おさえておきたい医療・医療保険情報 No.6

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介護・医療連携の推進に向けておさえておきたい医療・医療保険関連の最近の動きを紹介します。

医療計画の報告書まとまる 来年度中に都道府県が策定

平成30年度からの第7次医療計画の策定に向けた厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」(遠藤久夫座長)は12月7日、報告書をまとめた。あわせて「医療提供体制の確保に関する基本方針」も了承。パブリックコメントを経た上で、告示する。厚労省は告示と報告書の内容を盛り込み、年度内に都道府県に通知。これを受けて都道府県は来年度中に第7次医療計画を策定する。

医療計画は地域の実情に応じた都道府県の医療提供体制を確保するためのもの。第7次医療計画(30~35年度)は、地域医療構想を含む初の計画であり、地域包括ケアシステムの構築に向け医療・介護連携の推進も重要となる。このためこれらを取り入れた計画にするための見直しを行った。

医療計画の重要事項に、5疾病5事業及び在宅医療の医療提供体制と、基準病床数の設定がある。この二つを中心に今回の見直しをみていく。

●医療・介護連携を推進

5疾病は「がん」「脳卒中」「心筋梗塞」「糖尿病」「精神疾患」、5事業は「救急」「災害」「へき地」「周産期」「小児」である。これらの項目に変更はない。ただし「ロコモティブシンドローム、フレイル、肺炎、大腿骨頚部骨折等」について、疾病予防・介護予防等を中心とした総合的な対策を明記するとし、医療・介護連携を促した。

5疾病5事業及び在宅医療の医療提供体制に関する事項では、より実効性を担保する指標を設けるなどして対応する。また5疾病に関しては急性期だけでなく回復期・慢性期に関わる指標も含め幅広く例示した。

在宅医療では、在宅医療を行える体制を指標として評価するのではなく、実際に在宅医療を提供していることを表す指標を増やす。具体的には、「在宅患者訪問診療料、往診料を算定する診療所、病院数」「退院支援加算を算定する病院、診療所数」などを例示した。

また例えば脳梗塞では、標準的治療であるrt-PA静注療法の適正治療や、発症早期リハビリテーションから回復期、維持期にスムーズに移行できる体制を求めている。指標としては、脳血管内治療である「経皮的脳血栓回収術」の実施件数や嚥下機能評価の実施件数、脳卒中患者のうち、摂食機能療法の実施件数などを例示した。

●平均在院日数のさらなる短縮を後押し

基準病床数については、計算式を変更する。基準病床数は地域(二次医療圏)の医療需要にあった病床数を設定するもの。それを既存の病床数が超えている場合、都道府県知事は公的医療機関等の開設・増床を許可しないことができる。

今回の変更では、病床利用率については、直近の病院報告の数値ではなく、一定の数値を定める。一定の値は一般病床で76%、療養病床で90%。各都道府県の直近の病床利用率が、これより高い場合は、その数値を上限とし、都道府県が定める。病床利用率を低く設定するほど基準病床数は増える方向に働くので、将来の需要を厳しく見込む場合は、病床利用率は高く設定した方がよいことになる。

平均在院日数は、最近の傾向を踏まえて、一定の短縮率を見込む。経年変化の反映に加えて、「将来のあるべき医療提供体制の構築に向けた取り組み」を想定し、地域差を是正する。平均在院日数は短くなる傾向にあるが、それをさらに政策的に後押しする。

地域医療構想ガイドラインでは、一般病床の医療資源投入量の低い患者の一定数が慢性期・在宅医療等に移行することを前提に、将来の必要病床数を推計しており、それを一定程度勘案する。

医療資源投入量とは、医療提供の量を診療報酬の出来高換算で集計したもの。それが一定以下の患者は、医療の必要性よりも「行き先がない」など社会的要因で退院できない可能性がある。そのような患者の退院が進めば、平均在院日数はより短縮する。

しかし今回、医療資源投入量の低い患者が「どのような患者像であるかの詳細な分析はできなかった」と厚労省は説明。平均在院日数の短縮率に一定程度加味するが、さらに精査が必要とした。1人の患者の入院期間における医療資源投入量の変化は、医療提供の内容を含め、複雑であることがわかったためだ。

また、地域医療構想ガイドラインに基づく推計では、多くの地域で2025年の医療需要に見合う必要病床数が、人口減少などにより現状の病床数を下回ることになる。しかし人口が減らずに、高齢化が急激に進む大都市では、必要病床数は現状の病床数を上回る。

大阪などは、現状の病床数がすでに基準病床数を上回る病床過剰地域であり、基準病床数を増やさないと、将来の需要増に対応できない。このため大都市など病床過剰地域で増床が必要な場合は、特例措置(医療法第30条の4第7項)を使い、医療計画改訂時でなくても、基準病床数を増やせることを明確化した。

そのほか、集中治療室(ICU)等は、既存病床数に含めることを決めた。通常の療養のベッドとは別にICUがあると解釈されているため、これまで原則既存病床数に含めていなかった。しかし都道府県により対応が異なっていたこともあり、見直した。

30年度診療報酬改定に向け 「現状と課題」を示す

平成29年は、30年度診療報酬改定の議論が本格化する。厚労省は12月14日の中央社会保険医療協議会(中医協)に、30年度改定の「現状と課題」を示した。6年に1度の医療・介護同時改定であるとともに、団塊世代がすべて75歳以上になる2025年に備える意味でも、「極めて重要な改定」と位置づけた。

同時改定では、地域包括ケアシステムの構築など医療・介護連携の推進に向けた対応が課題となる。具体的な検討事項として、(1)療養病床・施設系サービスにおける医療(2)居宅等における医療(3)維持期のリハビリテーションをあげた。

療養病床・施設系サービスについては、「社会保障審議会療養病床の在り方に関する特別部会」が介護療養病床等の受け皿となる新たな施設類型の議論をまとめた。このうち「医療を外から提供する居住スペースと医療機関との併設」については、外付け医療サービスの診療報酬を検討する必要がある。

また、25対1医療療養病床は看護配置6対1が30年度から認められなくなるため、その対応が急務となる。ただ医療法施行規則の4対1は、診療報酬上の20対1とイコールではないため、必ずしも廃止になるとは限らない。

居宅等における医療に関しては、介護報酬の居宅療養管理指導と診療報酬の訪問指導管理の評価を整理する必要がある。

医療保険の維持期のリハビリテーションに関しては、28年度改定で廃止を28年度から30年度に延期した。次の改定では介護保険への円滑な移行が求められる。

30年度改定の基本的な方向性は、今後社会保障審議会などで議論していくが、これまでの経緯もある。大きな方向を示したものとして、25年8月の社会保障制度改革国民会議報告書や、骨太方針2016がある。

国民会議報告書は、医療機能の分化・連携や地域包括ケアシステムの構築、「病院完結型医療」から「地域完結型医療」への転換などを謳っている。骨太方針2016の経済再生一体改革では、医薬品等の費用対効果評価などを強調した。

また、塩崎厚労相肝いりの「保健医療2035」は、患者が判断する価値を考慮した診療報酬、安倍首相が議長の未来投資会議は、ICT・AIを用いた医療の評価を求めている。

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