人材の採用・育成

超高齢社会における介護スタッフ人材育成の方法とは?


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最近、外国人介護スタッフとか介護ロボットとか広まってきたよね。日本人の介護スタッフが働かない未来が来るかもね

確かに、そのような未来が来るかもしれないけど、デメリットもあるからね。やっぱり、介護スタッフを集めたり、教育したりすることが大切だね。

なるほどね。でも、私教えること苦手なんだよね…

では、わしがOJTや助成金について教えよう

介護スタッフの人材育成をお考えの事業者の方々は、ぜひこの記事を参考にしてください。

育成

介護スタッフの人材確保の問題

近年、日本は急速な勢いで高齢化が進んでいます。総務省の国勢調査によると、2016年の高齢化率は26.7%と過去最高の数値となりました。

これは国内の人口の4人に1人が高齢者という計算になり、今後も年々高齢者の増加が予測されています。

こうした社会構造の変化に伴い、介護のニーズも多様化してきました。

良質できめ細かな介護サービスを求める利用者さんが増える一方で、どの事業所においても介護サービスを提供するスタッフの人材不足と、人材確保は深刻な問題となっています。

そもそもなぜ、介護スタッフの人材が不足しているのでしょうか?

人材不足の理由としては、少子化による人口の減少も原因のひとつですが、最大の理由は、介護スタッフが1年以内に3割、3年以内に8割が離職するという「離職率の高さ」にあります。

離職の要因として、「他の産業と比較して給与や昇給が低いこと」「過酷な労働であること」「職場の人間関係が不和であること」などが挙げられます。

このような離職した介護スタッフを補充する、人材確保の方法はあるのでしょうか?

「外国人介護スタッフを雇用したら良い」という方もいます。

実際、2017年の11月1日、「外国人技能実習制度」に介護職種が追加、施行されました。

この制度は、日本での技術、知識を開発途上国などの外国人に教育し、日本国内に技能実習生として受け入れができる制度です。

「これを利用して外国人介護スタッフを雇用すれば良いのでは?」と思われがちですがこの制度自体、「諸外国の経済発展を担うための国際協力を行うこと」を目的としており、人材不足を補うためのものではありません。

また、技能実習制度での就労は3年(延長が認定された場合は5年)と、就業期間も限られています。この限られた期間だけの雇用では、短期間でスタッフの入れ替えが行われるだけのことで、結局その場しのぎの政策に過ぎないでしょう。

さらに外国人介護スタッフの就労では、「日本語が話せるか」という問題もあります。

特に介護は対人援助サービスですので、技術面だけでなく、ある程度のコミュニケーションスキルが必要です。日本語には独特の言い回しや、方言もあるので、言葉の壁は大きいと言えるでしょう。

このように、外国人介護スタッフの雇用は、さまざまな問題を含んでいます。そのため、雇用において慎重に行う必要があるでしょう。

「介護ロボットを利用したら良い」そんな声も聞かれます。

介護スタッフは身体介護の負担が大きいもの。そのため、介護ロボットを導入することでかなりの介護負担の軽減が期待できます。

しかし価格が高いことや、実用性が確立されていないこと、さらに「介護は人の手で行うもの」というイメージが根強く残っていることもあり、国の補助金制度が利用可能であっても普及が進んでいないのが現状です。

しかしながら今後、介護の人材不足を補ううえで、介護ロボットは欠かせないものになるでしょう。

現在、介護ロボットの開発事業は新たな市場の創造によるビジネスチャンスと捉えている企業も多く助成金による、開発の促進を後押しする政府の働きもあり、センシング技術と介護記録システムの連携など技術革新が著しい分野でもあります。

ロボットの開発と実用化が進み、価格が下がれば導入する事業所が増えてくると思われます。

将来を見据えて、介護の現場とロボット製造業者の間でニーズの擦り合わせを行い、ロボットの開発と低価格化が進むことを期待したいです。 

これまで見てきたように、介護スタッフの人材確保の方法を考えてみると、現状は難しい問題でもあります。

では、介護スタッフの離職を防ぐために、事業者ができることは何なのでしょうか?

