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「医療的ケア」を提供する訪問介護事業所。業界注目のサービスに懸ける思いとは? -くれあ訪問介護-


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東京都豊島区の訪問介護事業所「くれあ訪問介護」は、2019年創業にも関わらず都内全域から利用を希望する声が集まる注目の事業所です。一番の特徴は、スタッフ全員が訪問先で喀痰吸引など医療的ケアを行えること。事業設立の背景や、ニーズの高さにどう応えているか、共同で代表を務める田浦ミキさんと出口大詞さんに伺いました。

ニーズの高い医療的ケアを訪問介護で提供

――事業所の概要について教えてくだい。
くれあ訪問介護は2019年5月に創業した、医療的ケアを中心で提供する訪問介護事業所です。代表である私たちの他、社員2名とパート3名の計7名で運営しています。パートには80代で活躍している介護経験25年以上の大ベテランもいます。

――事業所の設立に至った背景を伺えますか。
前職では、訪問介護で医療的ケアを提供する会社の管理部門で働いていましたが、会社が在宅系の介護事業から撤退することになったんです。医療的ケアが行える訪問介護はご利用者からのニーズが高く、一人でも多くの方に医療的ケアを届けたいとの思いからこの事業所を設立しました。

――訪問看護でも医療的ケアは可能だと思うのですが、訪問介護で医療的ケアのニーズが高いのはどうしてでしょうか。
医療的ケアを常に必要とするご利用者にとって、訪問看護での医療的ケアより、介護職が医療的ケアを行う方が金銭的負担が少ないことから、訪問介護での医療的ケアのニーズが高いです。介護保険の訪問介護や、障害福祉の重度訪問介護による医療的ケアを利用することで、ご利用者は必要なケアを受けながら自己負担を抑えることができます。

――具体的にはどのような方が、訪問介護での医療的ケアを利用されていますか?
実際にサービスを提供しているご利用者ですと、40歳以上のALSの方に対し、介護保険サービスの訪問介護と障害福祉サービスの重度訪問介護を提供している、というケースがあります。

たんの吸引で使用する吸引器

――そういったニーズの高さに対し、医療的ケアを積極的に行っている訪問介護事業所は少ないように思います。
介護スタッフが医療的ケアを提供するためのハードルが高いところが、その理由かと思います。具体的には

・スタッフが喀痰吸引等の研修を修了
・認定特定行為業務従事者の認定、更新
・登録喀痰吸引等事業者(登録特定行為事業者)としての登録

を行う必要があり、行政とのやり取りにも相応の手間がかかります。

事業所内に該当サービスを提供できる者が1人いれば、登録喀痰吸引等事業者の登録を行うことは可能です。しかしサービスを提供できる者が1人では、ご利用者に必要なケアを提供する体制が整えられません。当社ではスタッフ全員で医療的ケアを提供できる体制を整えることで、「全スタッフが医療的ケアを行える訪問介護事業所」とご紹介できています。

――地域のケアマネジャーの反応はどうでしょう?
「これまで医療的ケアをお願いできる訪問介護事業所はなかったので、紹介できるようになってご利用者が助かっている」という声をいただいています。事業所は豊島区にありますが、ご利用者のニーズにお応えするため、サービスは都内全域で提供しています。

事業所は介護保険と障害福祉のどちらにも対応されているのですね。
はい。たんの吸引等の医療的ケアは介護保険サービスの訪問介護と障害福祉サービスの重度訪問介護どちらでも行っています。介護保険サービス・障害福祉サービス、いずれも多くの依頼をいただいています。

重度訪問介護ですと夜間のニーズもあるかと思います。
できる限り夜間のニーズにも対応しています。夜間帯は時給が高いことに加え、1回の勤務の労働時間が7時間~8時間と長く、現場間での移動負担がないこと、日勤に比べて介助の体力的な負担が少ないことから、夜勤を希望するスタッフがいるので、対応できている状況です。夜間帯のケアは、就寝中のご利用者の体位変換や、たんが絡んだ際の吸引が主になります。

医療的ケアの提供には喀痰吸引の研修が必須かと思いますが、どのように進められているのでしょうか。
パートの方はまず、特定のご利用者に医療的ケアを提供できる「喀痰吸引研修3号」を修了してもらいます。そこから不特定多数のご利用者に医療的ケアを提供できる喀痰吸引研修1号・2号へのステップアップにつなげます。そのための費用等は会社で負担します。

