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介護事業成長の秘訣は、子育て世代・シニア世代の活躍と「独立採算制」による事業運営 -サーバント-


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人手不足が続く介護業界にあって、2年に1事業所のペースで事業拡大を続けているサーバント。事業成長の秘訣は、子育て世代とシニア世代の活躍を打ち出した職員採用・定着の取組と、各事業が独立採算制を取っていることにあるそうです。

多様な働き方を実践する企業に与えられる「埼玉県 多様な働き方実践企業」の認定企業にも輝く職員採用・定着の取組や、独立採算制がもたらした効果などを、人事担当の田中野一さんに伺いました。

子育て世代が働きやすい制度を創業時から導入

――事業所の概要について教えてください。
デイサービスを7事業所、居宅介護支援事業所を2事業所、その他に福祉用具、共生型児童発達支援・放課後等デイサービス、保険外の自費リハビリサービスを提供しています。
スタッフの総数は120名で正社員は43名。男女比は1:9で女性が多いです。

――女性の就業者数が多いのですね。
当社は2000年の創業当時から、人材不足対策に力を入れていました。その一つが、子育て世代の女性の積極採用です。就業を希望する子育て世代の女性に、「当社は子育てをしながら働いている人が多く、皆で助け合える環境を作っています」と当社の姿勢を口コミなどで広めています。

子育て中でも働きやすい環境づくりに力を入れることで、「サーバントは子育て中でも働きやすい」と地域でも評判になり、子育て世代の女性の応募が増えました。現在はスタッフの90%近くが子育てをしています。

――子育て世代の働きやすさとして、どのような環境づくりに注力されてきたのでしょうか。
フルタイムでの勤務を希望する人は正社員、そうでない人はパート職員など、入社時はもちろん、産休・育休後の復職時にもスタッフと相談し、できる限り希望に沿う形で働き方を選べるようにしています。

また、子供が生まれたことで「キャリアアップしてもっと稼げるようになりたい」と希望するケースもあります。そういう人には、資格を取って相談員を目指してもらうなど、多様な働き方と合わせて資格取得支援などキャリアプランの支援も行っています。

――柔軟に働き方が選べるのですね。時短勤務なども行っていますか?
育児のための短時間勤務制度も設けており、正社員では1日あたり2時間までの時短勤務を可能としています。出社時間についても、保育園の登園時間などを考慮して、個人に合わせて柔軟に設定しています。その他、会社全体として土日・祝日をすべて休日としています。

――土日だけでなく、祝日も休日にしている介護事業所は珍しいかと思います。
そうかもしれませんね。祝日は保育園や学校などもお休みとなるため、「子育て中の女性に活躍してもらうにはどうしたらよいか」を最優先に考え、創業以来ずっとこの形を続けています。

――スタッフの大半が子育て世代ですが、産休・育休に入るスタッフがいる事業所のフォローはどのように行っているのでしょうか?
産休・育休に入るスタッフが出た際、その事業所の業務に支障をきたさないよう、事業所間で柔軟に人材が行き来できるような教育・研修体制を取っています。そうやって、産休・育休に入ることを「当たり前のこと」としてスタッフに捉えてもらえるよう、会社全体で工夫しています。現在も、3名のスタッフが育児休業を取得しています。

――産休・育休から復帰する際は、どのような形を取っていますか?
デイサービスの現場のスタッフは、基本的に現場スタッフとして戻ってきます。元々働いていた事業所の人員が充足している場合は、本人と相談の上別事業所での勤務を提案することもあります。

管理職クラスのスタッフが復職する際は、本人の希望やキャリアプランなど相談の上、新規事業の立ち上げを任せるといったケースもあります。2019年にオープンした共生型児童発達支援・放課後等デイサービスは、元々デイサービスの統括責任者を行っていたスタッフが復職する際に立ち上げを希望して実現しました。こういった複数の取組が評価され、「埼玉県 多様な働き方実践企業」においてプラチナ+認定を獲得しています。

「埼玉県 多様な働き方実践企業」でプラチナ+認定を獲得

――「埼玉県 多様な働き方実践企業」とはどのような取組なのでしょう?
男女が共にいきいきと働き続けられる環境づくりを行っている企業が認定される制度で、プラチナに認定されるには、以下の6つの取組をすべて実践していることが求められます。

