独立開業・起業

ケアマネージャーでの開業についてご紹介

投稿日: 更新日:

ケアマネージャーとは、利用者のその人らしい自立した生活をサポートするために、要介護認定の代行、介護計画書(ケアプラン)を作成し、サービス事業所との連絡・調整を行うなど橋渡しを行う職種です。

ケアマネージャーは居宅介護支援事業所(ケアプランセンター)や介護施設で働いているイメージがありますが、最近では独立型ケアマネといって、単独で居宅介護支援事業所を立ち上げ、独立開業されている方が増えています。

居宅介護支援事業所は都道府県(市町村)の指定を受ければ、ケアマネージャー単独で自宅で開業できるため、低予算で比較的参入しやすい事業といえるでしょう。
ケアマネージャーで開業する手続きや、将来性についてご紹介します。

成功

ケアマネージャーで開業する流れ

ケアマネージャーで開業するためには、これからご紹介する法人格の取得、人員基準、設備基準、運営基準と、4つの要件を満たす必要があります。

法人格の取得

居宅介護支援事業所は法人でなければ開業できないため、まずは法人格の取得が必要になります。法人であれば、株式会社、合同会社、NPO法人といった種類は問われません。
ただし、医療法人の法人格を取得するには医師である必要がありますので、除外されます。

  • 株式会社
    職員を集め事業拡大を検討するならば、株式会社での法人格の取得がおすすめです。
    株式会社ということで、一定の信頼感も得られるでしょう。
    ただし、定款の認証費用、登録免許税などで約20~30万円の初期費用が必要となります。
  • 合同会社
    設立の手続きが簡単で初期費用も安く抑えることができますので、小規模事業所の開業に適しており、ケアマネージャー1人で開業するならばおすすめの法人格です。
    株式会社に比べて合同会社というとネームバリューが弱いため、求人では不利となります。
  • NPO法人
    非営利法人でイメージが良いですが、設立時に理事・監事といった人員が必要となります。主務官庁などの許可が必要ですが、約5カ月必要となり、他の法人格と比べて時間がかかります。
    それぞれの法人格のメリット・デメリットを考慮して、ご自身の予定する事業に見合った法人格を取得してください。

指定基準を満たす

法人格を取得した後、ケアマネージャーの事業所を設立する際には、指定基準である人員基準、設備基準、運営基準を満たす必要があります。

人員基準

  1. 管理者
    居宅介護支援事業所の責任者であり、常勤で1名必要となります。資格は問われません。
  2. ケアマネージャー(介護支援専門員)
    常勤のケアマネージャーを1名置くことが定められており、利用者35名、その端数を増すごとにケアマネージャー1人が必要です。(非常勤でも構いません)
  3. ※管理者とケアマネージャーの兼務は可能です。

設備基準
事務室、相談室、衛生設備といった設備基準を満たす必要があります。

  1. .事務室
    面積要件はなく、机や椅子を設置するスペース、利用者の個人情報を保管する鍵付きの書庫が必要となります。サービス担当者会議の場としても使用できます。
  2. 相談室
    利用者や家族が相談するためのスペースが必要です。プライバシーに配慮したスペースである必要があります。事務室から相談室が見えないようにパーテーションで仕切るなどすれば、個室でなくても構いません。
  3. 衛生設備
    感染症予防対策を行うため、トイレ、洗面所、せっけんや消毒薬などが必要です。

運営基準
介護保険において、事業の目的や運営方針、事業所の名前や住所、営業時間、提供地域、費用に関することや、その他重要事項は運営規定に記載する必要があります。
また、居宅介護支援業務を行うために、運営基準として一部ご紹介しますが、下記のような内容が必要であると定められています。

  • 重要事項説明書を交付、説明すること
  • 理由なくサービスを拒否してはいけないこと
  • ケアマネージャーの身分証を携行すること
  • 少なくとも1カ月に1回モニタリングを行うこと
  • 新規利用や要介護度が変更になった場合は、原則としてサービス担当者会議を開催しなければいけないこと
  • 福祉用具販売をケアプランに位置づける場合は、理由を記載しなければいけないこと

設立時は上記3基準を満たし、都道府県や市区町村に申請しなければいけません。(平成30年より、申請先は市区町村に変わります。)
指定基準は自治体によって異なる場合があるため、各自治体のホームページを確認することが大切です。

