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ケアハウス(軽費老人ホーム)の指定基準について

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 介護事業の開業・新規事業立ち上げを考えている経営者の皆様。ケアハウス(軽費老人ホーム)の指定基準について理解は出来ていますか?
介護事業の需要が増しており、新規参入を検討されている企業も多いのではないでしょうか。

 月額費用が安く信頼感があるケアハウスを設立するためには一定の基準をクリアし、申請許可を得る必要があります。
今回の記事では、ケアハウスの人員基準・設備基準・運営基準に関して詳しくご説明していきます。一読し、ぜひ今後の経営にお役立てください。

ケアハウス

ケアハウスの指定基準とは

ケアハウスとは

 ケアハウスとは老人福祉法に基づき、ひとり暮らしの高齢者や家族からの支援が望めない高齢者に対して、低価格で住まいを提供し、食事、見守りサービスを受けることができる軽費老人ホームという老人福祉施設となります。

 自立の方でも入居でき、利用料は所得に応じた補助金により料金が決定されます。
都道府県より介護保険法の特定施設入居者生活介護の指定を受けたケアハウスは、包括的な介護サービスを受けることのでき、特定施設サービスが提供されます。

種類

 ケアハウス(軽費老人ホーム)の種類と特徴をそれぞれご紹介します。

軽費老人ホームA型

  • 原則、60歳以上の方が入居対象
  • 介護の必要がなく、家庭の事情や身体機能の低下によって自宅で暮らすことが困難な方
  • 施設により食事が提供される

軽費老人ホームB型

  • 原則、60歳以上の方が入居対象
  • 介護の必要がなく、家庭の事情や身体機能の低下によって自宅で暮らすことが困難な方
  • 食事は自炊しなければいけない

※現在、「ケアハウス」とは老人福祉法と「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成20年厚生労働省告示107号)」で規定されている軽費老人ホーム(C型とも呼ばれることもあります)を指しています。

 それまでに存在した軽費老人ホームは、軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準の附則でA型・B型と呼ばれ、経過措置的な取り扱いとなっていて1990年以降新設されていません。建て替えの際にケアハウスに移行するなどの方法で一元化していく方針が示されています。

ケアハウス(一般型・介護型)

 軽費老人ホームC型とも呼ばれるケアハウスは一般型と介護型という2種類あります。

一般型

 介護の必要性がない自立の方から軽度の介護が必要な方まで入居でき、食事、洗濯、買物などの生活支援や緊急対応、見守り支援などのサービスを受けることができます。特定施設入居者生活介護(特定施設)の指定は受けていない施設で、介護が必要な場合には外部の居宅サービスを利用します。月額料金が約6万円~15万円程度必要。

介護型

 介護が必要な方が対象で、特定施設入居者生活介護の指定を受けています。一般型のサービスの生活支援とともに、通院付き添い、安否確認などのサービスを受けることができ、常駐している介護職員により排泄介助、入浴介助、機能訓練などの介護サービスを受けることができます。
 介護型にも介護専用型、混合型、混在型といった形態があります。

  • 介護専用型…定員29名以下、地域密着型の特定施設の指定を受ける必要があり、要介護者限定で入居できる特定施設です。
  • 混合型…要支援の高齢者とともに要介護の高齢者も入居できます。
  • 混在型…混合型の高齢者とともに自立の高齢者も入居できます。
    月額料金に介護サービス費が含まれ、約6万円~20万円程度必要。

ケアハウスの特徴

 運営主体は地方自治体、社会福祉法人など。
居室は個室でプライバシーが守られるようになっており、単身者の場合は21.6㎡以上、2人部屋への入居では31.9㎡以上の広さ規定があり、ベッドやトイレ、緊急通報装置などが設置され、安心して過ごすことができます。

 また、サークル活動や地域交流がさかんなケアハウスもありますので、施設によっては入居後も趣味活動や社会交流を続けることが可能です。浴室、リビングは共同で使用し、医療施設や他の介護サービス事業所が併設されている場合もあります。

 入居するには、入居申込書、住民票、健康診断書、身元保証書、収入証明書、年金証明書、介護型ケアハウスに入居する場合は、介護保険資格証明書を提出しなければいけません。
ケアハウスにより異なる場合があるので、確認が必要です。
ケアハウスの一番のメリットは費用面での安さ。月額10万円~20万円と有料老人ホームよりも安い料金となっています。

