介護・障害福祉事業所の経営者・管理者を応援する情報サイト

9年連続で有給消化率100% &充実の福利厚生を実現する仕組みとは?‐アオアクア‐


投稿日:

更新日:

, ,

東京都江東区・江戸川区・墨田区・中央区で、訪問看護、居宅介護支援のサービスを提供する「アオアクア」。難病、小児、障がい、終末期など、得意とする分野は多岐に渡り、地域の在宅医療・介護を支えています。

こちらでは、創業以来9年連続で職員の有給消化率が100%、年間130日以上の休みを確保しています。男性の育児休業取得率も高く申請があれば100%取得できる体制で、その他、福利厚生も充実しています。職員にとって働きやすい環境を、どのような方法で実現しているのか、理学療法士であり居宅介護支援のマネジメントも担当する箱崎さんにお話を伺いました。

有給消化率100%のポイントは「ルール」と「見える化」

――事業の概要を教えていただけますか。
訪問看護リハビリテーション、居宅介護支援のサービスを提供しています。難病、小児、障がい、認知症、高次脳機能障害、終末期(ターミナル)、床ずれ処置、社会復帰支援、予防医療など、地域の医療機関と連携して、在宅ケアに幅広く対応しています。看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ケアマネジャーなど、約90名の職員が働いています。

――2011年の創業以来、有給消化率100%を達成されているそうですね。なぜ職員の有給消化に注力されたのですか?
医療・介護業界では、「休めない」「残業が多い」ということが常態化してしまう傾向にあります。代表の井上が看護師として大学病院に勤務していた際、10年間のうち一度も有給休暇をとらず、サービス残業も当たり前に発生していたといいます。そこで創業時から、ワーク・ライフ・バランスに注力しようという思いがありました。

事業を拡大していく中で、継続が厳しい場面もありましたが、職員の権利を守り、心身ともに健やかに働いてもらうことで、ご利用者により良いサービスを提供できるという、創業当初からの考えを曲げることなく歩んできました。

東京都江東区の大島ステーション

東京都江東区の大島ステーション

――有給消化率100%を継続するためのポイントなどあるのでしょうか。
「休みカレンダー」で、職員全員の休みの取得状況を“見える化”しました。職員同士で相互に確認できる形です。また、休みを取得する際のルールを明確にし、職員全員に周知を徹底しています。

――「休みカレンダー」とはどのようなものですか?
職員全員の休みのスケジュールや残日数が一覧できる表です。Excelファイルで作成しています。

「祝日に出勤した場合は、その月から3か月以内に休みを設定する」など、一定の区切りを設けて取得を促しています。年間で付与される有給休暇は、計画的に取得できていない職員がいれば管理者が声をかけるなど、フォローしています。他にも、クラウド上の連絡帳を使って情報を共有したり、取得状況についてのリマインドのメールが自動的に届くなど、サポート体制を整えています。

――職員は自由に休みの希望を書き込めるのですか?
日ごとに休みを取得できる人数を設定しています。例えば平日の場合は、1日2人までが限度です。3人目は希望を記入してもいいのですが、事業所の運営に影響がないよう調整が必要なため、数日前になるまで、休みが取得できるかどうかは不確定、というルールです。前々日までに調整できれば、3人目の記入者も休むことができます。管理者には、うまくシフトを調整するスキルが一定求められます。

――シフトの調整のために、特定の人に業務が集中してしまう事はないのでしょうか。
全員が100%有給休暇を消化すると決めてしまえば、休みをとる日数は確定するので、特定の人に業務が集中して不公平感が生まれる、というようなことは発生しません。有給休暇を使う人は使う、使わない人は使わない、としてしまうと、使わない人に不公平感が生まれるのだと思います。

――運用する上で、職員全員にルールを徹底してもらうことが必要になってきますね。
全員の取得状況を“見える化”したことから、職員同士で休みを促し合うようになりました。お互い様の精神が根付いています。業界に限らず、他人の有給休暇の取得状況には興味がないというのが一般的かと思うのですが、消化率100%を徹底し続けたことにより、職員の有給休暇に対する意識が高まっていると感じています。