ケアマネージャーが開業するために必要な資金

ケアマネージャーの有資格者であれば、一人で業務を行うことができるので、人件費を抑えることができます。
また、自宅で開業する際は、物件取得費などかからないので開業資金が少なくて済みます。

例えば…

  • 法人登記に約30万円
    行政書士などに代行して貰う場合、数万円~十万円程度の代行費が別途必要です。
  • 家賃
    自宅であれば必要ありません。
  • 移動
    自家用車を兼用すれば費用はかかりません。
  • 事務機器や事務用品
    パソコンやプリンタは必須です。印刷する書類が多いので家庭用より業務用プリンタが、コストパフォーマンスが高いです。
  • 電話
    家庭用と兼用すれば費用がかかりませんが、使い勝手が悪いため別回線が良いでしょう。
  • 居宅介護支援事業所用ソフト
    ソフトを使って、利用者情報の入力や支援経過など、その他記録や保険請求を行います。

開業者の状況によって開業資金は変動するので、注意してください

ケアマネージャーで開業した際の収入

ケアマネージャーは比較的簡単に開業できますが、居宅介護支援事業だけで利益を出すのは難易度が高いため、他の介護サービスと併設し、総合的にサービスを提供することで利益を出しやすくなります。

ケアマネージャーの収入源は、ケアプラン作成での介護報酬1件あたり1万円~1万3千円となり、ケアマネージャー1人あたりの利用者受け持ち人数は上限35人(予防は含まれません)までと定められているので、1カ月約35~40万円が売上となります。
事業所運営費や税金、保険などの支払いをすれば、手取り20~25万円あれば良い方でしょう。

また、特定事業所加算I(500単位)・特定事業所加算II(400単位)・特定事業所加算III(300単位)といった加算を、算定することでギリギリ運営できているという事業所が少なくありません。※一人ケアマネ事務所の場合、特定事業所加算は算定できません。

参考に、ケアマネの平均給与額(ボーナス分も月給に組み込んだものとして)を記載いたします。※平成28年度介護従事者処遇状況等調査(厚生労働省)より。
平均年齢 47.3歳 平均年数 10.5年 労働時間 165.7時間/月
給与 342,440円 年収 4,109,280円

独立型居宅介護支援事業所は年々増加しているものの、全体の約10%で、併設型居宅介護支援事業所が残りを占めます。
併設型の場合、併設しているサービス種類は、約50%が訪問介護で、約40%が通所介護となっています。(複数回答可)

看護師や社会福祉士がケアマネージャーで開業する方法

看護師や社会福祉士、介護福祉士といった他職種がケアマネージャーになり、開業することも可能です。
ケアマネージャーになる方法は、各都道府県が管轄している介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、介護支援専門員実務研修87時間の研修を受けることで、資格を手にすることができます。
合格後、ケアマネージャーとしての実務ができますが、資格証には有効期限がありますので、5年に1回の更新が必要です。更新するには、介護支援専門員更新研修を受講、修了する必要があります。

介護支援専門員実務研修受講試験を受験するには、資格条件が必要で、保健、医療、福祉分野の国家試験資格を所持し、5年以上・900日以上の実務経験が必要となります。
国家試験資格の例は、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、理学療法士、言語聴覚士、作業療法士、栄養士、薬剤師、医師、歯科医師などです。

また、上記の資格を所持していない場合、ヘルパー2級や社会福祉主事任用資格を所持し5~10年の実務経験があれば受験可能です。※自治体、期間を限ったケース
資格取得することで他職種での経験が長い方でも居宅介護支援事業所として開業することは可能です。

ケアマネージャーとしての知識や技術、アセスメント、ケアプランの作成方法や認定調査などに関しては介護支援専門員実務研修で基礎から学ぶことができますので、他職種の方でも無理なく学習し、技術を身につけることが可能です。

ケアマネージャーの開業を自宅でもできるか知りたい

多くのケアマネージャーは居宅介護支援事業所で勤務していますが、自身のペースで働きたい、仕事以外の時間も大切にしながら働きたい、より利用者へ寄り添って仕事がしたいと、開業されている方もいらっしゃいます。
独立して居宅介護支援事業所をするためには、介護保険事業所担当窓口へ新規申請の手続きや指定介護事業所の許可が必要です。