求められる介護の質と人材確保

介護サービスを提供するうえで重要視されることのひとつに、「介護の質」があります。

介護の資格を取得したからすぐに良質な介護サービスが提供可能か、というとそれは難しいと言わざるを得ません。

やはり、介護スタッフ自身が現場で実践を積み重ね、介護の知識を深め、より高度な技術を身に付ける、いわば「スキルアップ」ができなければ、介護サービスの質の向上にはつながっていきません。

介護スタッフがスキルアップするためには、職場のスタッフがお互いに連携、協力して業務に取り組む体制を作ることが大切です。

しかし、現状として、体制作りはなかなか難しいもの。短期間でスタッフが入れ替わったり、スタッフ同士の連携がうまく取れなかったり、また技術面で個人のスキルの差が出る場合もあるでしょう。

組織の一員として定着したスタッフがいなければ、統一された介護サービスの提供も難しくなります。

また、現場のスタッフが不足することで、利用者さんの必要な介護サービスを提供することができなくなり、サービスの質の低下にもつながります。

そのことがやがて、利用者さんと利用者さんのご家族の不満が事業所の評価となり、その後の事業所の運営に影響を及ぼすことも考えられます。

では、介護サービスの質の向上を図るには、どのような方法があるのでしょうか?

そのヒントとなるのが「人材は人財」という考え方です。

近年、ビジネス用語で人材を「人財」と使われることが多くなってきました。

これは、人は「財を成す」という意味であり、「人財」は組織の財産であるという考え方です。

人にはそれぞれ個性があります。「人材」を「財産」としてとらえ、その人格や人権を尊重し、適性を見極めながら、必要な知識や技術を習得するための教育を行います。

その結果、スタッフのスキルや、仕事へのモチベーションがアップし、組織の一員として定着していくという考え方です。

介護スタッフの雇用が厳しい状況にある現在、スタッフの離職を防ぎ、介護スタッフの持つ能力を発揮することのできる組織の「人財」となるように、事業者が人材育成のための「しくみ作り」を行うことが何より大切です。

事業者が人材育成を行うことが組織の統制を取ることにつながり、ひいては周りからの事業所の評価が上がります。

そのことが、スタッフの定着へとつながるのです。雇用面で言えば、人材育成を行っている事業所は「働きやすい環境」という評価がされやすく、求人を出しても応募が集まりやすくなる傾向があります。

では、人材育成のしくみ作りはどのようにすればよいのでしょうか?

より強固な組織にするための育成方法

厚労省の調べによると、介護職員の離職理由について「法人・事業所の理念や運営のあり方に不満があった(25.0%)、「職場の人間関係に不満があった(24.7%)」の2つが上位を占めています。

介護の仕事には職場環境や同僚の介護スタッフ、利用者さんに恵まれていないなど、精神面での負担が大きく、ストレスを溜めこんでしまいがちです。さらにそのストレスが、同僚への八つ当たりへと発展し、職場環境を悪化させることも大いに考えられます。

そのような衝突を防ぐためにも、法人・事業所としてスタッフの働きやすい職場環境を整備し、人材育成の体制構築を行うことは大変重要です。

具体的な内容としては、ストレスを解決するためのメンター制度の導入、スタッフのスキルアップのため事業者法人・事業所が独自で行う奨励制度、さらに上司や先輩が新人に対して、現場で仕事を進めながら必要な知識やスキルを計画・体系的に教え、身に付けさせるためのOJT研修などがあります。

メンター制度の「メンター」とは、仕事上の経験者や助言者、相談相手のことを指します。

メンター制度とは、現場経験を積み、技術や知識を持った先輩スタッフ(メンター)が、新しく入職した後輩スタッフ(メンティ)に対して、仕事上の相談に限らず、精神面でのサポートも行う個別支援活動のことです。