1.女性が多様な働き方を選べる企業
2.法定義務を上回る短時間勤務制度等が職場に定着している企業
3.出産した女性が現に働き続けている企業
4.女性管理職が活躍している企業
5.男性社員の子育て支援等を積極的に行っている企業
6.取組姿勢を明確にしている企業

さらに、プラチナ+認定※を受けるには「男性職員が連続5日以上(勤務を要しない日を除く)の育児休業の取得などを行い、かつ原職に復帰していること」の要件を満たすことが求められます。

※多様な働き方実践企業認定3,006社の内、プラチナ+に認定されている企業は102社(2020年2月時点 「埼玉版ウーマノミクスサイト」より)

――男性の子育て支援も、こちらでは積極的に取り組まれているのですね。
男性の育休取得についても、当社では私が男性の育休取得第1号として、2か月の育児休業を取得しました。このことによりプラチナ+認定を獲得でき、「多様な働き方を受け入れる会社」という評判は一層高くなったように感じます。

サーバントでは「埼玉県 多様な働き方実践企業」プラチナ+認定の他、働き方に関する多くの認定・表彰を受けている

――多様な働き方の他、力を入れている取組はありますか?
「埼玉県シニア活躍推進宣言」でしょうか。当社は創業当時から子育て世代だけでなく、定年を迎えたシニア世代の採用も積極的に行ってきました。シニア世代の特性・能力を生かすため、福祉用具の事業所を立ち上げたという経緯もあります。

今も各デイサービスにはシニアスタッフが在籍しており、送迎業務を中心に活躍しています。子育て世代と同じくらい、シニア世代の存在は当社にとって重要です。

――こういった各種取組の成果を実感するのはどのような時でしょう。
「サーバントは働きやすい」と言ってくれるスタッフが多いこともそうですし、入社時の面接でプラチナ+認定を受けていることを志望理由に挙げてくださる方がいたり、取組が地域にも認知されているのだなと実感しています。

独立採算制で、サービスの質を向上させる

――こちらの居宅介護支援事業所は、地域最大級と伺いました。
今は2事業所で16名のケアマネジャーが在籍しており、人員規模は地域でも最大級かと思います。

――規模を拡大されたのは、どのような理由からでしょうか。
当社は各事業が独立採算制を取っているため、黒字化を達成するために規模を拡大した、というのがその理由になるかと思います。

――各事業の独立採算制を導入したのには、どういう背景があったのでしょう。
当時、当社のケアマネジャーが自社のデイサービスにご利用者を安易に紹介する流れが常態化しており、「それではサービスの質が向上しなくなるのではないか」と代表が危機感を感じていました。それぞれの事業所がサービスの質を高め、ご利用者に選ばれる事業所となるため、独立採算制という形を取るようになりました。

居宅介護支援事業所が単独で黒字化を目指すには、スケールメリットによって収益性を向上させることが求められます。「ケアマネジャーが20名所属する事業所を目指す」と目標を掲げ、2011年から事業拡大を進めました。

――事業拡大は順調に進みましたか?
当時、他の居宅介護支援事業所は事業拡大の方針を取っていなかったため、当社は事業拡大が進むに従ってご利用者も増える、という形で順調に拡大することができました。

――事業の拡大によって得られたメリットは、収益性の向上以外にもありましたか?
収益性の向上以外では、「支援困難事例にも対応できるようになった」という点が大きいです。ケアマネジャーの人数が増えれば、事例について事業所内で相談できる機会も増えますし、支援困難事例への対応実績が増えることで外部からの信頼も高まります。

支援困難事例への対応が増えることで特定事業所加算(Ⅱ)も取得できるようになり、事業拡大の方針と事業所の成長が相乗効果で上手く結びついたと思っています。「サービスの質を高め、ご利用者に選ばれる事業所となる」という、独立採算制を取った本来の目的も達成できるようになりました。

また、事業の拡大で多くの事例を担当できるようになり、個々のケアマネジャーもスキルアップし、ご利用者からより多くの感謝の言葉をいただける、という好循環が生まれており、スタッフもそこに働きがいを強く感じています。

