人材の採用・育成

介護の人材不足の実態について | その原因と対策


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介護業界ってマイナスなイメージが多いよね…どうにかならないのかな…

確かに、そうだね。ただ、介護人材不足を補うために対策もいろいろしているんだよ!今後、介護業界のイメージがどんどん良くなれば良いね

そうだね!介護のイメージが良くなるよう、僕も介護業界で頑張るよ!

介護事業経営者の皆さま。

介護業界における人材不足の実態に関して、しっかりと理解はできていますでしょうか。介護市場は、今後も高齢化が進むことを考えると、まだまだ成長産業であると言えます。

しかし、その一方で、低賃金や重労働などのイメージからくる人材不足という問題を、長年にわたって抱えています。

今回は、介護業界における人材不足の原因やそれに対する解決策を中心に説明していきます。一読し、ぜひ今後の経営にお役立てください。

手を差し伸べる女性

介護人材の不足「2025年問題」

「2025年問題」とは

平成27年に厚生労働省から、2025年に向けた介護人材にかかる需給推計について発表されています。

これによると、高齢者は増えていくにもかかわらず、生産年齢人口が減少していくために、介護に従事する人材がますます足りなくなると予想されています。

介護人材の需要見込み(2025 年度) 253.0 万人
現状推移シナリオによる 介護人材の供給見込み(2025 年度) 215.2 万人
需給ギャップ 37.8 万人

需要見込みについては、各市町村の事業計画などから割り出されており、供給見込みについては、現在の入職および離職率に予想されている生産年齢人口の減少などを反映しています。

これらの数値から、さらなる人材不足が明白になっています。都道府県ごとに算出されている数値から、2017年の介護人材の充足率は84〜100%、全国平均は94%となっています。

これが、2025年になると、全国平均は85.1%まで低下します。とくに、関東や関西、愛知県など大都市圏の充足率の下落は大きく、15%ほど下落すると予想されているところもあります。

現在の介護職員の離職率

介護職員の離職率はというと、厚生労働省が所管する「介護労働安定センター」の調査によると、2015年10月〜2016年9月の1年間に、全国の介護職員のうち16.7%が退職したという結果を公表しています。

2016年の上半期の全職種を平均した離職率は、社員で6.9%、パートタイマーで14.7%となっていることから、他の産業に比べて、介護職員の離職率が高いことが分かります。

介護職の有効求人倍率

人員不足のために売り手市場となっている介護職の求人倍率は、全国的に高い傾向にあります。

平成27年度の介護分野の有効求人倍率は、2.59倍となっています。注意すべき点は、地域ごとに高齢化の現状や他の産業形態が異なるので、介護職の求人倍率にもそれが反映され、地域によって異なっています。

介護人材の不足が及ぼす深刻な影響

介護の人材不足という問題が、実際にどのような影響を及ぼすかというと、まずは介護職の高齢化があげられます。これは、現在介護職に就いている人が、そのまま介護業界にとどまり年齢を重ねていき、かつ新たに介護職を目指す若者が減少することで起こります。

この傾向はすでに始まっており、一部の福祉系の学部や専門学校では入学希望者が減少しています。これは少子化で学生の人数が減ってきているとともに、低賃金で労働環境が厳しいというイメージが定着してしまった介護業界を避ける若者が増えているからです。

介護の業務の中には夜勤や身体介護などの体力のいる業務も多く、介護職の高齢化が進めば、重労働を避けて他業種へ転職する人も増えます。

すでに、人材が不足している現場ではスタッフ1人にかかる負担が大きく、他の職場や業種に転職する職員が増え悪循環を招きます。また、介護職員が少なくなることで煩雑な業務に追われてしまい、介護施設の入所者やサービス利用者など一人ひとりへの目が行き届かなくなる恐れがあります。

サービスの質の低下によって、職員のモチベーションの低下や、サービス利用者の確保が難しくなるといった問題も引き起こされます。

介護人材が不足している原因

平成28年度「介護労働実態調査」に、介護事業者と職員が考える人材不足の原因や悩みについてまとめられています。

介護事業者が考える人材不足の悩み・原因

人材の採用と育成が困難

採用活動は行っているが、介護職として働くのに必要な資格や経験、あるいは意欲や素質を持った適切な人材を確保するのが難しいというのが現状です。

事業所や施設によっては、そもそも応募の数が少ないこともあります。広く応募してもらうために、折り込みチラシの広告を出す事業所もありますが、応募が少ないと費用ばかりがかさみ、思ったような効果が上げられないこともあります。

また、事業所でしっかりと研修や指導をして、将来的にリーダーとなれる人材に育て上げたいと思っても、基準ギリギリのスタッフで時間に追われながら業務をこなしている現場では、その時間が十分に取れないことも悩みとなっています。

事業を拡大したいが人材を確保できない

事業を拡大することで収益を上げていこうとしても、事業者指定を受けるための人員確保ができないこともあります。

実際に、都市部の有料老人ホームなどでは追加のユニットをオープンしようにも、入居希望者は集まっているのに、スタッフが足りずオープンできないというケースもあります。

また、せっかく人材を確保して研修や資格取得のためのサポートをしても、少しでも条件の良い同業他社へ人材が移ってしまうこともよくあります。採用しても離職する人が多いと、利益が出にくくなります。