事業者が「仕事の悩みを相談できる先輩スタッフ」を配置することによって、新入スタッフの悩みや不安の解消をはかることができます。

厚生労働省のサイトで、女性社員の活躍を推進するための「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」の資料を掲載していますので、参考にしても良いでしょう。

メンターの役割は、技術、知識、経験などを共有し、メンティが成長できるよう励ますこと。

相互で意見を交わし、進捗状況を話し合い、さらなる成長のための目標を設定していきます。精神面でもメンティの支えとなりますので、結果的にスタッフの定着率のアップも見込めるでしょう。

メンティにとっては、「新しい考え方に触れることができる」「知識の習得とスキルをアップする機会が増える」「長所を伸ばし、短所を克服するためのアドバイスを受けることができる」などのメリットが挙げられます。
 

スキルアップのための資格取得奨励制度とは?

 
スタッフのスキルアップや、自己啓発の促進を目的として、公的資格取得に関する支援制度を設けている事業所があります。

これは、対象の資格を取得した場合に、一時金や資格手当の支給、受験料を負担するなどがあります。スタッフの待遇を向上させることによって、仕事へのモチベーションにも良い影響を与えることができます。この制度は事業者独自で規程を作成することが可能ですので、スタッフにスキルアップとその成果を望む場合には、人事課とリンクさせ、規程を作成すると良いでしょう。

OJT研修とは?

 
OJT研修とは、職場で仕事をしながらその業務を学んでいく教育方法です。新人スタッフは知識や技術が未熟なため、独り立ちするまでには、ある程度の時間がかかります。そこで、同じ職場の先輩がOJT担当者となり、新人の側でひとつひとつ仕事を教え、段階的に新人を成長させていく方法です。
メンター制度では、メンターは職場の外から若手スタッフ(メンティー)を見守り、精神面のケアも行いますが、OJT研修では、新人のすぐ側で先輩が仕事を教えていく点で、決定的な違いがあります。
OJT研修のメリットとしては、
「教育のための講師が不要であること」「個別教育が可能なこと」「実際の仕事に即した実践的な指導ができ、指導の効果が高いこと」さらには「実施するためのコストがかからないこと」「現場の戦力に直結できること」などが挙げられます。
 
では、OJT研修の具体的な内容は、どのようなものでしょう?

まず、初期段階に行う研修として、4つの手順があります。

4つの手順

  1. 仕事をやって見せる(指導者が手本を見せる)
  2. 仕事のやり方を説明する
  3. 仕事をやらせてみる(新人に実際の仕事をさせる)
  4. 指導する(新人の仕事の仕方を評価し、追加指導をする)

次に、仕事に慣れてきた段階で、「PDCAサイクル」を実施します。

PDCAサイクルとは、目標に基づいて計画を立て(Plan)、それを実行し(Do)、その結果を評価(Check)することで、改善すべき点(Action)を見つけるという仕事の流れのことを言います。

このサイクルを繰り返すことで、業務の質の向上を継続的にはかることができます。

これに対し、OFF‐JT研修という方法もあります。OJTとは逆の意味で、仕事から離れた教育のことであり、一般的な集合研修のことを指しています。

これらの研修は、一種類だけ行うのでは人財育成としての充分な効果を得ることができません。複合的に組み合わせて行うことで、相乗効果が期待できます。

しかし、事業者が新しい制度を開始すると、スタッフ側の不安は大きくなり、抵抗感を覚えるスタッフもいるでしょう。

抵抗感を少しでも減らすためにも、スタッフにはその制度の目的と、今後導入することのメリットを「見える形」で丁寧に説明し、「お互いにメリットがある」ということを共通認識していくことが大切です。

介護スタッフ育成のための助成金の活用とは?

