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介護業界におけるIT・IoT活用とは

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人工知能=AIというキーワードが、メディアを騒がせるようになりました。

将来的にも、爆発的な普及と、それによる各産業の構造的改革が進んでいくことでしょう。

しかし、このような大きな可能性を秘めるIT技術をうまく活用できている介護事業者は、残念ながら多くないようです。

 

本記事では、「ITを活用して事業を拡大したい」「ITを活用して現場の課題を解決したい」と思いつつも、「ITで一体何ができるのかわからない」「どんなメリット・デメリットがあるのかわからない」という悩みに応えていきます。

 

 

介護業界におけるIT活用の現状

周知の課題ですが、介護業界においては従来からその人手不足の状況により、労働環境や労働条件の悪化が課題視されています。

さらには、その結果として介護サービス提供の質自体が低下することが危ぶまれていて、業界体質の改善とともに、状況打開の糸口としてITの活用が求められています。

 

政府の政策誘導

政府や行政も介護業界へのIT導入促進に向けては積極的に動き始めています。

政府は2016年の未来投資会議で、センサーやロボットで現場の負担を減らせた場合に報酬を上乗せするなどの報酬改定を、自立支援を目的にITを活用する仕組みとして促進していくことを決めました。

また、要介護者が改善した事業所には奨励金などを与える仕組みを導入し、改善への動機づけを図っていくこととしています。

さらに、IT活用にも積極的で、2020年までには人工知能によるケアプラン作成といった新技術活用についても報酬制度で評価できるようにするとしています。

 

各地で医療IT活用ハッカソンの開催

社会全体としてITの普及は進んでいます。

介護業界でもハッカソン(主にソフトウェア開発分野で、プログラマや設計者などが集中的にワーキングを行うプロジェクトイベント)が青森など各地で開催されていて、介護業界におけるIT活用の可能性が模索されています。

 

 

介護業務にITを導入するメリット・デメリット

「本当に効果があるのか」「むしろ手間が増えるのではないか」「機械は信用しきれない」といった不安を少しでも拭うために、メリットとデメリットを整理してみましょう。

 

IT技術を導入することのメリット

人件費コストの削減

介護現場では起床時間や1日の行動を記録したり、呼び出しに対応したりと、人手不足の状況も重なり、スタッフ1人あたりの負担は大きいものです。

記録・共有に関しては、IT活用をしやすい要素として挙げられるでしょう。

パソコンやタブレットで入力することで、瞬時に職場全体に共有が可能ですので、リアルタイムな連携が可能になります。

また入力フォーマットを設定しておくことで、選択するだけで入力が完了するなど入力自体の省力化が可能になります。

緻密なデータ収集と活用が可能

ITはあらゆるモノで活用できます。

センサー技術と連携することで、要介護者の状況をリアルタイムに知ることができます。

すると、ベッドから落ちてしまったり、徘徊児への対応など、異常時の対応を迅速にすることができます。

加えて、監視データを蓄積することで、根本的な課題要因の発見や、新しいケアプランの作成につながる可能性があります。

 

IT技術を導入することへの課題

導入コストの発生

効果が明確にはイメージしきれていない状況で、インフラ投資に踏み切るというのは勇気のいることかもしれません。

しかしここ数年は、コンピューター機器の低廉化がますます進んでいます。

さらに、クラウドサービスもありますので、初期費用を要さずに一定程度の運用費用のみでサービスを利用できるものもあります。

IT活用人材の確保

一般論ですが、介護業界は全体としてITリテラシーがまだ十分ではない実態があるようです。

業務にITを活用するとなると、最低限のネットワークの知識なども必要となるでしょう。

一方で、技術を要するエンジニア業界も介護事業へ理解の深い人材はまだまだ少ない状況です。

精力的にIT活用を推進していく場合は、人材確保・人材育成は避けられない課題となるでしょう。

 

 

介護業務におけるIT活用場面・事例

さて、実際には介護の現場でITはどのように活用されているのでしょうか。

課題や解決方法は各現場ごとに存在しますが、応用できるポイントとして共通する点も多いはずです。

 

IoT導入による見守りサービス

介護は、介護する側の負担も大きいことが深刻な課題です。

「介護疲れ」と表現される状態は、介護する側される側両方の疲弊を伴ってしまいます。

そんな状況の改善のために、IT技術の活用にチャレンジした事例を紹介します。

導入したIT技術はセンシング技術です。

センサーが要介護者のベッドを見守り、異常があったら自動で通知するというもの。

24時間の見守りが可能で、異常があった場合にすぐ駆けつけられるようになるという点で、介護をする側の緊張を張りつめた状態を緩和し、負担を軽減できるようになりました。

さらにドア開閉センサーや施錠センサーなどを組み合わせて、徘徊の防止や生活リズムの確認ができるようになります。

 

クラウド活用でデータ入力と共有の省力化を実現

介護の記録と活用には昔から取り組んでいるものの、紙ベースのために入力と共有に大きな手間がかかっていました。

そこでOA化に着手し、PC入力を可能にしました。

さらに、よりきめ細やかな情報の入力をできるようにするため、クラウド活用とタブレットを導入。

使いやすさと機能を実現するシステムを構築していて、1日の行動の記録なども可能。

クラウドを活用しているので、入力者はケアワーカーや栄養士、相談員など複数人で分担することもできます。

またタブレットの活用により、隙間時間で入力することができ、効率的な人員配置が可能になります。

 

 

介護業務にITを導入する際の助成金とは?

介護事業へのIT活用は政府としても推進対象と位置付けられています。

IT技術の導入は期待されていますが、まだコスト面で成立しない事案も多く、助成制度の活用などで支援策が推進されています。

 

IT導入補助金

IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)は、経済産業省所管の補助事業です。介護事業に特化した制度というよりは、中小企業支援とIT活用を念頭に置いた補助制度です。

IT活用を考えている中小企業にとっては有効に活用したい制度です。

この事業における中小企業等の要件に該当するかを確認の上、積極的に活用すると良いでしょう。

 

  • 補助対象者

国内に事業所を有する中小企業者等に限る

  • 補助対象費目

事務局ホームページに補助対象として公開されたITツール(ソフトウェア、サービス等)が対象

例:顧客管理ソフト、販売管理ソフト、等 ※ハードウェアは対象外

  • 補助上限・下限、補助率
補助対象経費区分 ソフトウエア、サービス導入費
補助率 2/3 以内
補助上限額・下限額 上限額:100 万円 下限額:20 万円

 

 

まとめ

介護事業は対人サービスという性質があり、IT活用は馴染まないというイメージを持つ方もいるようです。

しかし、効率的な運用を可能とし、精密なデータ管理と計画策定をITによって可能になることで、「無理のない気持ちの向き合った介護」が実現できるのではないでしょうか。

 

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