今改定において介護人材確保対策の推進の1つとして、「介護職員処遇改善加算の更なる充実」を掲げ、月当たり1.2万円相当 改定率+1.65%という形を打ち出しました。
処遇をされる職員さんにとっては朗報ではありますが、経営者さんにとってはどのような方針をとるべきか悩みどころの一つとなっていると思われます。
悩みの点としては以下の3パターンがあげられるのではないでしょうか。
(1)現在、処遇改善加算を取得していないが取るべきなのか?
(2)既に処遇改善加算は取得しているが、加算I~IVのうちどれを取得すべきか?
(3)処遇改善加算の分配方法について
上記に対してどのようにすべきか、あくまで個人的な見解ではありますが述べさせて頂きます。
(1)取得に関してはしていないのであれば取得するべき
理由としては、他事業所さんとの賃金格差が10%以上出てしまうためです。国が出している処遇改善の月額支給モデルで考えれば27,000円。月額で27,000円もの差がつくと、求人掲載時に明確に差がついてしまいます。
ただでさえ、求人困難と言われているなかで他事業所さんとの格差がついてしまっては事業継続が困難になってしまうのではないでしょうか。
(2)どの加算を取得すべきかに関しては、やはり加算Iを取ることが望ましい
理由としては加算取得をした場合、計画書と報告書の提出は義務付けられています。どうせ資料を作成しなければならないのであれば加算Iを取ってしまうほうがよいのはないでしょうか。もちろん、加算Iを取得しようと思えばキャリアパス要件Iとキャリアパス要件IIの両方を満たさなければなりませんが、ハードルが高いわけではないのでこれを機に整えてしまうと良いと思います。
(3)分配方法については一時払い(賞与)や処遇改善加算手当等を取ることが望ましい
分配方法について、国は基本給に組み込むことを望んでいますが、事業者としては安易にそれに乗り出してしまうと、処遇改善加算がなくなった時に大きなダメージを受けてしまいます。
そのための対応として、一時払い(賞与)や処遇改善加算手当として行っておき、いつなくなったとしても経営に大きなダメージを残さないようにしなければならないと思います。
というのも、処遇改善加算についての説明文章で以下のように記載されているからです。
●平成24年度介護報酬改定において、介護職員の安定的確保及び資質の向上の観点から、
例外的かつ経過的な取扱として、交付金と同様の仕組みで、介護処遇改善加算を創設。となっており、
●平成27年度介護報酬改定において、現行の仕組みは維持しつつ、更なる資質向上の取組、雇用管理の改善、労働環境の改善の取組を行う事業所を対象とし、更なる上乗せ評価を行う区分を創設。
例外的かつ経過的な取扱として、(平成24年度)、現行の仕組みは維持しつつ(平成27年度)ということは、現在も例外的かつ経過的な取扱いは維持されていると読み取れてしまいます。
ということは、いつか外されてしまう可能性があるということです。
ですから、安易に基本給に組み込むのではなく、一時払いや加算手当として対処しておくほうが、なくなった場合でも職員に対する説明はきちんとすることができますし、その場合は自社だけでなく、他事業所さんにおいても同じことが言えるので職員さんに対する待遇は一緒となります。
基本給に組み込んでしまうと処遇改善加算がなくなったからと言っても安易に下げることは出来ないので経営を圧迫することに繋がってしまいます。
最後に、冒頭で述べさせていただいたように上記意見はあくまで個人的な見解であるため、最終的な決断は各事業所さんごとにしっかりと検討して頂ければと思います。
佐藤慎也 介護事業研究会