介護スタッフ育成のための公的な助成金制度として、人材開発支援助成金があります。

この助成金は、事業者がスタッフに対し、業務に関わる専門的な知識や技能習得のための職業訓練などを計画に沿って実施、また人材育成制度を導入してスタッフに適用した場合、訓練期間中や訓練経費の賃金の一部の助成が受けられる制度です。

具体的には、職員の職業能力開発についての計画(事業内職業能力開発計画、年間職業能力開発計画)に基づいて訓練などを行った事業主に、経費と訓練期間中に支払った賃金の一部が助成される制度です。

人材開発支援助成金のコースは4つあります。(詳細は厚生労働省サイト参照)

特定訓練コース

  • 職業能力開発促進センター等が実施する在職者訓練(高度職業訓練)、事業分野別指針に定められた事項に関する訓練 、専門実践教育訓練、生産性向上人材育成支援センターが実施する訓練等
  • 採用5年以内で、35歳未満の若年労働者への訓練
  • 熟練技能者の指導力強化、技能承継のための訓練、認定職業訓練
  • 海外関連業務に従事する人材育成のための訓練
  • 厚生労働大臣の認定を受けた OJT 付き訓練
  • 直近2年間に継続して正規雇用の経験のない中高年齢新規雇用者等(45歳以上)を対象とした OJT 付き訓練

一般訓練コース

  • 特定訓練コース以外の訓練に対して助成

キャリア形成支援制度導入コース

  • セルフ・キャリアドック制度を導入し、実施した場合に助成
  • 教育訓練休暇等制度または教育訓練短時間勤務制度を導入し、実施した場合に助成

職業能力検定制度導入コース

  • 技能検定に合格した従業員に報奨金を支給する制度を導入し、実施した場合に助成
  • 社内検定制度を導入し、実施した場合に助成
  • 業界検定制度を作成し、構成事業主の労働者に当該検定を受検させた場合に助成(事業主団体等のみ対象)

主な受給要件

  1. 雇用保険適用事業所の事業主であること
  2. 支給のための審査に協力すること
    1. 支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等を整備・保管していること
    2. 支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等の提出を、管轄労働局等から求められた場合に応じること
    3. 管轄労働局等の実地調査を受け入れること など
  3. 申請期間内に申請を行うこと

助成金の受給額

支給対象となる訓練 賃金助成 経費助成 実施助成
( 1 人 1 時間当たり) ( 1 人 1 時間当たり)
生産性要件を
満たす場合
生産性要件を
満たす場合
生産性要件
を満たす場合
特定訓練コース Off-JT 760 円 960 円 45% 60%
( 380 円) (480 円 ) -30% -45%
OJT 665 円 840 円
( 380 円) ( 480 円)
一般訓練コース Off-JT 380 円 480 円 30% 45%
支給対象となる制度 制度導入助成
生産性要件を満たす場合
キャリア形成
支援制度導入
コース
47.5 万円 60 万円
職業能力検定
制度導入コース
  • 事業主団体等に対しては経費助成のみとなります。
  • 業界検定制度の導入に係る助成対象は、事業主団体等(助成率は経費助成2/3)となります。
  • 一定の要件を満たしたセルフ・キャリアドック制度導入企業及び若者雇用促進法に基づく認定事業主を対象に、経費助成率を引き上げます。
  • 一般訓練を事業主が実施する場合に、セルフ・キャリアドックの実施を要件とします。

 

まとめ

2025年には団塊の世代が75歳を迎えます。

年々増え続ける高齢者を支えるための介護、福祉サービスへの需要に加え提供するサービスの質の向上は、今後ますます求められていくでしょう。

しかし、介護スタッフの人数には限界があります。

このピンチをチャンスに変えて、事業所の運営を安定して継続させるためには、現状維持だけでなく、組織の改革を進めることが大切です。

組織の立役者であるスタッフの成長は、事業所が成長する大きな力となります。

そのためにも、事業者が優秀な人材の確保や、人材の育成はもはや欠かせない必須事項と言うことができるのではないでしょうか。

あなたは、人材育成の必要性をどのように考えますか?

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