人材の採用・育成

訪問介護事業所の管理者とサービス提供責任者の兼務について


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訪問介護事業所には、管理者、サービス提供責任者、訪問介護員が必要です。管理者とサービス提供責任者を兼務することで、人材確保の難しい有資格者の人材不足を補っている事業所が多くあります。
今回は、訪問介護事業所の管理者とサービス提供責任者の兼務の要件等についてまとめましたので参考にしていただけると幸いです。
なお、こちらに記載している内容は2018年4月時点のものです。今後、改定される場合もありますので、ご了承ください。

訪問介護事業所の人員基準について

訪問介護事業所の人員基準

訪問介護事業所は、介護保険法に定められた人員基準、設備基準、運営基準を満たす必要があります。その中の人員基準では、具体的な職種として①管理者②サービス提供責任者③訪問介護員(ホームヘルパー)の3つの職種の配置が必要となります。

管理者

管理者は、基本的には常勤・専従1名の配置が必要です。業務に支障がない場合には、他の職務(サービス提供責任者、訪問介護員)、同一敷地内の他の事業所等の職務に従事することが可能です。
管理者には資格要件はありません。
業務内容としては、管理業務全般となります。

サービス提供責任者

サービス提供責任者は、ご利用者の数に応じた人数を配置する必要があります。具体的には常勤換算でご利用者40名(前3ヵ月間の平均値)に対して、常勤1名以上の配置が必要です。なお、ご利用者が40名を超す場合、常勤換算数による計算が可能となりますが、短時間労働者を常勤換算する場合は常勤の勤務時間数の半分以上勤務している方が計算の対象となります。
(計算例)
前3ヵ月間のご利用者数の平均が70名の場合
70÷40=1.75 → 少数第1位に切り上げ → 1.8名
サービス提供責任者の配置は、常勤2名または常勤換算1.8名(常勤1名+常勤換算0.8以上の短時間労働者1名)以上の配置が必要となります。

緩和要件

一定の要件を満たすことでご利用者50名(前3ヵ月間の平均値)に対して、常勤1名以上のサービス提供責任者を配置することが可能です。
一定の要件とは、以下の条件をすべて満たすことになります。

  • 常勤のサービス提供責任者を3名以上配置していること
  • サービス提供責任者の業務に主として従事する者を1人以上配置していること
  • サービス提供責任者が行う業務が効率的に行われていること

サービス提供責任者の資格要件として、介護福祉士、実務者研修、ホームヘルパー1級、介護職員基礎研修、看護師等の資格が必要となります。以前までは介護職員初任者研修、ホームヘルパー2級の有資格者で、実務経験の条件を満たす者もサービス提供責任者になれましたが、新たにサービス提供責任者となるための資格要件に変更がありました。
業務内容としては、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作成するケアプランに沿った訪問介護計画書を作成します。具体的には訪問介護計画書を作成するために、ご利用者と面接してアセスメントを行うこと、サービス担当者会議に参加すること、モニタリング、訪問介護計画書の修正、関係機関との連絡調整等の業務を行います。また、訪問介護員の業務の実施状況を把握し、それぞれの能力や経験、技術に合わせて必要に応じた技術指導や研修を行うことも業務となります。

訪問介護員(ホームヘルパー)

訪問介護員は常勤換算で2.5名以上必要となります。
訪問介護員の資格要件として、介護職員初任者研修またはサービス提供責任者と同様の資格が必要となります。また、現在生活援助従事者研修という新しい研修が創設され、修了することで生活援助業務に従事することができます。
業務内容としては、訪問介護サービスを提供する職種です。実際にご利用者の自宅に伺い、生活援助、身体介護等の介護業務を行います。

その他の職員

その他に、請求業務等の事務を行うために事務員等を配置することがあります。

常勤換算数

常勤換算数とは、短時間労働の方も含めて、常勤何名相当の職員がいるかを計算します。
常勤換算数=「従業者の勤務延べ時間(h)」÷「常勤従事者の勤務時間数(h)」

訪問介護事業所で管理者とサービス提供責任者の兼務ができる要件

前述のように、管理者は、常勤専従が基本です。ただし、訪問介護事業所の管理上支障がない場合には、指定訪問介護事業所の他の職務または、同じ敷地にある同一法人の事業所、施設などの職務に従事することができるとされています。そのため、管理者とサービス提供責任者は、兼務が可能となります。
なお、2014年の三菱総合研究所の調査では、管理者とサービス提供責任者の兼務をしている人は、全体の27.5%で、兼務していない人は59.5%でした(無回答13%)。

訪問介護の管理者とサービス提供責任者の兼務の留意点

訪問介護事業所の管理者とサービス提供責任者と兼務する場合、以下の点に注意する必要があります。

管理者業務の時間を考慮する

管理者とサービス提供責任者の兼務は可能ですが、管理業務を行う時間数は、他の職務の常勤換算数に含めることができないため、管理業務を行う時間を明確にしておく必要があります。

人員配置の記録義務

原則として月ごとの勤務表を作り、勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者、サービス提供責任者との兼務関係などを明確にする必要があります。

兼務の範囲など

3職種以上の兼務はできない場合があります。
管理者とサービス提供責任者の兼務からは話題が逸れますが、同敷地内の事業所を含めて3職種以上の兼務する場合には所轄官庁へ確認を取りましょう。

管理者としての業務を支障なく執り行う

管理者は、従業者および業務の管理を一元的に行う、とあります。管理者はサービス提供責任者を兼務することができるとはいえ、ご利用者の訪問介護計画書の作成を怠っているなど業務の管理に支障があると判断される場合には、介護報酬の減額や指定取消の処分を受ける可能性があります。

訪問介護サービスの多様化について

介護予防・日常生活支援総合事業が創設され、要支援1、2のご利用者に対する介護予防訪問介護・通所介護の一部は、全国一律の介護予防給付から外れ、市町村が運営する新たな地域支援事業の総合事業に移行しました。

まとめ

冒頭に記載の通り、高齢者介護の現場では専門性を高める一方で、深刻な人材不足が懸念されます。しかし、悪質な事業者の横行を防ぐために監査が厳しくなることもあり、状況は年々揺れ動きます。状況を読みながら、適切な事業所運営と質の良い介護サービスの提供を進めていけますように祈念しております。
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