介護型ケアハウスの指定基準とは

 ケアハウスの指定基準は、「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成20厚生労働省令第107号)」によって定められています。

 さらに、介護型として特定施設入居者生活介護事業者の指定を受けるには、その人員基準・設置基準・運営基準を満たす必要があります。特定施設入居者生活介護は、有料老人ホームや高齢者向け優良賃貸住宅、ケアハウス(軽費老人ホーム)といった特定施設の入居者に対してケアプランに基づき、身体介護や日常生活支援、機能訓練、療養上の世話などのサービスを提供することです。

 ここでは、介護型ケアハウスの指定基準について解説していきます。

介護型ケアハウスの指定基準【人員基準】

生活相談員

 常勤換算で利用者と生活相談員を100:1で配置。1人以上は常勤者でなければいけません。

介護職員・看護職員

 要介護者の利用者と介護・看護職員を3:1、要支援の利用者と介護・看護職員を10:1配置しなければいけません。1人以上は常勤者でなければいけません。

看護職員

 要介護者の利用者と看護職員を30:1配置しなければいけません(定員31人以上の場合にはさらに利用者50人ごとに1)。1人以上は常勤者でなければいけません。

常勤管理者

 常勤管理者の配置が必要ですが、業務に支障がない場合は、一事業所内の他の職務、または同一敷地内の他事業所の職務を兼務することができます。

機能訓練指導員

 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の有資格者を機能訓練指導員とし、1人以上の配置が必要です。
他の職務との兼務が可能です。

計画作成担当者

 利用者と計画作成担当者を、100:1を基準にケアマネージャーを配置しなければいけません。

介護型ケアハウスの指定基準【設備基準】

 特定施設としてのケアハウスの指定基準を得るためには、下記の施設基準を満たす必要があります。入居者が安全で快適に過ごしていただくことが第一です。食事、排泄、入浴など日常生活介護の援助や、日々のバイタル、健康チェックなどの療養上の世話をスムーズに行えるように設備を整えなければいけません。

 また、車椅子の方もスムーズに走行できるよう、広さを十分に備えたバリアフリー構造が必要です。詳細は下記をご覧ください。

介護居室

  • プライバシーに配慮し、適当な広さの個室(21.6㎡以上)が原則。夫婦の場合は2人部屋(31.9㎡以上)。
  • 介護付きの表示をし、緊急避難時に問題ないような出入り口であること。
  • 地下でないこと。
  • 車椅子利用に支障のないバリアフリー構造であること。

一時介護室

 介護を行うための適当な広さが必要。

浴室

 身体が不自由であっても支障なく入浴が出来るもの。

便所

 居室のある各フロアーに設置、ナースコール等の緊急用設備が設置されていること。

食堂、機能訓練室

 食事、機能訓練を行うのに適した広さであること。

施設全体に関して

 バリアフリー構造で、防災設備、非常災害に対応した設備が設置されていること。
耐火建築物 ・準耐火建築物であること。

介護型ケアハウスの指定基準【運営基準】

軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準

 特定施設の指定を受けたケアハウスでは、介護方針や地域連携についての基準が定められており、下記以外にも利用者急変時の対応や協力医療機関を定めておくことが努力目標とされています。

利用料

 サービス提供に要する基本額と各種加算額等により算出され、収入に応じた利用者からの自己負担、自治体からの補助によって構成されています。
サービス提供に要する基本額は、入居者規模や所在地区分によって金額が定められ、施設設置形態、人員配置、指定状況によって定められています。
介護保険にて年金額280万円以上の高額所得者の費用はサービス利用料の自己負担額が2割(2017年現在)となっています。

サービスの評価

 自己点検シートを用いて、運営が適正かどうかをチェックします。チェック後は、第三者評価機関にて正しく運営されているかどうかを評価していただきます。
社会福祉法78条1項により、社会福祉施設経営者は自己評価、第三者評価により、質の良いサービスを提供することが努力義務とされています。

サービスの提供、回数

 自立で入浴が困難な利用者については1週間に2回以上入浴または清拭することと定められています。利用者の心身の状況に応じて作成されたケアプランにより、訪問介護や通所介護などを受けることができます。