強みを効果的に打ち出し、人材採用につなげる

――休みをとりやすい仕組みづくりの他に、注力されていることはありますか?
在宅医療・介護に関わる上で、スケジュールには穴をあけない、ということを徹底してきました。まずはご利用者を守ることが最優先ですから。ご利用者も職員の権利も守るためには、急な当日休みにも対応できる体制づくりが必要です。人材不足にならないための採用と、職員のスキルを高めて生産性を上げていくことが重要になります。特に採用には力を入れています。

――採用のポイントなどあれば教えていただけますか。
会社の「方針」や「強み」をしっかり打ち出して、伝えていくことだと考えています。例えば、“有給消化率100%”などわかりやすい言葉を、求人票や会社のホームページで提示することで、職員の権利を守るという「方針」を伝えています。「強み」としては、医療ニーズの高いご利用者に対応しているという実績をしっかりアピールしています。それにより、居宅介護支援センターには、医療連携に意欲的なケアマネジャーが集まってくれています。

――求職者にわかりやすく伝えていくことが難しそうですね。
その通りで、常に試行錯誤しています。「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業※」の認定など、第3者の評価を受けて、働きやすさを“見える化”していくことも効果的だと感じています。採用面接の際に聞いてみると、各種認定の実績を見て好感を持ったという人も多くいます。

※東京ライフ・ワーク・バランス認定企業…従業員が生活と仕事を両立しながら、いきいきと働き続けられる職場の実現に向けて、優れた取組を実施している中小企業を認定するもの。書類審査、取り組みの調査を経て認定か否か決まる

他にも「ワークライフバランス大賞」の優秀賞受賞や、「健康優良企業」としての認定など、多数の認定を受けている。経済産業省が選ぶ健康経営に取り組む優良な法人として「健康経営優良法人2020」にも認定された

――ケアマネジャーとして働くお二人は、休みなどの福利厚生についてどう思われますか?
以前勤めていた事業所では、有給休暇の制度はありましたが、休みをとりにくい雰囲気を感じていました。アオアクアでは計画的に休みがとれていないと、「バランス良くとっておかないと後で調整がきつくなるよ」など、職員同士で声をかけ合うほどです。休みをとることは当たり前という雰囲気があります。

ケアマネジャーとして働く牧野さん(左)と木村さん(右)

――有給消化率100%を徹底されているからこその声かけですね。
入社前は「本当に100%なの?」と懐疑的だったのですが、いまでは有給休暇をとらないことの方が違和感を覚えます。会社の方針として職員全体に浸透しているので、休み中に発生しそうな懸念事項があれば、気兼ねなく引き継いでおくことができます。休みの間に連絡が来てしまうかも、など心配することなく、業務と休みの区切りをはっきりつけることができます。

――休み以外で、採用前に魅力的に感じたものはありますか?
看護師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士と連携しながら、医療的ケアに関われることも大きな魅力です。高齢者だけでなく、64歳未満の特定疾病のご利用者にも関わるため、ケアの幅が広く、日々学びが多くあります。判断の難しい局面もありますが、ご利用者もご家族も納得感のあるケアプランを提供できたときの達成感はひとしおです。地域の在宅ケアに貢献していると実感できます。

医療と介護は切り離せないものだと思います。アオアクアは医療従事者とのケースカンファレンスを社内で設定できるので、知識共有の場が充実しています。医療の知識が深まることで、ケアマネジャーとしてスキルアップできていると感じます。

――日々の専門職同士の連携はどのように?
クラウドサービスを利用していて、訪問先でカルテを記入できるので、ケースカンファレンスだけでなく、リアルタイムで情報を共有しています。ご利用者の状況だけでなく、どの職員が何回訪問したかなど、お互いの状況を把握できるので、スムーズな協力体制が生まれています。

――訪問先からスマートフォンで記入されるのですか?
はい。訪問職員全員にスマートフォンが貸与されています。他に、自転車、バイク、制服の貸与、飲み物の支給もあり、助かっています。使いやすいトイレの位置や、コンビニの場所などの便利情報が載っているオリジナルの地図もあり、訪問時の移動に役立ちます。

