり、以後6年間の営業が認められることになります。

通所介護(デイサービス)の指定申請の書類

 通所介護事業は利用定員によって申請先が異なり、提出を求められる書類や証明資料の種類・名称も異なります。
 ここでは、通所介護事業の指定申請一式書類の例として、東京都に申請する際の必要書類・証明資料を紹介しましょう。

 全国の自治体と異なる点があるかも知れませんが、概ね同様のものの提出を求められるので参考にしてください。

  1. 申請書
     通所介護事業の指定申請書です。
     指定居宅サービス・指定介護予防サービス事業所指定申請書のほか、通所介護の場合は附表として「通所介護・介護予防通所介護事業所の指定に係る記載事項」の提出が必要になります。
     空欄がないようにしっかり記入しましょう。
  2. 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
  3. サービス提供実施単位一覧表
     ②と③は人員基準の適合を明らかにするために必要となります。
     サービスを提供している時間帯にどの職務の従業員が何名勤務しているのか、利用定員に対して必要十分なサービスを提供できるのかなどを判断する資料となります
  4. 事務所の平面図・建築図面
     平面図は設備基準に適合していることを明らかにするための資料です。
     図面のほか、建物の外観や内部の様子が分かる写真も添付します。
  5. 運営規定
    その名のとおり運営基準への適合を明らかにするための資料です。
    利用者の料金表も含まれます。
  6. 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書
    介護事業所を経営し国からの給付を受けるために必要となります。

 介護事業を始める上で、特に通所介護において必要なものを列挙しました。
 これらの書類の名称は自治体ごとに異なるので、申請先に同じ名称の書類がないからといって省略しないよう注意しましょう。
 
 また、ここで紹介したのは特に通所介護の指定申請において必要となる書類・資料のみです。

 このほかにも、

  • 登記簿謄本・約款
  • 就業規則・組織図など
  • 管理者の経歴書
  • 利用者からの苦情を処理するために講じる処置の概要

など、ほかの介護事業と共通する書類・資料の提出も求められることになります。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。
 指定申請にはある程度時間がかかるので、早め早めに行動されることをおすすめします。
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