現場の介護職員が抱える悩み

報酬の低さ

まずは、いちばんにあげられるのが、仕事に見合わない報酬の低さではないでしょうか。

身体介護や、認知症や疾患のある高齢者に対応して変化を見逃さないようにするのは、とてもハードな仕事です。事業によっては、シフト勤務で夜勤もあり、週末の出勤もあります。

このように厳しい労働時間や、技術も必要とする職種にもかかわらず、他産業と比べると給与が低く設定されていて社会的評価も低いというのは、介護職員のモチベーションを大きく下落させています。

不安定

大きな施設などでは正社員の数も多いのですが、小さな事業所ではパートや契約社員の割合が高く、雇用が不安定というのも悩みとしてあげられています。

とくに、男性職員にとっては、扶養しなければならない家族がいる場合には、大きな問題となります。そのため、男性職員の数は、女性と比較すると少なくなっています。

人間関係

人員不足の職場では、業務に追われついイライラしてしまう人もいます。職場での人間関係を離職の理由にあげる人もいます。

また、シフト勤務や最低限の人数で業務をこなしているために、休憩や有給休暇が取りにくいことも離職の理由となっています。

介護人材不足の対策

介護人材確保に向けた政府の対策「3つの柱」

厚生労働省は、2025年問題への対策として、約25万人の追加の介護人材を確保するために、3つの視点から対策を立てています。

①離職した介護人材の呼び戻し

再就職準備金貸付事業において、離職した介護人材に対する再就職準備金の貸付というものがあります。
これは、1年以上の経験のある人が、再度介護業界で継続して2年以上勤務した場合には、返還しなくてもよいものです。 この中で、人材確保がとくに困難な地域では、貸付額を20万円から40万円に増額するなど内容の改善を図っています。

また、 離職した介護人材の届出システムを構築することで、重点的に介護業界に戻ってくるよう働きかけます。このシステムでは、住所や氏名などの情報を都道府県福祉人材センターへ届け出ることで、ニーズに応じた情報を提供していきます。

一時的に介護の仕事から離れている人にとってはつながりが保て、復職しやすくなることが期待されています。離職した介護人材に対する知識や技術を、再確認するための研修なども開催されています。

②新規参入促進

大きく分けて2つあり、介護福祉士を目指す学生への支援と、未経験の中高齢者やボランティアを対象とした支援があります。学生への支援では、学費貸付やインターンシップなどを通じて行います。

ボランティアで介護業務に携わる人は、書道や手芸、囲碁の相手など、アクティビティの分野で協力してくれることが多いので、実際に介助などを行う人員を確保するとなると、未経験の中高齢者が対象となっていきます。

そのため、福祉人材センター、シルバー人材センター、ボランティアセンターなどと連携して、将来的には介護分野で働いてみたいという中高年齢者を対象として、入門的な基礎研修や職場体験を提供していきます。

どちらも、入り口を大きくするとともに、実際の現場を見ておいてもらうことで、採用したはいいが、すぐに離職してしまうのを防ごうとしています。

③離職防止・定着促進・生産性向上

給与が高ければ続けられるという声も大きいので、それに対応するために処遇改善加算の充実が図られてきました。

これまでも拡充されてきましたが、平成27年度の介護報酬改定では、さらに1.2万円相当の上乗せ加算が決定されました。平成29年度にも臨時的に1万円相当の拡充がありました。一部の事業者では他の手当てなどを減らし、結局は加算分が介護職員に還元されていないという問題もありますが、事業者によっては趣旨をしっかりと理解し、給与を上げていくことで介護職員の離職率を抑えているところもあります。

出産や育児を理由に離職する介護スタッフも多いです。そのため、介護施設や事業所内に、託児所などを設置することも奨励されています。中小の事業所では予算の関係で難しいのが実情ですが、大きな病院に併設されている場合や、特養などの施設では見られるようになってきました。

また、離職の理由に、作成しなければならない書類が多く残業の原因や負担になっていることがあげられていることから、パソコンや専用のソフトなどを使って文書量を減らすことも奨励されています。

さらには、介護ロボットの活用についても議論されています。とくに、移乗や入浴介助、見守りなどの業務での開発が行われていますが、普及にはまだ時間がかかりそうです。

その他の対策として、「福祉・介護人材確保緊急支援事業」や、「外国人技能実習制度による介護職増員」などの対策がとられています。

しかし、外国人雇用が抱える問題として、コミュニケーション能力の点がよくあげられます。

日本語を母国語とする職員であっても、脳梗塞などで引き起こされる言語マヒや口腔内の状態、認知症などによって、聞き取るのに苦労したりと利用者とのコミュニケーションがうまくいかないことがあります。そのため、外国人職員の配置や担当においては、その点が十分考慮される必要があります。

まとめ

介護業界における人材不足という問題に対して適切に対処するためには、従業員への福利厚生の見直しおよび拡大といった事業者の皆さまが独自に改善できる点と、国の大きな方針とサポートによって可能な点があります。

保険報酬を抑制しようという流れのなかで、事業者のできることには限りがあります。少子高齢化のなか、人材不足は解消とはならず、深刻化へ進むのでしょう。皆さまは、どう思われますか?

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