人材の採用・育成

ベトナム人介護人材を受け入れる際に知っておきたいこと

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近年、少子高齢化に伴い続々と新規参入の介護施設が開所しています。その為、介護職員の求人が多く見られます。ですが、離職率が高く就職率が低いため需要と供給のバランスが崩れ現場では人材不足の状態です。

そこで、政府は経済活動の連携強化のためアジアからの人材受け入れを進めています。この記事では、ベトナム人の介護人材に関して詳しくご説明します。

ベトナム人

ベトナム人介護人材の需要の高まり

これまでの日本の取り組み

政府は、外国人の介護人材を多く受け入れるため、インドネシア(平成20年度)とフィリピン(平成21年度)から受け入れを開始しています。

日本とベトナムの関係

ベトナムは、平成26年から開始となりました。もともとベトナムには親日家が多く見られ、北部の人は勤勉で真面目、我慢強く忍耐力があり、チームワークも得意です。南部の人はオープンな性格で、初対面の人とでも仲良くでき、楽観的な思考です。

親切心もあります。すべてのベトナム人に当てはまるということはありませんが、このような国民性気質があります。そのため、日本社会に馴染みやすいベトナム人の需要が高まっています。

また、同じように台湾でもベトナム人を介護人材としての獲得に動いています。日本より距離が近く、就労ビザの期間が12年とながく、単身ではなく家族で入国できることが人気となっており他国でも介護人材確保が進められています。

ベトナム人介護人材の受け入れに向けた政府の取り組み

これまで日本政府は、平成21年に『日・ベトナム経済連携協定』を結びました。それを基に作成された『日・ベトナム交換公文』(平成24年)により、二国間での介護人材育成と派遣が開始されました。

平成26年度に138名(看護21名、介護117名)平成27年度に152名(看護師14名、介護138名)平成28年度180名(看護18名、介護162名)平成29年度に203名(看護22名、介護181名)の計673名を受け入れて来ました。

では、訪日を希望した人たちがどのように国家資格を取得するに至るかを『日・ベトナム経済連携協定』を基に記載します。

看護師の場合

看護師の場合、資格取得前の残留期間は上限3年です。

募集要項ですが、3年または4年制の看護課程を修了し看護師資格を取得している。尚且つ実務経験2年が必要です。

募集項目を満たしており、既に日本語能力検定N2以上の能力を持っている人は、雇用の斡旋を受けます。

しかし、募集項目は満たしているものの言語能力を持っていない人は、「訪日前日本語研修」を12ヶ月受けます。そこで日本語を学び、日本語能力検定N3を修了しなければなりません。日本語能力検定N3は、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できることが求められるレベルです。例えば、新聞の見出しを見て内容を大まかに理解でき、日常会話の中で人物とその関係性が把握できることです。

その日本語研修で修了した人だけが、雇用契約締結のため「JICWELS」による斡旋を受けられます。

その後訪日し、改めて日本語研修(2か月間)と看護導入研修、就労ガイダンスを受けます。

受けた後、病院との雇用契約に基づき就労・研修を行います。1年に1回看護師国家試験が受験できるため、受験し合格・資格取得の流れになります。看護師国家試験は3回まで挑戦でき、取得できなかった場合は期間満了を以って帰国します。

介護の場合

介護の場合資格取得前の在留期間は上限4年です。

募集要項は、3年制または4年制の看護課程修了が必要です。こちらも同じく言語能力に応じて「訪日前日本語研修」を12ヶ月受けます。無事に日本語能力検定N3を修了した者のみ雇用契約締結のため「JICWEL」による斡旋を受けます。

訪日後は、改めて日本語研修(2か月間)と介護導入研修、就労ガイダンスを受けます。

受けた後に介護施設で雇用契約に基づき就労・研修となります。介護福祉士国家資格は4年の間に1回受験できるため、そこで合格し資格を取得します。資格取得ができなかった場合、看護師と同じように期間満了を以って帰国することとなります。

また平成30年度(2018年度)より介護分野に限り、日常会話だけではなく専門用語や知識・コミュニケーションに必要な用語に重きを置くようになりました。

国家資格を取得後は、引き続き滞在・就労が可能となり、更新回数も制限はなくなります。

やはり言語の壁は大きいですが、訪日前に日本語研修が行われることで訪日後の生活に関して本人と受け入れる施設も不安の軽減に繋がります。

その他制度の受け入れ方法

上記では、日・ベトナム経済連携協定での資格取得に至るまでを記載しましたが、その他にも、外国人技能実習生として受け入れる方法と在留資格を「介護」で受け入れる方法があるためご説明します。

外国人技能実習生とは

外国人技能実習生とは、一定期間において企業が技能実習生を雇用し、技能実習生は日本の産業・技能などの修得・習熟する制度です。平成29年11月1日に技能実習制度に介護が追加されました。

