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介護事業における人員基準をご紹介

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介護分野へ新規参入を検討している経営者のみなさま。介護の分野では在宅サービスを始めるにしても、施設サービスを始めるにしても雇用の問題が出てきます。必要な人材を、必要な人数だけ雇用しなければなりません。その基準となるものが人員基準です。

この記事では開業するにも必要な人員基準についてご説明します。ご一読いただき、今後の参考にしてください。

介護人員基準

1.介護の人員基準について

介護施設でのサービスや在宅サービスの開業をするためには、都道府県または市町村からの指定が必要となります。どのサービスを開業するかによって人員基準が違ってきます。営利法人(株式会社や合同会社など)の参入の多い事業は、有料老人ホームや訪問介護やデイサービス、訪問看護などです。比較的参入しやすいのはやはり在宅サービスである訪問介護やデイサービスでしょう。

ここではそれぞれに必要な職種および資格について記載します。そのために、人員基準とはどのようなものなのかをご説明します。

人員基準とは職員の勤務体系のことです

厚生労働省が介護事業を行う上で、最低限守らなければならない職員の資格や勤務体系、役職について述べられたものです。自治体では厚生労働省が公表している人員基準を解釈し、それを基にした独自の人員基準を定めているところもあります。

そのため、新規開業する場合は、所在の都道府県等にて確認を行ってください。

通所介護・訪問介護の人員基準と職種

管理者

原則として、常勤の職員を専従で配置します。兼務は可能です。
管理者とは事業所の責任者です。主な仕事内容はマネジメントとなります。
介護業務のマネジメントとは、適切に介護サービスが提供されるようにコントロールする業務です。

内容はスタッフの教育や職員の雇用、職場環境の整備などの人材に関するフォローと、利益確保のための収支に関する業務があります。

看護師

通所介護の場合は、配置が必要です。
また、訪問看護ステーションなどの連携を取る形式でも可能です。
看護師は、ご利用者の健康管理や薬の管理を行います。必要に応じて処置も行うなど専門的な対応を行います。

介護職員・訪問介護員

デイサービスの配置基準は単位ごとに応じて、専従の職員が15人まで1人です。15人以上の場合は、1人ご利用者数が増えると0.2人を加える必要があります。
デイサービスの介護職員は資格を必要としませんが、訪問介護員には資格が必要です。

資格としては、介護福祉士・実務者研修修了者・初任者研修修了者・旧介護職員基礎研修課程修了者・旧ホームヘルパー1級・2級・看護師・准看護師です。
ホームヘルパーは、常勤換算で2.5人以上の配置が必要です。

ご利用者に対し生活全般にわたり、援助を提供する仕事です。身体介護では入浴介助や排泄介助、移動などの介護を行います。
また、ケアプランに基づいた介護計画の実施や記録、他職種との連携など仕事内容は多岐にわたります。

生活相談員(通所介護:デイサービス)

事業所ごとに必要です。サービスの提供時間に応じて専従で1名以上の配置義務が設けられています。

生活相談員とは、ご利用者やそのご家族に対して事業所の情報を提供し、介護に関する相談を行う職員です。
そのほかにもケアマネジャーや地域との連絡窓口となり、連携・調整を行います。
社会福祉士や精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格等が必要です。

都道府県等によっては、介護支援専門員や介護福祉士の資格でも認めている場合もあります。
そのほかには、老人福祉施設の就業経験のある職員や、介護職に従事している期間が一定期間以上ある職員が生活相談員となれるなど、一部自治体の独自要件もあります。

サービス提供責任者(訪問介護:ホームヘルパー)

訪問介護事業所のご利用者40名または、その端数を増すごとに1人以上のサービス提供責任者を置かなければなりません。
資格要件は介護福祉士か実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者であり、3年以上介護などの業務に従事した経験が必要となります。

ケアプランに基づいた訪問介護計画書の作成とサービスが提供できるように訪問介護員のコーディネート業務を行います。
(ただし、介護職員初任者研修修了者や旧ホームヘルパー2級のサービス提供責任者は経過措置的扱いであり、2019年度末で廃止されます。報酬の減算もあります。)

2.グループホームの人員基準について

通所介護や訪問介護の人員基準については、前述にて資格と共に少し触れましたが、営利法人で通所介護や訪問介護のように新規にグループホーム(認知症対応型生活介護)の開業も増えています。