――業務中の飲み物も用意されているのですね。
ペットボトルの飲み物が用意されていて、自由に持っていくことができます。特に夏場は助かっていますね。他に、お菓子のコーナーもあって、仕事の合間のおやつタイムにほっと一息つくことができます。冬にはカイロも支給されますよ。

――福利厚生が充実していますね。中でも特に人気のある福利厚生は何でしょうか。
「秋のお食事会」という、年に1度、1人あたり8000円を支給されるイベントが人気です。ホテルブッフェに行ったり、アウトドアレジャーに出かけるチームもあります。「お食事会」という名前ですが、食事以外に使ってもOKです。

他に、男性の育児休業も推奨していて、申請があれば取得率は100%です。日本全体でみると、男性の育児休業の日数は、9割が2週間以下と言われていますが、弊社では2~3か月の取得が多くなっています。

――専門職の採用についても教えてください。言語聴覚士が複数人所属しているのは珍しいですね。
現在、言語聴覚士は7人勤務しています。言語聴覚士のリハビリは「きこえ」「のみこみ」「ことば」のトレーニングですが、在宅サービスでは「のみこみ」と「ことば」のトレーニングが主になります。

例えば高次脳機能障害では、どのようにコミュニケーションをとればその子に言葉が伝わるのかなど、ご家族の悩みを緩和するような働きかけにも取り組んでいます。他にも、神経難病(パーキンソン病やALSなど)、脳梗塞で麻痺が出てしまったご利用者のリハビリを行っています。

言語聴覚士の平尾さん(左)

――平尾さんは、なぜ在宅サービスを選ばれたのですか?
もともと、退院後のリハビリに興味がありました。以前はクリニックで働いていましたが、クリニックには通院できるご利用者しかいらっしゃいません。訪問であれば、クリニックには通院できないご利用者にもサービスを提供することができるので、魅力を感じています。日々、地域の在宅ケアに貢献できていると感じています。

同僚の言語聴覚士に事例の相談もできますし、勤務を調整してほぼ希望通りの休みをとることもできます。言語聴覚士が1人しかいない環境で働いてきたので、7人で協力し合える体制にはとても助かっています。また、アオアクアには摂食・嚥下障害看護の認定看護師も所属しているので、相談しながら、より専門性の高いケアを実現できています。

毎年のアンケートで職員の声を収集&実現

――職員やご利用者に対してアンケート調査をしているそうですね。
アンケートは毎年行っています。社内アンケートは職員全員に用紙を10枚渡して、会社に訴えたいことを10個書いてもらっています。昔は30個だったのですが、あまり多すぎると書くことがないという声もあり、10個に落ち着きました。

――アンケート結果はどのように活かされるのでしょうか。
管理者とスタッフで集まり、意見が集中したものや、注目すべき意見をピックアップするなど、カテゴリー分けをしつつ集計して、職員に公開しています。

もちろん全ての要望に応えられるものではないですが、その場合はどうして応えられないのか、現状どのように取り組んでいるのかなど、情報共有をしっかりと行います。アンケートの意見をもとに社則を作り変えたこともあります。また、アンケートの内容を、朝礼で読み上げる標語に採用するなどしています。

――例えばどんな意見をもとに、社則を変更されたのですか?
最近の例でいうと、忌引き休暇を延長しました。もともと5日間の休暇としていたのですが、近親者が亡くなった場合、5日間では足りないという意見がアンケートであげられました。確かに、気持ちの整理を含めて5日間は短いと意見が一致して、1週間に延長しました。

――ご利用者へのアンケートについてはいかがでしょうか。
いただいたコメントを反省点として整理して、行動指針にしています。毎年、アンケートを元に行動指針をアップデートしています。例えば、「交通ルールを守って、焦らず落ち着いて運転する」という行動指針は、ご利用者から「あわてないでほしい」というコメントをいただいて、行動指針に追加したものです。ほかに、身だしなみや滞在時間の厳守などがあります。行動指針は毎朝の朝礼で、その日の担当者が読み上げています。