大臣から認定をうけた「監理団体」によって技能実習生の申し込みができます。監理団体に申し込んだ後、ベトナム政府の労働・傷病兵・社会省海外労働局(DOLAB)が認定・監督している「認定送り出し機関」で求人がされ、現地にて直接面談し契約締結をします。

その後入国管理局への書類作成を行い技能実習生が訪日となります。訪日後は日本語・介護講習を修了し、各施設へ配属の流れとなります。

各制度の相違点

介護福祉士の資格取得者に限り、平成29年9月1日より在有資格に介護が創設されました。

各制度の違いを一覧表に記載します。

日ベトナム経済連携協定 技能実習生 在留資格
就労期間 4年
介護福祉士国家資格に合格したら永続的に滞在可能
3年
諸条件をクリアした場合は5年
最長5年
受入国 インドネシア
フィリピン
ベトナム
討議議事録(R/D)並びに細く討議議事録(補足R/D)を締結している15か国 制限なし
雇用契約 基本的に日本人と同様 基本的に日本人と同様 基本的に日本人と同様
配置基準 最初6ヶ月は含めない 最初6ヶ月は含めない
日本語能力 日本語能力N3 入国時日本語能力N4一年後N3の取得義務がある 日本語能力N2以上
人材紹介団体 JICWELS 各監理団体
必要期間 マッチングの約1年 面接後
4~5ヶ月(ベトナム)
6~7ヶ月(ミャンマー)
留学ビザで入国、介護福祉士養成施設卒業(2年以上)、介護福祉士資格取得後配属
メリット
  • 政府政策的な側面からのバックアップが強い
  • 介護ニーズに対応可能
  • 15か国からの受入れ可能
  • N3相当まで現地教育
  • 受入可能国の指定がない
  • 制度を利用せずに介護福祉士を雇用できる
デメリット
  • 介護福祉士試験に受かる人が少ない。
  • 国家資格取得後、帰国者が多い
  • 日本語能力が他より低い
  • 国家資格を取得していない
  • 労働しながらN3合格が難しく1年で帰国することになる
  • 介護技能教育全般を行わず受入れると、介護教育に多額の費用と時間がかかる
  • 本人に留学費用が掛かる
  • 介護福祉士に受からなければ雇用できない
  • 国家資格取得後、帰国者が多い

ベトナム人介護人材を受け入れる際に注意したいこと

外国人登用の現状

近年、外国人技能実習生の増加に伴い失踪する技能実習生が増えています。公益財団法人国際研修協力機構では、この技能実習生の失踪に関して発生防止対策を立てています。

その中で、技能実習生の失踪発生を予防するには、ミスマッチをなくすことだと書かれています。日本に希望と理想をもって訪日するも、失望し結果的に失踪するケースが増えています。

今後の取り組み

今までの生活環境・文化・宗教・風習が違うため、日本で当たり前だと私たちが認識しているものも、違うことがあります。

その為、処遇や技能実習環境について契約時に話し合い、確認することが必要です。他にも社会保険料などの法定控除項目や、寮費・水道光熱費など法定外の項目。そして、時間外労働に対する割増賃金の説明などが必要です。

また、政府も技能実習生の保護に取り組んでいます。平成28年11月28日より、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」を公布し、平成29年11月1日より実施されました。

新しい法律では監理団体や実習実施者の義務や責任が明確ではなかったものが、監理団体は許可制になり、実施者は認可制、実習計画は個々に届け出制にするなど今まであいまいだったものが法整備されることにより明確になりました。

ベトナム人介護人材の受け入れで、助成金が獲得できるか

厚生労働省からの助成金

厚生労働省は介護労働者を対象に外国人を含めて雇用した従業員に対し、助成金での支援を行っています。それが、職場定着支援助成金(介護福祉機器助成金コース・介護労働者雇用管理制度コース)です。

その他の助成金制度

その他にもキャリアアップ助成金、職場意識改善助成金など対象となる会社の規模などがあるので、詳しくは厚生労働省のwebサイトを参照してください。

また、千葉県船橋市では介護福祉士の資格取得に必要な実務者研修の費用の一部を補助するなど各都道府県・市町村での助成も見られます。

経済連携協定に元づく補助金もあります。セーフティーネット支援対策等事業費補助金です。受け入れ施設等で言語習得のために日本語学校への修学、講師の派遣や国家資格受験に向けた学習支援。それに伴う備品購入費と研修担当者への手当が含まれます。また、ベトナムからの受入れ準備に対しての補助金もあります。

まとめ

ベトナム介護人材の受入れに対して色々記載してきました。ベトナム人の介護人材登用はメリット・デメリットがあります。

近年、外国人労働者が増えてきたため、公的施設や病院でも通訳などが配置されるようになりました。介護の世界にベトナム人介護人材が定着すれば、今後も深刻となる介護人材不足を軽減し安定した経営に貢献できると思います。

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