ただし、一人で独立型居宅介護支援事業所を運営するには、利用者や各サービス事業所との調整・連絡・訪問、保険請求業務、利用者確保のための営業、その他書類業務も多く、大変だと思う方は少なくありません。

ケアマネージャーは低コストで独立でき、運営基準・設備基準をクリアすれば自宅一室での開業が可能です。
その際は、指定基準の中の設備基準をクリアするのはもちろん、住居スペースと居宅介護支援事業所のスペースが完全に分離している状態でなければいけません。

例えば…
自宅の2階、広さの規定はありませんが、事務スペースとして10帖ほどあれば望ましいでしょう。(パーテーションで仕切って空間を区切る方法でも構いません)
部屋の一画ではなく専用区画が必要なので、自宅兼事務所ならば、プライベートと明確に区分し、トイレや洗面所といった動線も生活の場と分け、独立していなければいけません。

都道府県によっては、入口部分は二世帯住宅のような居住部分と入り口が区分されていなければ開業が認められず、クリアが厳しいこともあります。
自宅が運営基準に沿ったサービスを提供できるかの確認も大切です。

ケアマネージャーの開業と副業をできるか知りたい

居宅介護支援事業所には人員基準がありますので、人員に余裕がある場合は副業が可能です。
ただし、一人で独立型居宅介護支援事業所を運営する場合は、人員基準をクリアするために居宅介護支援事業所の営業時間外、休業日に副業をしなければいけません。

平日は8時間/日の労働が基準のため、早朝、夜中や土日に副業をすることになります。
多くみられる副業は介護職員初任者研修、介護技術講習会、介護・福祉系専門学校の講師や認定調査員といった専門性を活かした職種がありますが、社会福祉士の資格を所持している方などは成年後見人を副業としている方もいらっしゃいます。
成年後見人は報酬が少なく、付与が約1年後なので、収入の期待は低いでしょう。

ケアマネージャーは利用者からの連絡によって訪問し、緊急時に対応しなければいけないので、副業は難しいです。
しかし、前項で述べたように、居宅介護支援だけでは事業継続が難しいので、訪問介護やデイサービスなど異なる介護事業を併設する場合もあります。
居宅介護支援の報酬は低いため、その他の介護サービスと併設することで利益アップを目指します。
開業後、副業をする場合には、管理監督する指定権者に事前確認すると安心でしょう。

まとめ

居宅介護支援事業所は一人での立ち上げも可能ですが、その分忙しく、情報収集やケアプランなど書類のチェックに困っている方も多いようです。開業準備と並行して、開業後の事務仕事や管理業務の効率化も考えられると良いでしょう。
地域包括支援センターでの相談、積極的な情報収集とスキルアップを行っていくことが大切です。

この記事を評価する

介護の開業を支援してくれる無料サービスを上手く利用することで、ご自身だけでは辛い開業準備も簡単に進められるようになります。 詳しくは、開業支援サービス(無料)の詳細をご覧ください。あなたにあった最適な開業支援をご提案いたします。

-独立開業・起業

執筆者:

関連記事

訪問介護立ち上げ資金

訪問介護を立ち上げる資金の工面方法とは?

介護業界の需要が増えているのになかなか供給が追いついていない現状があるかと思います。 介護事業所の立ち上げを目指している方のお役に立てられるよう、この記事では訪問介護を立ち上げるための必要な資金や、そ …

看板

デイサービス事業者が事業所の看板を設置するには?

デイサービスのターゲットとなる高齢者の方々にリーチし、事業所を認知してもらうには、新聞広告やポスティングなども有効ですが、看板も有効的な宣伝媒体となります。 今回は、デイサービス事業者が看板設置を検討 …

小規模多機能型居宅介護の指定申請とは?

在宅での自立支援を目的とする小規模多機能型居宅介護。 在宅介護のニーズ拡大に伴い、開業をお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。 今回は、小規模多機能型居宅介護の開業にあたって必要となる指定申請 …

デイサービスのネーミングについてご紹介

この記事では、デイサービスのネーミングについて解説します。 これからデイサービスを開業しようと考えている方はご一読のうえ、お役立て頂けたらと思います。     目次1 デイサービス …

アイディア

新規介護事業所開設にとってのロゴの重要性

 介護事業所を開設するためにさまざまな準備をしなければなりません。 その中でも初期段階で準備しておかなければならないのが、あなたの介護事業所の事業所名、コンセプト、ターゲットとする利用者層、サービスの …