2013年には65歳以上の高齢者が25.1%で、総人口の4人に1人は高齢者でした。
ですが今後も少子高齢化が進み、2035年には33.4%となり3人に1人が、2060年にいたっては、2.5人に1人が高齢者となります。

今までのように、ご家族が認知症のある高齢者の介護を在宅で行うのは難しくなっています。
在宅でありながらご家族の介護負担の軽減ができるグループホームの利用希望は多くなっています。
そこで、ここでは今後も需要が見込めるグループホームの人員基準について記載します。

グループホーム

代表者

厚生労働省が定める管理者研修を修了している必要があります。常勤で、認知症高齢者の介護に携わった経験か、介護・医療・福祉サービスを提供する事業所の経営経験のある人です。

管理者

専従で常勤の職員を1名配置します。3年以上の認知症介護経験が必要です。また、計画作成担当者との兼務も可能です。

計画作成担当者

ケアプランに基づいた介護計画を作成します。1名以上は介護支援専門員(ケアマネジャー)が必要です。規定があり、介護支援専門員がほかの計画作成担当者の業務を監督しなければいけません。

介護スタッフ

24時間常駐しなければいけません。常勤換算で、ご利用者3名に対して1人以上の配置(3:1)が必要です。夜間・深夜は1名以上の配置です。

医療・看護スタッフ

特に指定はありませんが、グループホームによっては配置しているところもあります。

3.人員基準の常勤換算とは

常勤換算とは、事業所の非常勤職員の勤務時間合計数を事業所の常勤職員が勤務しなければならない時間数で割ることによって、常勤の従業者の人員数に換算することです。

例:介護職員5人(内非常勤3人)の場合
Aさん:常勤、週40時間   Dさん:非常勤、週25時間
Bさん:常勤、週40時間 Eさん:非常勤、週12時間
Cさん:非常勤、週25時間

常勤換算の式

常勤換算人数=常勤職員の人数+(非常勤職員の勤務時間合計÷常勤職員が勤務するべき時間)

2+{(25+25+12)÷40}=2+1.55=3.55=3.5
例を計算するとこのような式になり、常勤換算は小数点第2位以下が切り捨てとなるため介護職員の常勤換算3.5となります。

常勤換算の注意点

介護事業所で働く従業員は、比較的女性が多いです。そのため、産前産後休業や育児休業を取る職員がいます。常勤換算の際には、その職員は事業所に籍はありますが、実際勤務していないため計算に含めません。そのため、休業の申請があった際には常勤換算数に応じて新しく雇用するか、職員の移動が必要となるので注意が必要です。

常勤換算における年次有給休暇について

年次有給休暇とは一定の期間、勤続した労働者に与えられる休暇のことです。

年次有給休暇を会社から賦与されるための条件が二つあります。

  1. 雇用された日から6ヵ月が経過していること
  2. 算定期間の8割以上出勤していること

この2つの条件を満たした職員に年次有給休暇が付与されます。その後は1年ごとに所定の日数が付与されます。非常勤の職員に関しては、比例的に付与されます。
なお、年次有給休暇は実際に勤務に入っていないため日々の人員配置に入れることはできません。ただし常勤職員であれば年休のことは考慮せずに人員基準の職員数として考えることが可能です。

常勤の年次有給休暇の付与日数

雇用後の勤続期間 付与される日数
6ヵ月 10日
1年6ヵ月 11日
2年6ヵ月 12日
3年6ヵ月 14日
4年6ヵ月 16日
5年6ヵ月 18日
6年6ヵ月 20日

非常勤の場合の付与日数

週の労働日数 1年間の労働日数 雇用後からの勤続期間(単位:年)
0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
4日 169~216日 7 8 9 10 12 13 15
3日 121~168日 5 6 6 8 9 10 11
2日 73~120日 3 4 4 5 6 6 7
1日 48~72日 1 2 2 2 3 3 3

4.人員基準を違反すると

事業所が法律に定められた人員基準を遵守せず、人員基準未満の場合は不正行為とみなされることもあります。指定の取り消しや営業停止、新規受け入れの停止などの処分にもつながりますので、急な職員の退職など、もし人員基準を満たせないことが分かった時点で早めに都道府県等に相談し、対応方法を考えましょう。

5.まとめ

介護分野へ新規参入を検討している経営者のみなさま。介護事業における人員基準について記載しましたが、いかがでしたでしょうか。みなさまの知識となり今後の経営にお役立ていただけたなら、ぜひシェアをお願いできればと思います。

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