代表の出口さんも、喀痰吸引研修1号を修了済み

チャットアプリ、ケア記録の電子化で業務効率化

――夜勤のスタッフもいるかと思いますが、業務効率化にはどのように取り組まれていますか。
訪問介護は現場からの直行直帰が原則です。ケア記録をタブレット等でデータ入力できるようにし、事業所に戻ってこなくとも現場で業務が完結するようにしています。

また、スタッフ間の連絡やご利用者情報の共有にはチャットアプリを導入しています。ご利用者一人ずつのチャットページを作成し、その日の様子や引継ぎ事項などを担当者が書き込んで、スタッフ全員でご利用者の状態を把握できるようにしています。そのような効率化を行った結果、残業もありません。

ご利用者の情報はどこからでも確認できるようになっている

――やり取りの大半をICT化されているようですが、スタッフの方はすぐに慣れたのでしょうか?
皆さんスムーズに使えていますね。80代のスタッフもチャットアプリを使いこなしているので、抵抗感さえなければ導入に問題はないと思います。

スタッフだけではなく、経営者である我々もクラウドサービスを利用してデータ管理を行うなど、事務所にいなくても仕事が進むよう、業務の効率化を図っています。

――そうすると、スタッフ同士が事務所で顔を合わせることは少なそうですね。
そうですね。ただ効率性を重視しすぎてスタッフ同士の関係性が希薄にならないよう、月に一度は皆が事務所で顔を合わせる機会を作っています。お茶とお菓子を用意して、気楽な雰囲気で日頃の業務のことなどを話し合っています。

――加算や補助金の取得状況はいかがでしょうか。
ホームページ作成についてはIT導入補助金を活用しました。今度リニューアルしますのでぜひご覧になってください。介護保険では介護職員処遇改善加算(Ⅰ)、障害福祉では喀痰吸引等支援体制加算を取っており、その分スタッフに還元することが出来ています。

――業務効率化やスタッフへの加算の還元にも、積極的に取り組まれているのですね。
介護職はどうしても大変と思われがちです。ですが業務の効率化で残業をなくしたり、必要な加算は取って給与面に反映させるなど、事業運営の質を高めることが、スタッフの働きやすさにつながると思っています。

資格学校への採用活動で、独自性をアピール

――人材獲得はどのように取り組まれていますか。
基本的にはハローワークや求人サイトに求人情報を掲載しますが、それ以外にも福祉の資格学校などへ伺い、事業所の特徴や魅力を直接伝える機会を設けるようにしています。

資格学校での説明に使用する資料(提供:株式会社クレアフューチャー)

――資格学校にも行かれるんですね。
他の事業所との違いを知ってもらうため、若い世代にも積極的に情報発信をしています。そこから「くれあ訪問介護で医療的ケアを提供したい」というスタッフに来てもらえることを目標としています。

――採用された方に対する、人材定着の取組はいかがでしょうか。
現場でスキルアップをしたいのか、管理者等のポジションを目指したいのか、半年に一回の面談で各スタッフのキャリアプランを確認しています。キャリアプランに基づいた評価項目の達成度に応じて、給与アップも行っています。

――これから、どのような事業所を目指していきたいですか。
当社は医療的ケアを行うプロフェッショナルの集まりとして、他社との差別化を図り、スタッフにも自信と仕事への誇りを持って働いてもらっています。そういった考えに賛同くださる方に入社いただいて事業規模を拡大し、より多くの方に医療的ケアをお届けできる事業所にしていきたいですね。

取材メモ
訪問介護での医療的ケアには、ニーズの高さに対してサービス提供のハードルが高いことを知ると同時に、「ご利用者に必要なケアを届けたい」という思いで医療的ケアの提供に懸けるお二人の熱意を、取材を通して感じました。

今回のとなりの介護事業所は?

写真右:田浦ミキ(たうらみき) 代表取締役 管理者 介護経営コンサルタント
写真左:出口大詞(でぐち ひろし) 代表取締役 サービス提供責任者

田浦さんは主に事業所とスタッフの管理運営、出口さんは営業担当と現場責任者を兼務。互いの強みを生かし、共同代表の形で事業運営に取り組んでいる。

くれあ訪問介護
2019年5月に創業した訪問介護事業所。たんの吸引、胃ろうを中心とした医療的ケアを行える訪問介護事業所として、地域のケアマネジャーからも注目されている。

サービス種別:訪問介護・重度訪問介護・居宅介護・移動支援
住所:東京都豊島区東池袋3-15-2-1102
運営:株式会社クレアフューチャー

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