――居宅介護支援事業所は事業拡大のメリットがよくわかりました。一方、7事業所を展開するデイサービスはそれぞれサービス内容が異なりますが、多様なサービスを提供するのはどのような戦略でしょうか?
良いデイサービスの形が1つできれば、そのビジネスモデルを横展開して拡大するという戦略もありますが、デイサービスのバリエーションを増やすことは、それだけご利用者の選択肢が増えることにつながります。当社のデイサービスが「地域の中でご利用者に選ばれる」確率を高める戦略を取りました。

とはいえ、多角化の源泉はご利用者のニーズあってこそです。既存のデイサービスのご利用者にアンケートを取るなど、どのようなサービスが求められているか綿密にリサーチし、事業所を増やしています。

ご利用者には、各デイサービスの特徴がわかりやすい資料を使って説明する(提供:有限会社サーバント)

――デイサービスの事業拡大は、ご利用者のニーズは満たせる一方、職員にとっては働きやすい環境となっていますか?
産休・育休から復帰するスタッフが自分の希望に応じて、1日型、半日型のデイを選べたりします。働き方の自由度を高める上でも、サービスの多角化が一役買ってくれていますね。

また、事業所が増えればその分責任者、管理者のポジションに就くスタッフも必要になってきます。当社でキャリアアップをしていきたいと考えるスタッフにとって、事業拡大で管理職のポジションが増えることはモチベーションにも繋がると思います。

地域ニーズに応え、共生型サービスにも事業拡大

――共生型の障害福祉サービスも始められていますが、その背景を伺えますか?
「医療的ケア児・障害児を対象にした障害福祉サービスが地域に足りない」という課題感を当社のスタッフが抱いており、その課題感に共感した代表が、新規サービスの立ち上げにGOサインを出しました。

――「地域のニーズに応えるため」の事業拡大なのですね。
ただ、独立採算制の考えに基づくと、障害福祉サービス単体では利益を出せるビジネスモデルが中々生み出しにくい課題がありました。介護保険のデイサービスと児童発達支援・放課後等デイサービスを合わせた共生型にすることで、単独で事業として成り立つようにしています。

共生型の児童発達支援・放課後等デイサービスを提供する「R&B」(提供:有限会社サーバント)

――スタッフの獲得はどのように進めたのでしょうか?
デイサービスのスタッフで障害福祉を経験している者に打診をする他、大部分はこのサービスのために新規で採用を行いました。

――すべてのサービスは、ご利用者の声に応えるところから始まっているのですね。
社名の由来となった「servant」には“従者”という意味もあります。当社はご利用者の生活を支える杖のような存在でありたいと常に思っています。今後も地域のご利用者の声に耳を傾け、その思いに真摯に応えていきたいですね。

取材メモ
取材を通して驚いたのは、子育て世代が働きやすい職場にするため特別な取組を行ったことで採用数が増えたのではなく、創業当時からそのような姿勢だったということでした。田中さんは「代表に先見の明があった」と話していましたが、正に今の時代に即した考え方だと思います。

創業当時からの姿勢が、社員一人一人が納得感を持って働ける「社風」になっているからこそ、産休・育休を取得し、復帰した人が、今度は他の人を支える側に回ることで「多様な働き方」を実践できるのだと感じました。

今回のとなりの介護事業所は?


田中野一(たなかやいち)
主任介護支援専門員、介護福祉士
埼玉県介護支援専門員協会の理事や地域のケアマネジャー団体の代表を歴任し、有限会社スマイル・ライフ・サポート取締役も務める。現在はサーバントの人事・労務管理を担当。


ケアマネジャー事務所サーバント
埼玉県富士見市を中心に、居宅介護支援、デイサービスなど多様な介護事業を展開。デイサービスの事業所名は「The DS」「R&B」「aruku」「三四五(みよい)」など、機能や役割を表すネーミングで地域の中でも差別化を図る。ご利用者や行政、地域のケアマネジャーにも覚えてもらいやすいとのこと。

サービス種別:デイサービス、福祉用具、住宅改修、居宅介護支援、共生型児童発達支援・放課後等デイサービス
住所:埼玉県富士見市勝瀬743-1
運営:有限会社サーバント

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