在宅ケアではお宅ごとに様々なルールあり、職員にとっては“アウェー”です。専門知識だけでなく、高度なコミュニケーション能力、ご利用者のちょっとした変化など、違和感を察知する洞察力といった様々なスキルが求められます。“アウェー”の環境下で、スキルを駆使して信頼を得て、ご利用者やご家族を良い方向に導くケアができたときの達成感は、とても大きなものです。日々やりがいを感じながら働いてもらえるように、職員をサポートしていきたいと考えています。

取材メモ
有給消化率100%の裏側には、ご利用者のニーズに応え続ける経営努力、人材不足に立ち向かう採用強化策、職員の成長を促す連携や、モチベーションアップの仕組みづくりなど、たゆまぬ努力が感じられました。お話を聞いた職員の方々は明るく意欲的で、会社の努力の成果が、その表情から感じられました。

今回のとなりの介護事業所は?

箱崎 圭二(はこざき けいじ)
株式会社アオアクア 取締役。理学療法士、福祉住環境コーディネーターの資格を持つ。在宅ケアの素晴らしさと難しさの両面を熟知し、ご利用者も職員も安心できるケアのために、リスク軽減の指導など様々な取り組みを主導。

訪問看護リハビリステーション アオアクア
アオアクア 居宅介護支援センター
東京都江東区・江戸川区・墨田区・中央区で、訪問看護リハビリテーション、居宅介護支援のサービスを提供し、地域の在宅医療・介護を支える。創業以来、職員の有給消化率100%を継続するなど福利厚生が充実しており、ワーク・ライフ・バランスの良い企業として、各種認定を受けている。

サービス種別:訪問看護リハビリテーション、居宅介護支援事業
住所:東京都江東区大島8-5-1
運営:株式会社アオアクア

●関連記事:

選べるワークスタイルで離職防止。介護人材を輝かせる仕組みづくりとは? ‐グッドライフケア‐

「介護甲子園」へ挑戦する理由、そして最優秀賞に輝く事業所を生み出すケア方針とは? -デイサービスありがたい-

\介護保険制度・報酬改定の最新情報を配信中!/

Facebook

Twitter

執筆者:

関連記事

介護事業成長の秘訣は、子育て世代・シニア世代の活躍と「独立採算制」による事業運営 -サーバント-

人手不足が続く介護業界にあって、2年に1事業所のペースで事業拡大を続けているサーバント。事業成長の秘訣は、子育て世代とシニア世代の活躍を打ち出した職員採用・定着の取組と、各事業が独立採算制を取っている …

保護犬・保護猫と暮らす障がい者グループホーム事業で、社会課題の解決に貢献 -ペット共生型障がい者グループホーム「わおん」「にゃおん」-

障がい者と保護犬・保護猫が共に暮らすというペット共生型障がい者グループホーム「わおん」「にゃおん」。事業を展開するアニスピホールディングスによると、参画法人による運営も含め、全国で170か所以上(※1 …

「介護甲子園」へ挑戦する理由、そして最優秀賞に輝く事業所を生み出すケア方針とは? -デイサービスありがたい-

介護の現場から日本を元気にしたいという想いを持つ人たちが開催する、介護業界で働く人が輝ける場である介護甲子園。埼玉県さいたま市と東京都豊島区で介護事業を運営する株式会社ありがたいは、2019年に開催さ …

選べるワークスタイルで離職防止。介護人材を輝かせる仕組みづくりとは? ‐グッドライフケア‐

東京と大阪の都心部で在宅生活を支える介護サービスを一体的に提供している「グッドライフケア」。徹底的に考え抜かれた良いケアをご利用者に提供するために、まずは働く人たちのことを徹底的に考える企業でありたい …

福祉用具と住宅事業 グループ間連携でご利用者ニーズに応える -e-cube care-

埼玉県川越市で介護事業を営むe-cube care(イーキューブケア)。母体は住宅資材の販売・施行会社で、2010年に介護事業へ参入し、現在は通所介護を中心に複数のサービスを展開しています。 各介護事 …