ケアプランの作成

 ケアマネージャー(介護支援専門員)により、利用者の心身状況に応じたケアプランが作成されます。

定員

 原則、独立したケアハウスでは20名以上、特別養護老人ホームなどに併設したケアハウスでは10名以上と定められています。

介護型ケアハウスの指定基準を守らなかった場合どうなる

 ケアハウスの運営を行なっている際、指定基準違反が公になった場合には指導や指定取り消しといった罰則があります。

集団指導

 介護サービス事業者は、適切にサービス提供を行うため、毎年実施指導の前に集団指導を受けます。集団指導では、法令、サービス提供の確認、介護報酬の請求に関する内容などの伝達が行われます。

実施指導

 人員基準、運営基準、設備基準が順守されているか、利用者のニーズに基づいたケアプランが作成され、ケアに反映されているか、または介護報酬の請求に不備はないかといった確認と指導が行なわれます。実施指導は事前通知されます。

監査

 通報や苦情、相談、実施指導での指定基準違反や不正請求の疑いがある場合には都道府県、市町村の立ち入り権限にもとづいて監査(立ち入り調査)が実施されます。不適切な運営や悪質な不正請求が行われた場合には、指導、指定取り消しやサービスの停止といった措置が与えられます。監査実施は当日に通知されます。

行政上の措置内容

勧告・命令など

 行政上の措置として、期限を決めて指導内容を勧告でき、事業所がそれに従わない場合、公表することができます。
また、正当な理由なく改善されなかった場合、公表し、措置内容を命じることができます。

請求の一部制限

  • 不正な運営が発覚した場合、緊急に一部またはすべての介護報酬の請求を停止するなど、指定の効力が停止されます。
  • 不適切かつ悪質な場合、命令に応じなかった場合は指定の取り消しとなります。

経済上の措置

  • 偽りや不正請求にて保険給付を受けた場合、実施指導や監査で認められると過誤請求によって報酬返還の措置をとられます。
  • 監査で不正請求などが認められた時、改善勧告に至らない場合には過誤請求の措置をとり、改善勧告を受けた場合には返還金を命じられます。
  • 改善命令以上の行政処分を受けた場合は、返還金に加え加算金を命じられます。

 過誤請求は最大5年間の遡及となり、虚偽報告や書類の改ざんが発覚した場合は厳正に対処されます。行政処分とされた理由で多いものは介護給付費の請求に関して不正や、実施指導での虚偽・偽装です。数万円の不正請求であっても虚偽偽装が発覚した場合は、指定取り消しの行政処分が行われます。

 ケアハウスを含め、他の介護施設でも指定基準違反の件数が多いものは介護職員の人員不足における人員基準違反です。人員が不足したことによる介護給付費の3割減算(人員基準欠如減算)をせずに不正に請求することで、加算金を含む返還請求、指定の取り消しという行政処分が下される場合があります。

留意点

ケアハウスの運営にあたり、留意点がありますのでいくつかご紹介します。

  • 介護型ケアハウスの指定は、6年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失います。=6年に一回指定の更新が必要である
  • 軽費老人ホームやケアハウスの自立型(一般型)では、介護保険を利用して入所する施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)のように施設職員による介護は受けられません。(*人員基準)
  • 特定施設入居者生活介護事業者の指定を受けていない有料老人ホーム(または軽費老人ホーム)が、「介護(ケア)付き」、「介護(ケア)有り」といった表示を行なうと法律違反で処罰されます。
  • 人員基準の生活相談員の資格要件として、ケアマネージャー、介護福祉士と、社会福祉法第19号第1項各号のいずれかに該当する者(社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格、またはこれと同等以上の能力を有すると認められる者と定められています。
  • サービス提供日時、サービス内容、心身状況などを記録しなければいけません。

まとめ

 他の介護施設に比べて費用が安いため、低所得の高齢者でも利用することができ、年々需要が高まるケアハウス。一口にケアハウスといっても食事にこだわりがある、機能訓練に力を入れている、地域交流やサークル活動がさかんに行われている等、施設によって多種多様です。

 実施指導がスムーズに行われるように日ごろから自主点検を行い、指定基準を満たして、適切な運営がされているかどうかの確認を行うことが大切です。
地域に密着した施設であるケアハウスのスムーズな運営には、ニーズの発掘が欠かせません。ご紹介した指定基準をクリアし、ニーズにあったケアハウスを運営しましょう。

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