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介護事業の決算書の作成方法を紹介


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介護事業における会計は、介護サービス単位での会計、按分率による経費の配分などがあり、一般的な事業の会計と違った特殊性があるため、わかりにくいと感じる方もいらっしゃいます。しかし、指定された方法での会計処理を行っていない場合、指導等の対象となることがあります。
今回の記事では、介護事業特有の会計についてご説明します。介護事業経営者の方々の参考になれば幸いです。

介護事業の決算書とは

まず、介護事業の会計の特徴や法的根拠についてお伝えします。

介護会計とは

概要介護事業の会計はその特殊性から介護会計などと呼ばれますが、この呼び方は正式なものではなく、便宜的なものです。厚生労働省からの通知(老振発第18号)「介護保険の給付対象事業における会計の区分について」において指定されている方式を介護会計と呼んでいるのです。
その内容は、介護サービス事業所ごとに経理を区分すると共に、介護事業の会計を、その他の事業の会計と区別しなければならないというものです。
特記事項・例として「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」第38条には「指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない」とあります。
・会計の区分を行っていない場合、運営基準違反となり指導の対象となりますので注意が必要です。

介護事業の決算書とは

目的・説明資料として:株式会社等において、株主や金融機関への説明や実績の報告のために使用する。
・報告資料として:行政や税務署への報告資料として使用する。
・経営状態の判断:事業の継続性や成長の判断材料とする。
記載内容社会福祉法人の場合
貸借対照表、資金収支計算書、事業活動計算書、財産目録他
株式会社の場合
貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表他
介護事業の決算書に関する運営基準それぞれの法人に適用される会計基準等に沿って決算書を作成するが、介護事業の数値を把握できるように作成する。
会計処理方式の例
ビルを所有し、訪問介護事業、通所介護事業、不動産賃貸業を行っている場合
①それぞれの事業(訪問介護、通所介護、不動産)の収支状況を個別に把握し、合算した数値を使用し決算書を作成する。
②法人全体の収支状況を把握し、決算書を作成する。その後、按分基準等による配分等で、それぞれの事業(訪問介護、通所介護)の収支状況を把握する。
特記事項按分とは費用の内、複数の事業所・サービスにまたがる共通経費(兼務職員、家賃など)を合理的基準(勤務時間割合、占有面積割合など)に応じてそれぞれの事業所・サービスに配分することです。

どの方法を採用して決算書を作成しても、決算書の数字は同じになります。具体的な会計処理(会計ソフトへの入力方法等)が異なるということになります。
介護会計は介護サービスごとに収支状況を把握することが必要となります。経営者にとっては、それぞれの事業の経営状態を把握でき、経営判断の材料として有効に活用することができるでしょう。

・按分について
どちらの方法を採用して共通経費に該当する費用がある場合、按分基準を作成し、費用の配分を行うことになります。それでは具体的な処理についてご紹介します。
まず、経費の分類を行います。

経費の分類

共通経費複数の事業にまたがって発生する経費
兼務する職員の人件費、共通で使用する場所の家賃・光熱費、その他共通で使用する経費等
個別費個別の事業で発生する経費
専属の職員の人件費、その他個別で使用する備品、消耗品、管理費等の経費

次に、按分基準を作成します。
ここでは合理的な基準に基づき、按分方法、按分率の算定及び配分表を作成します。

共通経費配分表の例

共通費 按分方法 データ 按分率
訪問介護 通所介護 訪問:通所
兼務事務員給料 勤務時間 40時間 160時間 0.2:0.8
家賃 面積比 30㎡ 270㎡ 0.1:0.9

上記の例で、事務員の人件費が20万円、家賃が10万円の場合、以下のように配分します。
訪問介護:人件費4万円、家賃1万円
通所介護:人件費16万円、家賃9万円

介護事業の決算書作成を楽にする方法

介護事業の決算書作成を楽にするためには、介護事業所向け(対応)会計ソフトを利用するとよいでしょう。共通経費を設定した按分基準に従って自動的に配分する機能などが付いているため、効率よく業務を行うことができます。
経営者は適時、会社経営状況を把握する必要があります。そのため、短い期間(1ヵ月毎)に財務諸表を作成し、分析している法人が多くあります。財務諸表を早急に、毎月作成するには、適した会計ソフトを導入するなど効率よく業務を行う環境の整備、または環境が整備されている税理士等に依頼することが必要となります。

介護事業の決算書を作成する際の留意点

税理士に依頼する場合

会計処理を税理士に依頼する場合は、介護会計に理解のある税理士を探しましょう。また、委託する場合は、契約書において委託する業務内容を明確にしておくことが大切です。

按分比率設定のための記録

複数サービスを兼務する職員の給料を按分する場合には、それぞれの勤務時間がわかるように記録しておく必要があります。○○時〜○○時までA事業所、△△時から△△時までB事業所など記録を残しましょう。

按分基準(方法)は変更しない

一度採用した按分基準は、継続して適用します。これは、変更による収支状況の変動があると、適正な期間損益の比較ができなくなるためです。

まとめ

今回は介護会計についてお伝えしました。介護会計は、介護サービスごとに会計を分ける必要があり、一般的な事業の会計とは異なった点があります。
また、介護報酬は請求してから入金までのタイムラグがあるため、常に請求した金額と回収した金額を記録し管理する必要があります。
適切な会計処理を行っていただき、指導等を受けない健全な介護事業所経営を行っていただければと思います。
今回の記事が経営者のみなさまの参考になりましたら、シェアをよろしくお願いします。

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